異世界召喚と弟子入りしたって話

「お~~~、成功したぞい。異世界召喚」


 目の前に、大きな白い髭を生やし、頭に三角の帽子をかぶり、かなりゆったりとしたらローブを身に纏った老人がいた。

 何かこうハリーポ〇ターのあの校長先生に似てるな。うん。凄い似てるな。


「さて。初めましてじゃ、儂の名前はダンバルトじゃ、お主を異世界から召喚した者じゃ。何取って食おうとなどは考えてはない、4年に1度異世界から人を召喚できる魔法が使えるらしいので気になって試しただけじゃ。ただの興味本位じゃ」

 老人の口ぶりから察するに少なくと、いきなり奴隷にされたり、殺されるとかはなさそうだな。異世界系では意外とそういうのあるから少し不安だったが安心した。

 というか待て、4年に1度の使える魔法ってことは過去にも召喚が行われたという事か?気になるな。よし優しそうな人だし質問してみるか。情報は武器だしな。


「あのう。すみません、4年に1度異世界から人を召喚できる魔法ですか?ということは私のような異世界人はたくさんいるという事ですか?」


「うむ、そうじゃ、確かこの異世界召喚の魔法が生み出されてから、40年経っておるから、丁度10回目の召喚じゃのう」

 なるほど、じゃあ、思いのほか異世界人というか同郷の人は多そうだな。

 というか、待て。待てよ待てよ待てよ。そう待つのだ。その先に来ている人達はもしかしなくても大半の神器が重ねることで強くなるって気が付いてるんじゃないか?もちろん俺の持つ神器は違うが、もし、そうならば剣の神器や銃の神器、スマホの神器といった重ねなければならない神器の保持者は狙われそうだな。

 いや、怖。危な過ぎだろ。それこそ神器を重ねるというのを狙って異世界召喚をしてそのまま殺して神器を奪うってありそうやな。


 ・・・・・・・・


 異世界怖ぇえええええ。

 本当に余り物の神器で良かった。


「そうなんですか、ありがとうございます、あのう、それで、私はこれからどうなるのしょうか?」

 かなりの不安を感じながら一応の拙い敬語で言う。

 正直今の俺がこのお爺ちゃんに勝てるとかは絶対にありえない、何故って、眼鏡の力だと思われるけど、このお爺ちゃんから恐ろしいまでの力強いオーラが見えるからだ。

 いや、まあ、そのオーラは尖ってるとかではなく、全てを包み込むような優しいオーラだけど。それでもめちゃくちゃ強そうではある。ただ何というかやっぱり優しそうな人だと思うんだよな。まあオーラが優しそうだからって理由なんだけど。でもこのメガネの情報だ信用出来る。少なくとも鑑定とかも上手く出来てるし、神様から与えられた神器だ。

 だからそこまで変なことにはならんだろ。多分だけど。


「ふむ、どうするかのう?」

 お爺ちゃんのその言葉を聞き俺は一つ賭けに出た。

 このお爺ちゃんが優しい人だと信じ、そして、これからの俺の命運を託して。


「では、ダンバルトさん、私を弟子にしてください」

 そう言って土下座した。我ながら綺麗な完璧といっていい土下座が出来たと思う。


「フォフォフォ、フォフォフォ、弟子か、弟子か、そうか弟子にしてほしいか、いいだろう、元はといえば、お主は儂の身勝手な魔法で召喚されてしまった身、ならば儂が面倒を見るのが道理という物よのう。

 では儂・ダンバルト・ケットル・モリヒルストマは異世界から召喚されし・・・って、そういえば、お主の名前はなんじゃ?」


「あ、はい、私の名前は草壁・賢治です」


「ふむ、クサカベ・ケンジか。良い名前じゃ、では気を取り直して、儂・ダンバルト・ケットル・モリヒルストマは異世界から召喚されしクサカベ・ケンジを弟子として迎え入れる」

 お爺ちゃん、いや、師匠がそう言った瞬間、俺の身体と師匠の身体が光り輝きだす。

 そして、1分ほどたってから光が止んだ。


「これで、お主は儂の弟子じゃ、これから、お主を一人前の魔導士にしてやるからな、覚悟しておれ」

「はい、頑張ります、師匠」


 異世界生活1日目、主人公は師匠を得た。


 ――――――――――

 設定

 師匠は少し魔法オタクっぽい所があるが、凄く良い人です。

 後々師匠の過去明かしますが、かなり強い大賢者です。


 40年前から行われ始めた異世界召喚により、地球からやってきた異世界人は500人以上います。中には食品関係やインフラ整備に詳しい人がいて、元々の時代背景は中世ヨーロッパくらいだったのですが、普通に水道が引かれて、下水とかもしっかりと管理され、マヨネーズに醤油にポン酢等の調味料が揃っており、食という点は日本には及ばないもののかなり進んでいます。

 異世界と地球の流れる時間は違う設定です。

 今のところは異世界の方が10倍速く進んでいるという設定です。

 その為、40年前に異世界に召喚された人でも、実際には40年前の地球もとい日本ではなく4年前の地球もとい日本からやってきています。

 

 因みにスマホは日本にしかないですが、スマホという影響力が非常に強いので重ね切れれば一切の冗談抜きでめちゃくちゃのチート神器になります。

 ただそれでも、健康指輪の神器には及びません。

 それだけ健康でいたいという想いは強いということです。

 まあ、完全再生に不老に状態異常完全無効ですからね。

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