宝箱ってワクワクが詰まってるよね


 俺とイトの目の前に今、エターナルゴブリンを倒した報酬であろう宝箱が出現している。

 宝箱それは浪漫である。

 そこに宝箱があるのならば人は開けずにはいられなくなるし、何が入っているかというワクワク感とドキドキ感はこの瞬間しか味わえない絶大な快楽をもたらしてくる。


 そんな素晴らしい宝箱が目の前にある。


 しかも、俺があっさりと倒してしまったとはいえ、エターナルゴブリンという大層な名前を持ち、それ相応の強さを持った魔物を倒して出来てた宝箱だ。


 これはもう、期待しまくるしかないだろう。


「じゃあ、イト、一緒に宝箱を開けるか?」


「はい。ご主人様」

 イトと一緒に宝箱に手をかける。


「よし、じゃあいくぞ、せーの」


 パカ


 宝箱はすんなりと空いた、中を見るとそこには一丁の拳銃が入っていた。見た目はリボルバー式の皆が拳銃と言われて想像するような、タバコ吸ってるのがクソカッコいい、某怪盗団メンバーのあの人の持っているような拳銃だ。


「ご主人様、これは何ですか?」


「ああ、イトは知らないわな。これは拳銃といって、俺の元いた世界の武器だ」


「なるほどです。それで、この拳銃?というのはどうやって使うのですか?」


「使い方は簡単だよ。リボルバーと呼ばれる部分を回して引き金、このL字型の所を押すだけさ。それこそ子供でも出来てしまう」


「へえ、凄いですね。威力はどれくらいですかね?」


「威力は、まあ俺のもといた世界の拳銃基準であれば、オーガ程度なら銃弾一発、ようは一回の攻撃で脳天貫ければ殺せる程度の力はあると思うよ」


「え?さっきご主人様、この武器は子供でも出来てしまうって言ってませんでしたっけ?オーガレベルの恐ろしい魔物を一発で殺せるような武器がなんの技術もいらずに持った瞬間子供でも使えるってそれ危なくないですか?」


「イトは賢いな。そうだよ。危ないよ。いや、危ないなんてレベルじゃないな。実際に俺の元いた世界ではこの拳銃、いや銃というもののせいで多くの人間が死に、文字通り山のような屍が築かれた。俺の住んでた日本と言う国では原則所持が禁止されていたが、多少の知識と道具さえあれば一般人でも劣化品ではあるもののこの拳銃を作れるような世界だったからな。まあこんなものはない方がいいに決まってるよ」


「ご主人様の世界は凄く怖い所ですね」


「まあ、そうかもな。俺のいた国は比較的平和だったが、それでも少し近くの国に目を向ければ大規模な戦争があり、何かしらの拍子にたった一人でもとち狂った行動に出れば、世界そのものが簡単に滅亡する可能性を持った世界だったからな」


「それはとんでもないですね・・・」


「ああ。本当にとんでもないよ。さて、話が少し脱線したな、よし、早速このカッコいい拳銃を鑑定してみるか」

 少し重たい話をしたような気がして、何とも言えないモヤモヤ感を感じつつ、まあ、どうせここは異世界、今更元の世界の事を考えても仕方がないと気持ちを切り替えて、メガネの神器で鑑定する。


 魔道具・永遠の拳銃

 エターナルゴブリンを倒すと極低確率(100分の1)でドロップする魔道具である。

 効果

 この拳銃の銃弾は魔力であり、使用者が拳銃に触れている状態であれば、魔力を注ぎ込むことが可能であり、注ぎ込んだ魔力を使用して、自分の望む銃弾を生み出すことが出来る。

 例、火炎弾・氷結弾・回復弾等々


 この拳銃は永遠に使えるという性質を持っており、拳銃そのものが非常に頑丈であり、仮に壊れたとしても時間経過もしくは魔力を注ぎ込むことによって瞬時に再生が可能である。


 この拳銃を使って打った弾は神器や同レベルの魔道具、ないし、魔法に干渉されない限りは絶対に狙った対象に弾が当たる。

 

 この拳銃は魔力を込めることによって飛距離と発射時スピードを伸ばすことが可能であり、注ぎ込む魔力の量によっては光の速度を超えるスピードで数千キロメートル先に銃弾を放つことが可能である。


