低階層にボスは雑魚とか言ってた馬鹿出て来い
【竜滅の牙】が出て行ってから10分ほどが経過した。
いまだにボス部屋は開かれていない。
その間に俺はイトとイチャイチャしながら、ずっとこのダンジョンについての本を読んで勉強をしていたのだが、流石に遅すぎるなと何とも言えない不安のような感情に襲われてきた。
ここのダンジョン10階層のボスはゴブリンキングだ。
このゴブリンキングはそんなに強くない、極稀にレアボスとしてゴブリンキングと一緒のゴブリンジェネラルも出てくるらしいが、それでも脅威度としていえば精々数倍程度に上がるだけで、Bランク冒険者であればソロでも勝てるレベルだ。
そんな相手にAランク冒険者の4人パーティーであり、神器を持ちの同じ日本人のいる【竜滅の牙】が苦戦するとは到底思えなかった。
常識的に考えて数分、下手をしなくても一撃、1分もかからずにボス部屋の魔物を全滅させるだけの力はあるだろう。
なのに、今現在、10分立っても出てこない。
これは明らかにおかしい。
異常以外の何者でもない。
「ご主人様どうしたのですか?」
「ああ、いやイト、まだ【竜滅の牙】が出てないことに疑問というか違和感を覚えてさ」
「もしかしたら、ゴブリンを使って新しい神器や魔道具、攻撃方法を試したりしてるんじゃないですか?」
「あ~、なるほどね。確かにその可能性はあるな。イトは頭がいいな」
イトの頭を思う存分に撫でてやる。
「うへへ、ありがとうございます。ご主人様」
「あれ、でも、待てよ。さっきの会話を思い出せ。俺の記憶が確かなら、リーダーっぽい人がその情報は駄目だ的なことを言ってなかったけ?諸々を試すためだけなのに、そんな言い方するか?」
「確かにご主人様の言う通りかも知れませんね。もしかしたらイトが間違ってるかもしれないです。ごめんなさい」
申し訳ない気持ちからか耳がしゅんと垂れ下がるイト。
うん。凄く可愛い。
「いや。別に謝ったりしなくてもいいよ。色々な可能性を出すのは良い事だからな」
「ありがとうございます。ご主人様。じゃあ私も頑張って色々と考えていきます」
「おう、ありがとなイト」
「それで、ご主人様思ったのですが、超絶強い敵が偶々現れて苦戦してるっていう可能性はないですかね?」
「なるほどね。あ~、でもその可能性はあるかもな。確かに本にはボス部屋からも普通のボスと少し強くなったレアボスしか出ないと書いてあるが、あくまで本。もしかしたら超絶極低確率で化け物が出てくる可能性はあるな。仮に今まで出たことあったとしても、そんな化け物が出たのならば精々10階層のボスに挑戦する程度の実力しかない挑戦者は一方的に殺されるだろうしね」
「そう考えると、さっきの人達は運悪くそのボスに当たってしまったてことですかね?」
「言われてみれば納得出来るな。凄く理にかなっている。イトは賢いな」
「うへへ、ありがとうございます。ご主人様」
「まあ、イトの仮説通りだとしたら、時間かかりそうって、あれ?となるとじゃあなんで、あのリーダーっぽい人はその情報は駄目だ的なことを言ったんだって、あ、そうか理解したわ。多分わざと上位互換のレアボスを出す方法でも見つけたんだな」
俺は特定の条件下でボスを倒すと別のボスが出てくるという設定があったラノベを思い出す。
「流石ご主人様です。私もそうだと思います」
「うん。これで一応はスッキリとしたわ。一緒に本でも読んで気長に待つか」
「そうですねご主人様、一緒に待ちましょう」
俺はイトを隣に置いて、一緒に仲良くダンジョン攻略本を読むのだった。
20分後。
「思ったよりも苦戦してるみたいだな」
「そうですね。早く倒してイトも次の階層に進みたいです」
「そうだな。俺も早く次の階層に行きたいよ」
そんな会話をした直後だった。
ゴゴゴゴゴゴゴ
大きな音を鳴らして扉が開く。
やっとかと思いつつ、扉に向かうと、そこにあったのは、身長が2メートル程ある、どことなくイケメン感の漂うゴブリンと【竜滅の牙】全員の死体だった。
それもただの死体ではない、無残にも切り刻まれ抉られ、散らばった肉塊のような非常にグロテスクな死体であった。
とどのつまりどういうことかというと、わざと時間をかけて拷問したような死体であったということだ。
つまり苦戦したとかじゃない。一瞬で動けない程の致命傷を負わされた上で、嬲られたんだ。
「ご、ご主人様、これってもしかして」
「ああ。これはヤバいかもな。イト絶対に俺の側を離れるなよ」
「は。はい。もちろんです。ご主人様、」
そしてゴブリンのような形をした化け物と目があった。
―――――――――――
まだ、少しモチベーションがあったので投稿。
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