一方的な戦いと禁忌魔法について
「GAAAAAA、GAAAAAA」
レッドドラゴンが火のブレスを俺目掛けてぶっ放す。
「確か、レッドドラゴンは飛んでいる時は基本的にブレス攻撃しかしなかったよな。それさえ防げれば怖くないかな。氷魔法・氷盾・土魔法・土壁」
俺は氷の盾と土の壁でブレス攻撃を簡単に防ぐ。
「思ったよりも威力が低いな、じゃあ、次はこっちから行かせてもらうよ、氷魔法・氷槍×10+土魔法・土纏い」
俺の作り出した土で覆われた氷の槍10本が空にいるレッドドラゴン目掛けて飛んでいく。
「GAAAAAA」
それをレッドドラゴンがブレスで掻き消そうとするが、土によって防がれ、レッドドラゴンに当たり傷をつける。
だがしかし、傷はそこまで深くついていない上に、ドラゴン種の持つ再生能力で一瞬で再生していく。
「なるほど、効果的じゃないね、じゃあ、再生限界まで確実に肉をそぎ落とすか、氷魔法・風魔法複合・氷嵐」
氷嵐は本に載っていた禁術魔法の一つである。
効果は単純である。至って普通に風魔法で嵐を生み出し、中に尖った氷の破片を大量に混ぜ込ませて相手を切り裂くという魔法だ。
正直ある程度の風魔法と氷魔法が使えたらそこそこ魔力こそいるが結構誰出来る人は多い魔法だ。
じゃあ、何でこれが禁術魔法になったのかって言うと、殺傷力が強すぎたからだ。
当たったら最後、肉は裂け、骨が砕け、辺り一面が全て砕かれ裂かれ、得体のしれない化け物が荒らしたかのようにボロボロになる。
これを戦争中に使った一人の魔法使いがいたのだが、氷嵐の完璧制御に失敗して敵も味方も関係なしに肉片にして、自分も巻き込まれて肉片になり、それでも一度創り出されたら魔法で打ち消すか自然消滅以外では消えないため、全てを肉片にしたらしい。
そりゃ、禁術魔法になるわな、まあ俺は完璧制御が出来ているからそうはならないけどね。
そんで、そんな禁忌魔法である氷嵐はレッドドラゴンを簡単に切り裂き始める。
豪快に辺りにまき散らされるレッドドラゴンの血に肉片に鱗、うんグロい。非常にグロい。俺はそれを結界魔法で防ぎながら見守る事5分。
ズドン
レッドドラゴンが遂に再生限界となり、多分翼がズタズタに切り裂かれたのか飛行を維持できなくなり、氷嵐の中でぶっ倒れた。
俺はそっから、更に魔力を集中させて、レッドドラゴンを切り裂いていく。多分再生限界に達しただけだからな。
レッドドラゴンの生命力はかなり高いし一応完璧に死ぬまで切り裂いておかないといけないってことだ。なにかあってからじゃ駄目だし。
5分後
「流石に死んだかな?氷嵐解除」
氷嵐を解除して確認したところ、死んでました、流石に死ぬわな。それはそうだ。さて、取り敢えず空間魔法で全部収納してっと。はい、収納完了。
「あのう、貴方様は一体何者ですか?」
ずっと、俺の戦闘を見守っていた犬耳美少女が話しかけてきた。話しかけてくるってことは俺そこまで嫌われたなさそうだな、というか、貴方様って何かむず痒いな。
「いや、何、異世界から召喚されたただのオタクだよ」
少し言ってみたくなって言ってみた。結構恥ずかしい、というかオタクって言葉絶対この世界にないな。ヤバ、凄い恥ずかしくなってきた。
「オタク様?ですか?」
超可愛い上目遣いでそう言ってくる。あああ。クソ可愛い、ヤバい何かに目覚めそうというか、もう目覚めたは犬耳美少女の上目遣いは破壊力が高すぎる。
人の性癖を色んな意味でテクノブレイクするレベルの破壊力をもってやがる。
「いや、ごめん、嘘ついた、俺の名前はケンジだ」
とりま、本当の名前を明かす?何で明かしたかって?そりゃもちろんケンジ様って言ってもらうためだ。俺のオタク道としていつでも自分の欲望とロマンに忠実ってのがあるのさ。
「えっと、オタク様ではなく、ケンジ様ですか?」
神だ。この世界には神はいる。ありがとう師匠、俺を召喚してくれて。異世界来てから一番嬉しかった。ヤバい、感動が強すぎて言葉が出ない。
「あのう?ケンジ様?もしよければご、ご主人様になってください」
ご主人様になってくださいだと。グハ、ケンジにクリティカルヒットした。
「ちょ、ヤバい、破壊力が破壊力がヤバい強すぎる」
「破壊力が強すぎるって、どうしたんですかケンジ様、もしかしてさっきの戦いで何か傷を負ってしまわれたのですか?」
俺の事を心配してくる犬耳美少女。
うん、決めた、ご主人様になりましょうではないか。そして犬耳美少女とともに楽しく異世界を回ろう。
何?師匠の出した卒業試験はクリアしたし、これからは俺一人で決めて行動するんだ。誰になんと言われようと、俺は自分の欲望を大切にしよう。
「傷なんて負ってないよ。俺は無傷さ。それと俺は君のご主人様になるよ、いやなんなら、ならしてください。お願いします」
「ご主人様になってくれるのですか?本当の本当ですか?」
