最強ものはやっぱりいいよね
「お前が新しい玩具か」
ゴブリンっぽいのが話しかけて来た。
メガネの神器を使って鑑定をしてみる。
エターナルゴブリン 年齢・3754歳
本来は短命である筈のゴブリンだが、とある突然変異によって永遠の寿命を得たゴブリン。
ゴブリンという生き物は生まれた時からある程度の知能を持っているが、あくまである程度、精々5,6歳児程度である。
ただ、永遠の命を持ったこのゴブリンは知能に磨きをかけ、技術を求め、スキルを覚え、魔力を増やし、体を鍛え、ひたすらに学び努力をし、遂には最強のゴブリンへと至った。
人間をはるかに凌駕する知能とキングドラゴン以上の身体能力に魔王並みの魔力を持ち、たった一匹で国を潰せるまでの力を得た。
仮にこのゴブリンを討伐するとなれば、それこそ伝説の勇者パーティーが必要であろう。
「お前、とんでもない化け物だな。なるほどね、それはさっきの【竜滅の牙】が瞬殺されるわけだ」
「フハハハハハ。そうだろう。そうだろう。そうであろう。我が名はエターナルゴブリン・永遠を生きる最強のゴブリンなり」
俺の言葉を誉め言葉として受け取ったのか上機嫌に笑うエターナルゴブリン。
「ああ、認めるよ。確かにお前は最強のゴブリンだ。ただ、多分俺の方が強いぞ」
俺はこの身にため込んでいる魔力を解放する。
解放した魔力が吹き荒れ、部屋全体の表面が全て削れる。
「フハハハハハ。素晴らしい素晴らしい魔力だな。良いぞ。お前は玩具じゃない。好敵手だ。さあ、我と思う存分に殺し合おうではないか」
「ああ。もちろん。いいとも」
かくして俺とエターナルゴブリンの戦いが始まった。
「取り敢えず、挨拶代わりだ。火炎魔法・特大火炎」
特大火炎・・・名前の通り、かなり大きな火炎で相手を焼き尽くす魔法。
一応大魔法に分類される魔法であり、俺の魔力によって打ち出される為、威力は下手な砦であれば一撃で粉砕する程度には高い。
といってもこの程度で死ぬとは思ってない、あくまで挨拶代わり、牽制のようなものだ。
そう牽制であり、次の一手の為の目くらました。
特大火炎はしっかりとエターナルゴブリンに直撃して辺り一帯に煙が立ち込めている。
だけど俺のメガネの神器はしっかりとエターナルゴブリンを捉えている。見えている。
「光魔法・審判の一撃」
審判の一撃・・・光魔法の中でもトップクラスの威力を持った魔法であり、光を敵の頭上に降らせるという技の特徴が、まるで神からの審判のようだとして、この名前が付いた。
因みに光魔法なので魔物や悪人相手には効果が抜群である。逆に聖職者や天使なんかにか逆に回復した上でバフをかける魔法となる。
「ぐぎゃアアアアアアア」
エターナルゴブリンの間抜けな声が響く、でも、まだ死んでいなかった。
ただ効果はかなりあるようだな。
「という訳で、俺の無限の魔力を喰らいやがれ。光魔法・審判の一撃、からのもう一回、審判の一撃、審判の一撃、審判の一撃、審判の一撃、審判の一撃、審判の一撃、審判の一撃、審判の一撃、審判の一撃、審判の一撃、審判の一撃、審判の一撃」
一応、審判の一撃は大魔法であり、普通の魔術師は連発するなんて絶対に出来ない、というか発動することすら出来ないが、無限の魔力を持っている俺にとってはこんなもの初級魔法を連打するようなものだ。
余裕の余裕、おちゃのこさいさいだ。
「さてと、死んではないにしても大分ダメージを喰らってるといいな」
俺はメガネでの神器でゴブリンを見る。
エターナルゴブリンはいなかった。
代わりに、宝箱が一つあった。
・・・・・・・・・・
「あれ?俺もしかしなくてもやったった?」
「ご主人様、多分、審判の一撃が3回当たった時点でエターナルゴブリンは死んでました。ただその時点では死体は残ってたんですが、その後の審判の一撃連打で死体そもそもが完璧に消滅しました」
「あ~、なるほどね。つまり完璧なオーバーキルだったてことかな?」
「オーバーキルですか?」
「ああ、イトはこの言葉知らないのか。ようは、敵に対して必要以上に攻撃を加えることだな」
「そうですね。確かにそうなってますね」
「だよな・・・。何というか。ごめんな。エターナルゴブリン。お前の犠牲は忘れない。あ、ついでに【竜滅の牙】もしっかりと仇は打ったので安心して成仏してください。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」
「あのう、ご主人様、南無阿弥陀仏って何ですか?」
「ああ、異世界、俺のいた所で死者を供養するおまじないみたいなものだよ」
「なるほど、じゃあイトもやります。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」
「イトは優しいな。俺ももう一回しとくか、南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。さて、じゃあ気持ちを切り替えて宝箱を開けていくとしますか」
「そうですね。何が出るかとっても楽しみです」
――――――――――――――――
補足説明
エターナルゴブリンは強いです。強いですけど。
255階層にいた化け物たちよりも弱いですし、所謂、理外の領域にも辿り着いてません。
とどのつまりどういうことかというと雑魚ということです。
え?【竜滅の牙】?知らない子ですね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます