家?簡単に作れますけど何か?

 転移した場所はかなり荒れていた。

 というかほぼほぼ廃墟みたいな感じだった。

 そりゃあまあ当たり前の話だが奴隷狩りに襲われたんだ。奴隷として捕まえた後に金目の物漁るのは当たり前だな。それは荒らされまくるはな。

 まあ、いいや。とりあえずここまでボロボロならば全部更地にするか。その方が色々と楽そうだ。


「詠唱・我は全てを更地にすることを望む。我のこの膨大な魔力を持ってして眼下に広がる廃墟を無に帰せ。消去魔法・デリート」

 俺が魔法を唱えた瞬間、目の前にあった廃墟が全て消えてなくなり更地となった。


「さてと。じゃあ次は家を作りますか。流石に創生魔法で一から作るのは魔力消費がヤバいから木を伐採して材料にするか。イト行くぞ」


「はい。ご主人様」

 かくして俺はイトと一緒に森の中に入り。本の神器とメガネの神器の併用で建築に向いている木を探し出して伐採し、空間魔法を使って異空間に収納した。


「さてと、じゃあイト、今から家を作るぞ。何か要望はあるか?」


「要望ですか・・・イトはご主人様が作りたいように作って欲しいです」


「そう?じゃあできる限り頑丈によさげな感じで作るね。というわけで、土魔法・土壁生成×40」

 俺はまず最初に土の壁を四方に作り上げる。


「詠唱・我は望むは立派な建物なり・我が出す材料はこの立壁と木材と我が膨大な魔力なり。我が望む建物は平屋なり。我が望む建物は広く頑丈なり。我が望む建物は快適なり。想像魔法・多量建築」

 俺はいつもの感じで魔法を発動させた。

 そして魔力切れに陥った。想像以上に魔力が吸われ一瞬だけ気分が悪くなる。しかし健康指輪の神器の効果で魔力がガンガン回復していく。そしてまた回復した分吸われて気分が悪くなり回復して吸われ気分が悪くなり回復してを繰り返す。

 3分程この繰り返しをしてようやく魔力が足りた。


「あのう、ご主人様大丈夫ですか。凄くお辛そうでしたが」

 イトが俺を心配してくれる。うん優しいな。

 俺はそんなイトの頭をなでなでしながらこう言った。


「いや。大丈夫だよイト。特に問題はない。それよりも見てみろよ、この家をよく出来ているだろう」

 そう言って俺が指さした先には立派な家が並んでいた。

 少なくとも廃墟だったあれと比べると確実に素晴らしいものが出来上がっている。

 因みにこの家を作るときには俺が思い浮かべたのは田舎とかにありそうな立派な平屋だ。

 通気性がそれなりに良くて、住みやすそうで、頑丈で地震が来ても大丈夫なそんな家だ。

 まあ、結果は俺の想像通りになった。もちろん家具とかはないが、そこら辺はまあおいおい魔法を使って作るか、普通に買えばいい。何、お金なら普通にあるし、それにもし作るってなっても家を作れるのだから家具を作るのも余裕だろう。


「はい。とても立派です。ご主人様。こんな簡単にこんなに凄い家を作れるだなんてご主人様はやっぱり凄いです」


「そうだろう。そうだろう。凄いだろう。さてイト、じゃあ村の皆にもこれを見せに行くか」


「はい。そうですねご主人様」

 俺はイトの手をつなぎ空間転移でイトの村の人達がいる場所まで転移した。


 ――――――――――――――


「どうも。取り合えず家作っていきました」


「え。もう作ってきたのかい?」

 イトの父親が凄く驚く。まあそりゃそうだ、だってまだ家を作り始めると言って1時間もたっていないのだから。いや、下手したら10分と少しくらいかな。

 木を切るのも魔法でサクサクっとやったから5分程度だったし。


「はい。まだ家具とかは作っていませんが、まあ取り合えずどんな感じか見に来てください。というわけで皆さん俺の元に集まってください」

 俺はそう大声で呼び掛けた。

 皆その声に反応して集まってくれる。


「では皆さんで手を繋いでください」

 俺はイトとイトの父親の手を繋ぎながらそう言った。皆それを見て手を繋いで一つの円を作り出す。


「では転移しますね。詠唱・空間よ空間よ、我は望むイトの住んでいた村を、我は望む、そこへ転移せんことを、空間の理よ、空間という概念よ、ああ、我が声と魔力に答えて我と今この場にいるものを転移させたまえ。空間魔法・集団転移」

 そして俺たちは村へと転移した。


――――――――――――


「ここが、村なのか。なんだこの立派な建物は私達が元々住んでいた家の何倍も大きくて頑丈そうじゃないか」

 転移するや否や。イトの父親がそう叫び声を上げる。


「そう言って貰えると作ったかいがありますね」


「作っただと?あの短時間でこれを作ったのか?作り始めるといってから10分程度しか立っていないはずだぞ」

 イトの父親が驚きすぎて興奮してるのか俺に怒鳴るように質問をする。うん、凄い驚いていますね。まあ確かに驚く気持ちは分かるかな。


「ええ、そうですよ。それくらい出来ますよ。俺はこれでも大魔導士なんですから」

 俺はそう胸を張って言い切った。


「はい。ご主人様はとても立派な大魔導士です。イトもご主人様が一からこの家を作り上げるのをみました」

 イトが俺をほめてくれる。うん。嬉しいな。


「そうか。そうだな、すまない疑ってしまって。そしてありがとう。このような立派な家を作ってくださり。この村の村長として礼を言う」

 イトの父親がそう言って頭を下げるって、村長?この人村長だったのかよ。マジかよ初めて知った。


「いえいえ。イトの家族なんですからこの程度当たり前ですよ。それにまだ結界も張っていませんし家具も揃えていませんから。あ、結界は今張りますね。詠唱・この村を守りし大いなる結界を我は望む。敵意ある者を弾き、害ある者を物を弾き、病魔を弾く。この結界がある限り、絶対に安全を保障しよう。この結界の中にいる限り100%の安全であることを願おう。誓おう。約束しよう。我が魔力よ、形を作れこの村を守る大いなる大いなる結界となれ。結界魔法・完全結界」

 俺は今あるありったけの魔力を使い結界を張った。

 まあ、余程な化け物ではない限りはこの結界を破ることは出来ないだろ。少なくともレッドドラゴン程度だったらはじけるだろう。


「さて、とりあえずはこれで大丈夫でしょう。後よろしければこれを」

 俺は大金貨と金貨を何枚か取り出して村長に渡す。


「こんなに頂いて大丈夫なんですか?」

 村長がかなり驚きながら渡された金貨と大金貨を握りしめる。


「はい。大丈夫ですよ。それで家具とか食料を買ってください」


「分かりました。本当に色々とありがとうございました」

 村長がそう言って頭を下げる。それを見て周りに人、いや獣人も俺に頭を下げる。


「いやいや頭を上げてください、俺はイトの家族とその村の人達に対して当たり前のことをしたまでですから」

 俺はそう言いきった。しかしこれが事実だ。もしこの獣人がイトの住んでいた村の人たちでなければここまで手厚く色々としていなからだ。


「そうですか。ではイトをよろしくお願いいたします」

 村長は再度そう言って頭を下げる。


「はい。もちろんです、というわけでイトこれからどうしたい?」

 俺は可愛い可愛いイトにそう質問をした。何故なら俺には異世界という事でやりたいことは色々とあるけど、どれをしようか悩んで上手く決まらないからだ。

 それにイトと一緒にこれから旅をするんだ、イトの意見が大切に決まっている。


「じゃあ。ご主人様。私は学校に行きたいです」

 イトが可愛い犬耳を動かしながらそう言った。

 なるほどね。学校か。うん素晴らしね。異世界での学園生活は非常に楽しそうだし。イトと一緒なら更に楽しいだろうな。


「最高の案だよ。イト、じゃあ一緒に学校に行こうか」


「はい」

 というわけで俺の今かの目標が学校もとい学園に行き楽しく過ごすに決定だぜ。


 ―――――――――――――――

 補足説明

 というわけで以上で奴隷狩り辺は終わりです。超絶サクッと終わらせました。

 こっから主人公とイトの楽しくて愉快な学園生活を始めようと思っています。その前にダンジョン攻略辺を少し挟みますけど。


 後、主人公が勝手に獣人を連れて行った件ですが。これは後々主人公が事情を説明していたという後付け設定をしますので問題はありません。

 突っ込まないでください。


 ――――――――――――――――


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