魔物の大群だ~~~逃げろ~~~

 俺とイトは、今近くの町を目指して歩いている。

 幸いなことに俺の持つ本の神器を使えば、ここら一帯について書かれているガイドブックや地図を出すことが出来、それらを読めばどのような道を行けば簡単に近くの町につくのか把握することが出来た。

 おかげで特に迷子にはならずに歩くことが出来た。

 つか、レッドドラゴン探しの時にもこのガイドブック使えば良かったかも、いや、でも使わなかったおかげで迷子になりイトと出会えたわけなんだから別にいっか。


 そうやって、歩き始めてから10分が経過したときだった。


 ぐ~~~~~~~


 イトの可愛らしいお腹が盛大に鳴った。


「あ、ごめんなさい、ご主人様」

 そういえば、イト奴隷狩りに追われてて満足に食事を取れていなかったな。

 すっかり忘れてしまっていた。反省だな。これは俺が悪い。


「ごめん、イト、お腹減ってるよな、今からご飯にしよう。何、俺も丁度お腹が減ってたんだ、すぐに出来から少し待っててくれ」


「あ、ありがとうございます、ご主人様」


「ヤバい、超可愛いじゃなかった。イト喉は乾いてないか、水飲むか?」

 食事もだけど水分も満足に取れてないことを思い出して慌てて、空間魔法・異空間からコップを取り出して、水魔法・水生成で水をコップの中に注ぎ込みイトに手渡す。


「ありがとうございます」

 イトがコップを受け取ると勢いよく飲み干した。


「そんなに喉が渇いてたのか、気が付くのが遅れてごめんな。それと、お腹が減ったり、喉が渇いたり、トイレに行きたくなったりしたら、遠慮なくいってくれよな。俺にとってイトは愛すべき家族のようなものだ」


「ご主人様・・・、う、う、あ、あ、う、ありがとう、ござい、ます」

 俺の言葉に泣き出すイト、ちょ、多分嬉し泣きっぽいけど、なんか悪いことしたみたいです少し心が、でも、泣いているイトも可愛いな。

 せっかくなのでイトの頭を撫でてあげる。


「ちょ、そんなに泣かないでくれ」


「はい、ごめんなさい、でも嬉しくれ、嬉しくて、イトはご主人様と主従契約の儀を結べて幸せです」


「そうか、俺だってこんなに可愛いイトと主従契約の儀を結べて良かったと思ってるよ、あ、ごめんね、ご飯を作るって言ってたね。今作るから」

 俺は空間魔法・異空間から鍋と薬草そ異世界人が広めてくれたおかげで結構簡単に手に入ったお米と卵を取り出す。


「水魔法・聖魔法・複合・聖水生成からの火魔法・沸騰」

 俺は鍋の中に体に非常に良い聖水を入れて、沸騰させる。

「風魔法・風切り」

 薬草を風切りで食べやすい大きさにカットして、お米とともに入れる。

「時間魔法・加速」

 結構魔力を消費するが使うと一定範囲内の時間を加速させる魔法を鍋にかける。(一般人の全魔力×10ぐらい)


 1分後


 時間魔法・加速のおかげでかなりいい具合になったお粥に卵を割って入れかき混ぜる。そんで、最後に塩を少々入れたらっと。


「よし、異世界料理お粥の完成」

 俺はお粥を空間魔法・異空間から取り出した茶碗によそい、イトに手渡した。


「はい、どうぞ、いきなり肉類を食べたらお腹がびっくりすると思ったからお粥を作ったよ、ささ。冷めないうちにどうぞ」


「ありがとうございます」

 イトがそういって、お粥を食べ始める。

 俺はそれを確認すると、自分にもお粥をよそいで食べ始める。


「うん、我ながらよく出来ている、どうだ、イト美味しいか?」


「はい、とっても美味しいです」

 米をほっぺたに付けてイトがそう笑った。可愛いなって思いながらお米を取ってあげて俺が食べるという恋人ムーブをかましました、イトの照れた表情がとてもかわいかったです。


 ―――――――10分後―――――――


「さて、ご飯食べ終わったし、歩くか、あ、もしイトが歩くのに疲れたらおんぶするよ」


「もう、恥ずかしいこと言わないでくださいよ、頑張って歩きますよ」


「いやいや。本当に疲れたら遠慮なく言ってくれ」


「はい、もし本当に疲れたらお願いします」

 少しモジモジしながらそう言われた。うん、今すぐおんぶしてその体温を吐息を味わいたいって、流石にこれは変態だな、自重しないと。イトの可愛いさを前に出来るか分からないけど。まあ一応ね。はい。一応。


 てくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくて


 その後、軽くイトとお喋りしたり、途中小休憩を挟みながら町に向かって歩くこと2時間、ようやく町が見えてきた。

 今更だけどイトを師匠の家に一旦置いておいて、俺が本気で魔法を使って町まで到着してから転移させて方が圧倒的に速かった気がしたが・・・まあ本当に今更だな。

 それにこの2時間でイトの可愛い所を知れたから。オールオッケーだ。


「後少しだな、ラストスパート頑張るぞ」

「はい、ご主人様、頑張りましょう」

 そうイトが俺に優しく微笑んでくれた時だった。


 ダダダダダダダダダダダダダ


 何だかんだで森の中でよく聞き、様々な魔法の練習相手という名前の虐殺をして来た魔物達の大きな足音が微かにだが聞こえた。

 俺はまさかと思い耳を澄ますと、その音はどんどんどんどん大きくなっているのを感じる。


「空間魔法・空間把握」

 俺は慌てて空間魔法・空間把握で森の奥の空間を把握させた。


 ・・・・・・・・・・・・


 結果はまあ絶望だった。


 ようはめちゃくちゃに魔物がいたのだ。


「あ、マジすか。魔物の群れがいらっしゃってるよ」

 つい口調が崩れるくらい俺は驚いた。

 だって、こんな魔物の大群俺は初めて見た?のだから。


「これは、ヤバいな、流石にヤバすぎる。イト、魔物の群れがこちらに向かっている、逃げるぞ」

 俺がイトにそう言った後に思う、思った以上にイトが疲れているなと。それはそうだという話、小休憩を挟んでいたとはいえ、イトのような少女に2時間も森の中を歩かせるとか、それは疲れて当然だ。


「ごめん、今は緊急事態だからな」

 俺はイトをお姫様抱っこして唱える。


「あのう、少し恥ずかしいです」

 恥ずかしくて顔を赤らめてるイトも可愛いって、そんなことを考えてる暇じゃなかった、逃げなければ。早くあの魔物の大群から逃げなければ。


「無属性魔法・身体強化・風魔法・追い風・風纏い・治癒魔法・体力回復・魔物から逃げるために。今から本気で走るぞ。それと、舌を噛まないように口は閉じておいてくれよ」

 そして、俺は全力で走った。


 ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ


 俺が足を踏みしめる度に地面がえぐれ、景色が大きく変わっていく。

 全力で走るとこんなに早いのか。


 そして、ものの1分で俺は町の目の前までたどり着いた。

 町の前には、明らかに戦闘職ですって感じのごつい人から、魔法使いですって感じでローブを着ている人、統一性のある甲冑に身を包んだ騎士団っぽい人が揃い、待ち構えていた。

 なるほど、流石に魔物の群れがこちらに向かっているのには気が付いていたか。丁度よかった。

 俺は甲冑を着た騎士団っぽい人に駆け寄り慌てて話しかける。


「すみません。旅の者です、森の中からいきなり、魔物の群れが、群れが現れました。慌てて逃げましたが、多分後30分ほどでこの町にたどり着くと思います」


「ああ、それは災難だったな、何魔物ごとき俺たち防黒騎士団にかかればゴミのようだ、後は任せて、お前達は町の中で避難していろ」

 めちゃくちゃに頼もしい言葉やな。カッコいい。お言葉に甘えましょうか。 


「ありがとうございます」

 俺は感謝の言葉を告げてからイトと一緒に町の中に入ったのだった。

 因みにイトは俺が飛ばしすぎたせいで目を回し気絶してしまっている。

 一応、風魔法・風纏で守ってはいたけど、目は回すか。まあそりゃそうだな。ごめんイト。


―――――――――

 因みに主人公は本気を出せばあの程度の魔物の群れ簡単に殲滅できます。まだ。日本人だったころの感覚が完璧に抜けていないのと、今はイトがいるという2つの点から戦わずに逃げるという判断を取りました。

 イトがいない。一人の状態だったらば挑んで普通に虐殺してます。

 主人公が本気を出せばそれこそものの数分で倒せる程度の魔物の群れ(千以上)です。※主人公が異常なだけです。


 面白いと思って頂けましたら星やハートを入れて頂けると嬉しい限りです。

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