凄い目を輝かせながら迫って来る。ヤバいこれまた破壊力が強すぎる。しかも犬耳がピコピコ動いててクソ可愛い。触りたい。
「ああ。もちろんさ」
俺がそういうといきなり彼女はジャンプして俺の口にキスをした。
俺の頭は唐突過ぎる出来事に真っ白になった。
――――――――――――――
補足説明
禁忌魔法について。
この世界というかこの小説における禁忌魔法は基本的には魔法単体です。
例えば死霊魔法とか明らかに禁忌魔法みたいな魔法がありますが、この死霊魔法の中の【死霊作成】や【死霊増殖】や【死霊感染】といった魔法は禁忌指定され、【死霊交信】や【死霊降ろし】といった魔法は禁忌指定されていません。
ようは死霊魔法自体は一切の問題なく使うことが出来るけど、その中の一部、まあ死霊魔法はその中の大部分は禁忌指定されてるから使っちゃ駄目だよって感じです。
この世界では後々登場するのですが【魔法協会】という世界最大級の魔法使い、魔導士、魔術師等の魔法を扱う者達が加入する組織があり、そこで禁忌指定という形で魔法が禁忌指定されます。(魔法協会にて毎年、禁忌指定総集本が発売される)
禁忌指定された魔法はその魔法の持つ悪質レベルや被害レベルで禁忌レベルが指定されて、誤って禁忌魔法と知らずに使用した場合は禁忌レベルが低く被害も特になければ無罪放免ですが、禁忌レベルが高ければ一発アウトで牢獄、最悪死刑です。
具体的な禁忌レベル
1~用途によっては大変危険な魔法である。(使っても割と多めに見て貰える)
2~使ってもせいぜい個人や数名にしか影響がないが、用途がかなり悪い方向に偏っている魔法。(ケースバイケースで判断)
3~魔法に非常に長けているかつ人格的に優れている者が使う場合は問題ないが、下手な者かつ人格的に優れていない者が使えば周囲に甚大な被害をもたらす魔法である。(ケースバイケースで判断)
4~何万、何十万規模の死者に被害を出す魔法であり、どのような使い方をしても確実に周囲に被害と惨状を生み出す魔法である。(使用=投獄)
5~この世界の根幹を揺るがしかねない程の危険で恐ろしく悍ましい魔法であり、使用=処刑である。
因みにレベルごとの具体的な魔法としていましては。
1・・・【破壊法・物質破壊 血魔法・血液操作 闇魔法・闇斬り 再生魔法・完全再生 死霊魔法・死霊作成】等々。
基本的には物質に被害を与えるような魔法全般。ただ、ぶっちゃけ禁忌レベル1は使っても、まあ、さして問題はない。
2・・・【精神魔法・精神操作 破壊魔法・精神破壊 洗脳魔法・集団洗脳 洗脳魔法・洗脳 闇魔法・闇塗り 死魔法・即死】等々。
基本的には 人の精神を操ったり破壊したり塗りつぶしたりして廃人にするような、悪質な魔法。ただし余程イカレタ魔力(主人公)を持ってない限りは魔法を大規模発動とか出来ない為にそこまで罰せられはしない。
3・・・【主人公が今回使った魔法【氷嵐】 死魔法・無差別死 消滅魔法・消滅 空間魔法・無差別転移 火魔法・風魔法・複合・【火炎嵐】 闇魔法・闇の狂乱 神聖魔法・神聖なる差別 死霊魔法・死霊増殖】等々。
基本的には使ったら大勢の使者が出る魔法である。当たり前の話、使いようによっては便利であるし、魔物討伐にも重宝されたりする。するがしかし一般人に被害を出せば禁忌魔法を使ったという罪も加算されて牢屋にぶち込まれることとなる。
4・・・【死霊魔法・死霊感染 闇魔法・増殖する闇 消滅魔法・連鎖消滅 複合魔法・混沌弾】等々。
基本的には使ったら頭がおかしいレベルで被害が出る魔法。使用=即投獄、その後、大体死刑もしくは奴隷として一生労働となる。
5・・・【死霊魔法・神聖魔法・複合・【死者蘇生】 時間魔法・時間操作 超複合魔法・【森羅万象】 超複合魔法・【理】 超複合魔法・【神の領域】 空間魔法・【異世界移動】等々。
基本的には死者を蘇らせるや、時間を操る、知ってはいけないことを知ろうとする、神の領域に足を踏み入れようとする。行ってはならない世界に行こうとする等々のこの世界の根幹を揺るがすような魔法についてかけられています。
使用=即処刑です。
ただまあ、禁忌レベル5を使用できる魔術師はほとんどいない上に、いたとしても根本的に強すぎるので、処刑するのはかなり難しいです。
以上。
このようになってます。
まあ。基本的に処罰が必ず入るレベル4とレベル5は、まあもう明らかに禁忌って感じの魔法ですので誤って使うことはないです。
それと読んでいて、あれ?異世界召喚禁忌レベル5じゃねって思ったそこの貴方。まあつまり悪い大人の事情と神様の事情です。
ようは露骨なフラグって訳です。
以上
補足説明終わり。
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