天使ちゃんと両手に花

 というわけで俺は今イトと一緒に王都にある学校もとい山田学園に走って向かっています。

 何でかっていうと、イトが学校に行きたいと言ったので、本を使って良さげな学校を調べた所。条件に合致するのが王都にある山田学園だったからだ。

 この山田学園っていうのは、32年前に転移して来た勇者・山田が30年前に作った学園らしく、彼のラノベ的趣味が詰まった非常に良さげな学園であった。

 つまり俺から見ても非常に楽しそうで面白そうな学園であるということだ。いやはや同士よ。ありがとう。オタクに栄光あれだな。

 因みにこの山田学園の入学試験は1ヶ月後に控えているという。

 もう、これは山田学園に行くしかないでしょうって運命の神が言っている。

 というわけで山田学園に行くために王都に向かうこととなったのだが。最初は馬車を使って行こうかと思ったが、まさかの馬車のほとんどが人間専用と言われて、イトの乗車を拒否しやがった、もちろん獣人専用の馬車があったのだが。そっちはそっちで人間である俺の乗車を拒否しやがった。

 奴隷解放がオタクもとい同士達の手によって行われているが、今までの禍根が消えたわけではない。人間は獣人を奴隷として物として消費し、それを当たり前とし、獣人はそんな人間を心から憎んでいる。

 なるほど、それは乗車拒否されるわな。というかよくそんな状況で奴隷解放したな、どんだけの権力と物理的な力を持ってんだよって話だ。まあそれはいいや。置いておこう。


 というわけで自分達で馬車を買おうかと思ったが、それはそれで面倒くさいので走ることにした。

 ついでに言うと走った方が馬車よりも早かった。

 まあ、それは俺が自分とイトに補助魔法をかけまくって、走りやすい状態にしたというのが大きな理由ではあるが。それでも化け物なことには変わりはない。


 でまあ、今俺は王都にある山田学園に向けてイトと走っているわけだ。

 といってもまだ走り始めて1日目だ。

 特に問題は起こっておらず、今の所はイトと楽しく走れている。まあでも王都までそこそこ距離はあるし何らかのイベントは起きそうだけど。


 そうやってイトと軽く談笑をしながら暫く走っていたら前に盗賊に襲われている商人がいた。


 いや。一切の冗談抜きでフラグ回収が早すぎる。

 まあ面白そうだからいいけど。


「さてと。イト助けるかい?もしイトが関わりたくなかったら見捨てるけど?」

 俺はイトに一応そう質問をする。まあ答えは分かってるんだけど。一応確認のためにね。


「イトは助けたいです」

 イトは少し躊躇ったがそう言いきった。うん可愛い。

 まあいいやというわけで助けますか。


「土魔法・土槍」

 俺は土魔法・土槍を唱え30人ほどいた盗賊たちを一人を除き腹と頭に突き刺して殺した。因みにその一人は四肢を突き刺して動けないようにしてる。


「さあて、大丈夫ですか?」

 俺はニコニコの笑顔を作って襲われていた商人の所に向かった。


「あ、はい。大丈夫です。本当にありがとうございます」

 少し小太りの30代くらいの中年男性がそう言って慌てて俺に頭を下げる。

 多分この人が商人かな。残りの人はって、あれ?

 この商人が載せている荷物がチラッと見えたが檻みたいだったぞ?

 まさかまさか?いやもしそうならば大問題だぞ。一応質問をするか。


「おい。お前の扱っている商品は何だ?」

 俺は少し魔力を放ち威圧をしながらそう言った。


「あ。はい。私の扱っている荷物は塩でございます」

 俺のメガネの神器には嘘と出た。これは黒だな。真っ黒だな。一応オーラを見るが紫と黒が混じった汚い濁った色をしていた。

 つまり救いようのない悪であり反吐を煮込んだようなゴミだということだ。


「土魔法・土槍」

 俺はそのクズ商人の四肢を土槍で突き刺した。

 その瞬間激痛でか醜い叫び声を上げるクズ商人。

 俺はそいつの頭を掴んでもう一度質問をした。


「おい、もう一度聞く。お前の扱っている商品はなんだ?」


「ひ。許してください。私は私は利用されていただけなんです。本当は奴隷商人なんてしたくなかったのです。どうかどうかお慈悲を」

 クズ商人がそう言って命乞いをしてくる。

 奴隷商人という所は本当と出たがそっからは全部嘘だった。マジでこいつはクソだな。


「なるほどね。まあここで殺すのは勿体ないし、適当に捕まえて奴隷売買をした最悪の犯罪人として町の憲兵にでも引き渡すか」


「ひ。それはそれは止めてください。ここで一思いに殺してください」

 これは本当と出た。まあそうだろう。何故なら奴隷売買はかなりの重罪だ。関わるだけで余程なことが無い限り処刑確実だ。それもただ処刑されるのではなく見せしめに酷い拷問を受けた後に処刑だ。