「うわ。強いな。え?これで魔道具?嘘だろ、神器並みの性能だろ。流石にこんなに強いとなるとメイン武器確定だな。丁度俺にはメイン武器と呼べるようなものもなかったしな、ラッキー、ラッキー」


「え?ご主人様その武器使うんですか?さっきご自分でこんなものはない方が良いに決まっているっていってませんでしたっけ?」

 イトがきょとんとした顔で俺に質問してくる。

 まあ、でも確かに言ったな。うん、凄く言った覚えがある。でも、それはあくまで俺のいた世界でのこと、ここは異世界だからな。

 それはもちろん、元居た世界から銃なんて物騒なもの含め兵器と呼ばれるものは無くなった方がいいと思うけど、魔物が跋扈して悪魔やらドラゴンやらの空想上の化け物が存在してるんだ、この世界に限って言えば兵器は時と場合によっては必要だろう。

 それに何より、この拳銃がメイン武器ってのはカッコいいからな。オタクにとってカッコいいの優先順位は相当に高いよ。

 

「まあ、確かにそう言ったけど、あくまで俺の元居た世界ではってだけだ、それに俺は元居た世界ではほとんど力を持っていなかったんだ。それこそ拳銃1発で死ぬような存在だったんだ。そんな俺からすれば元居た世界では拳銃ってのは怖いし無くなって欲しいとは思う。でも今の俺は拳銃で撃たれてもバリアを張って無効化出来るし、当たってもすぐに再生するんで。まあそれなら問題はないかなって。結局人間ってのは自分と自分の周りの大切な人のことが一番大切なんだよ」


「なるほど。何となくよく分かるような、よく分からない感じです」


「ハハハ。俺もちょっと自分でも何を言ってるんだろうって思ったわ。まあいっか、別にそこまで大きな問題ではない。そんなことよりも次の階層に進もうか」


「はい。そうですね」


 かくしてエターナルゴブリンを倒して、中々に良い報酬を手に入れた俺はウキウキ気分で次の階層に向かうのだった。



 




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補足説明


前も何処かの話で書いた気がするのですが(多分書いてない)、一応もう一回補足説明、主人公もといケンジは倫理観がかなり狂ってます。

そして話が進むにつれてそれは酷くなっていくという設定です。

ようは主人公はこの世界をゲームの様にライトノベルの様に漫画の様にアニメの様に捉えているということです。

チート神器のおかげで多少は訓練をしたものの、その多少の訓練だけで世界最強となり、思う存分に異世界無双、俺TUEEEからの可愛いヒロインも出来て、最高の順風満帆といっていい異世界生活を送れています。

苦労なんてのは異世界に来てから一切ないですし、流石にそう認識してたり、口に出したりしてないものの、自分はこの世界の主人公だと心の奥底で認識しています。(実際にそうだけど)

物事を割と自分の良い方向に考えるような癖もありますし、本気を出せばすぐに終わるのに楽しそうだからと完全無意識のうちにわざと手を抜いたりもします。

自分良ければ全て良し、ある意味で人間らしい、自己中心的な考え方をモットーに、まださして人間経験が豊富ではない、人としては未熟も良いところな高校生の子供がいきなり異世界で最強の力を手に入れたんです。

それは倫理観も歪むというモノです。

一応、日本人ということで、両親や教師からの教育も割と良かった為に基本的には人には害をなしたりはしないですし、人に優しくしようという考えを持っています。

所謂、一般的な日本人的な思考を持ってはいます、ただ、奥底にあるのは異世界最強、俺TUEEEによって生まれたどす黒い、ナニカです。


という訳でこの主人公が一体どこで、その代償を支払うこととなるのか、それともヒロインの手によって更生することになるのか、それは読んでからのお楽しみです。

因みに今の所は後者の予定です。


ようは、作者こと私、ダークネスソルトの中で、この作品は異世界無双異世界最強俺TUEEEの結果歪んだ心優しき主人公がヒロインによって救われて、異世界をゲームではなく、現実世界として捉えるようになってから、再度新しく物語が始まるって考えています。




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