 まあ、嫌だろうな。嫌だと思う。だからこそこのクズの末路に相応しい。


「いいや。駄目だね。というわけでその醜い口を開けるな。開けたらお前の目ん玉潰すぞ」

 俺がそう脅すと奴隷商人は何も言わなくなった。


「あのう。ご主人様。あそこで囚われている人たちを早く解放してあげましょ」

 イトが俺のローブを引っ張ってそう言ってくれる。うん優しいなイトは。まあ過去に自分も奴隷にされかけたって経験があるから、同じ境遇の人を見過ごせないんだろうな。


「そうだなイト。今解放するよ」

 俺はそう言って馬車につないである檻に近づいて中身を確認する。

 そこには天使がいた。

 いや、何を言ってるんだと思うが。本当にその通りだったのだ。天使がいたのだ。

 真っ白な翼を持ち、髪は金色で目は綺麗なエメラルドグリーン色。手にはとても綺麗な指輪を一つ嵌めて背中に神々しさを感じる弓を携えていた天使がいたのだ。後胸が大きかったです。


 ・・・・・・・・・・・・


 いや。違う?これ天使じゃなくて俺と同じ転移者じゃね?

 何となくそんな気がするのだが。


「ねえ、もしかしてだけど、君って転移者?」


「え?もしかして貴方も転移者なんですか」

 俺が少し戸惑いつつそう質問をしたら、天使もとい転移者の彼女が心底驚いたように声を上げた。

 どうやら大正解だったようだ。


「はいそうです。あ、こんな所に閉じ込められては話が出来ませんね。今解除させますね。拘束魔法・拘束解除」

 俺は魔法を唱えて彼女を捕らえていた檻の鍵もとい拘束を解除させる。

 その瞬間彼女が俺に飛びついてきた。


「いや。本当にありがとう。もうこれからどうなるか絶望で。本当に本当に助かって良かった。うん本当に良かったよ。う、ううう、うわあああああ。怖かったよ~~~~~」

 そのまま俺の胸で泣き始める彼女。うんイトと違って凄く豊かな胸が当たってヤバい。

 まあそんなわけで俺は彼女の胸を堪能しつつ泣き止むまでそっと頭を撫でて上げた。

 そうしていたらイトが嫉妬してか。イトも俺に抱き着いてくる。

 しょうがないので両手使って二人共の頭をなでなでしてあげた。


 つか落ち着いて考えたら俺の回り盗賊とあの奴隷商人の護衛の死体でパラダイスしてるのに何で可愛い女の子二人の頭を撫でてるんだろう。両手に花っていう素晴らしい状況なんだけどさ、本当に嬉しいけどさ。状況がカオスやな。カオスオブザカオスだな。

 まあ、でもいっか別に気にするのも面倒だ。


 そうやって暫く撫でてたら二人とも満足してくれたのか俺から一旦離れてくれる。


「で?君はどうして捕まっていたの?というか名前は?」

 俺は天使もとい転移者の彼女にそう質問をした。


「あのう。話すと少し長くなるのでよかったら場所移動してくれませんか。流石にこんな場所に長くいたくないです」

 そう突っ込まれた。まあでも言われてみればその通りだな。辺りを見渡す。

 血塗れ&死体だらけである。


「ごめんごめん。確かにそうだね。じゃあこの犯罪者二人を檻にぶち込んといて近くにある町で引き渡してから話をしてもらうよ」


「はい。それでお願いします」


「じゃあサクッと町に向かいますか。イトもそれでいい?」


「もちろんですご主人様」

 イトからも許可が出たんで。俺は死体から金目の物を一応抜き取り異空間に入れた。後は全部燃やしてから馬車を使い町に向けて出発をした。


 2時間後


 町に到着した。


 着いたら門番としている憲兵に俺の冒険者ギルドAランクの証を見せて身分証明をした後、事情を説明して二人と馬車を引き取ってもらった。

 そっからどうやらこの盗賊に奴隷商人二人共が指名手配されている賞金首だったらしく謝礼金として大金貨10枚を貰えた。

 やったね非常に素晴らしい臨時収入をゲットだぜ。ただ正直謝礼金高すぎな気はしたが、まあ、それだけヤバい犯罪者だったてことか。いやはやいやはやですね。


 かくして町を軽く歩きつつ彼女から説明をしてもらう為に三人で適当な宿を探してそこに入った。


「というわけでここなら大丈夫でしょう。さあ。どうしてこうなったのか話して貰うよ」


「はい。分かりました。では話を始めますね」


 ――――――――――

 補足説明

 この作品をハーレムにするかハーレムにしないか非常に悩んでいます。

 ハーレムにする場合は今回の天使ちゃんはヒロイン候補に入ります。

 ハーレムにしない場合は普通にお別れです。

 よろしければ皆様の感想、お願いします。

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