隠れた?名店と詳細鑑定は便利過ぎるって話


 天使?を助けてからの死者蘇生&最強のおばあちゃん?からのミスラの指輪獲得イベントが終わった後、俺とイトはせっかくなので街をぶらぶらと観光している。


 何故かと言うと、せっかく宿を取ったし勿体ないから泊まろうという理由と今のペースで走れば1週間もかからずに山田学園のある王都まで辿り着けそうだからだ。

 ぶっちゃければここで多少のんびりしても問題は一切ないだろうって話だ。

 それにイトと一緒にこのファンタジー世界をぶらぶらと観光するのも楽しそうだしね。お金の余裕もあるし。ようは俺の我儘って奴だ。

 だけどイトはそんな俺の我儘に嫌な顔一つせずに心の底から楽しそうに一緒にいてくれる。

 なんかもう俺のイトが可愛いすぎてヤバい。

 これだけで一本小説が出来上がりそうな気分だ。


「そういえばイトは何処かこの町で行きたい所はあるか?」

 

「行きたい場所ですか?」


「ああ。そうだ。行きたい場所だ。俺は特にないから、イトの要望でも聞こうかなって?もちろんこのままぶらぶらとするのでもいいが、イトはどうしたい?」


「イトは、武器屋に行きたいです」

 イトの回答は俺からしてみれば少々斜め上をいく内容であった。

 正直ケーキ屋さんとか服屋さんみたいな可愛いのを予想していたのだが、でも、それがイトの意思ならば尊重しなければならないかな。


「分かった。じゃあ武器屋に行ってみようか。ただ疑問何だが、どうして武器屋に行きたいんだ?」


「そのう、イトも戦えるようになりたいからです。もしもあの時イトが皆を守れるだけの力を持っていたらって思うと悔しくて悔しくて、それにいつまでもご主人様に守られているだけじゃいたくないです。イトはイトは、ご主人様と一緒に戦えるようになりたいです」

 イトの目には凄く強い意志を、確固たる意思を感じた。

 イトは凄いな、盗賊によって襲われ、全てを奪われるという地獄のような経験があったというのに、それを乗り越えて、自分も戦えるようになりたいと思うとは。これはイトの期待に応えないとご主人様の名前が廃るな。


「そうか、イトは強いな。よし分かった。じゃあ武器屋に言って、イト専用の武器と防具を探そうか」


「ありがとうございます。ご主人様」


「いや、いいってことだよ。だって俺はイトのご主人様だからな」


 俺は本の神器をつかってこの町のパンフレットを調べて読む、隠れた名店という特集記事でこの町にある武器屋が乗っていた。

 こんなに堂々と雑誌に載ってればそれは隠れた名店なのか?隠れてなくねとは思ったが、一応他の本に変化させてその武器屋を調べてみるが、どれもかなり好意的な意見で埋め尽くされていたので、俺はそこにいくことを決めた。


イトと手を繋ぎながら、武器屋まで歩く。

特にテンプレでよくある危ない人に絡まれる等の問題はなく、武器屋に到着した。

武器屋のパっと見た感じは、THE武器屋って感じだった、木造2階建てで剣と盾の看板が飾ってある。

早速中に入る。


 中には所狭しと武器に防具が飾ってあり、奥のカウンターに店主と思われる中々にごついオッサンが剣の手入れをしていた。


「うわぁ、なんか凄い場所ですね」

 イトが目をらんらんと輝かせて、非常に楽しそうにしている。

 うん。イトが楽しそうで何よりですね。


「そうだな。お金ならあるから、イトの好きな武器に防具を買っていいよ」


「ありがとうございます。ご主人様」

 イトがどんな武器、防具が良さげか店の中を見て回っている。

 俺もせっかくなので、良さげな武器、防具を探す。

 で、探そうと武器を手に取って見てみるが、まあ、さっぱり分からなかった。

 当たり前だが俺は最近までただの平和な日本に暮らす学生だ。

 そんな俺が武器の良し悪しなんて分かるわけがない、それこそゲームの様に能力が鑑定出来れば楽なのだが、ん?鑑定?

 あ、メガネの神器を使えばいいやん。

 詳細鑑定すればいいやん。こんな簡単なことも分からないとか恥ずかし。まあ、いいや取り敢えず詳細鑑定してみますか。


 鉄の剣

 鉄で出来ている剣。

 製作者の腕が優れている為に普通の鉄の剣よりも切れ味が良い。

 耐久性は普通の鉄と剣と変化はない。

 特に付与魔法等はされていないが、製作者の腕が良いため普通の鉄の剣よりも多くの付与魔法がかけられそうである。


 おお、何というか、普通に腕が良いんだな。流石隠れた?名店と絶賛されるだけのことはあるな。

 さてと、せっかくというよりもテンプレ通りに掘り出し物でも探してみますか。

 

 俺は敢えて端の方に乱雑にまとめて入れられている武器に目を向ける。

 一個手に取って詳細鑑定してみる。


 鋼の剣

 鋼で出来ている剣。

 製作者の腕が劣っている為に耐久性及び切れ味ともに普通の剣よりも悪い。

 ぶっちゃけてしまえば、未熟な鍛冶師が練習の為に打った剣である。


 うん。文字通りゴミだな。

 なるほど、それはこんな乱雑に置くわな。

 でも、こんなので諦める俺でもないし、片っ端から詳細鑑定していきますか。


 文字通り端から順に鑑定すること10分。


 乱雑に置かれている剣を一通り詳細鑑定し終わった。

 結論を言えば、掘り出し物なんてのはなかった。

 流石にそんな上手くはいかないってことだな。こればっかりはしょうがない。テンプレはなかったってことだ。


「あのう。ケンジ様、欲しい武器が決まりました」

 イトが俺に見せて来た武器は短剣だった。

 見た感じ特に装飾とかも何もない普通の短剣。特別な力とか付与魔法の気配も感じない。

 俺だったら絶対買わないなって思うが、イトが選んだものだし買いますか。


「オッケー。じゃあこれ買うか」

 

「はい。ありがとうございます。ケンジ様」


 という訳で俺はイトの選んだ短剣を店のカウンターまで持っていき会計をしようとする。


「大金貨3枚だ」

 俺が短剣を持ってくるなり店主にそう言われた。

 大金貨3枚、別に出せる金額ではあるが、あるがしかし非常に高い。

 日本円に直せば300万円、ここの物価の方が安いのを考えれば600万以上の短剣ってことだ。

 うん。なるほどね馬鹿なのか?

 これは俺がぼったくられてない?

 

「あのう、ご主人様、まさかそんなに高いとは分からなくて、そのう、やっぱりいいです」

 イトが申し訳なさそうな顔をしている。これは非常に、そう非常に心苦しい。

 でも大金貨3枚は流石にこれがそれに見合うだけの物ならばいいのだけど。一応詳細鑑定してみるか。


 神器・成長の短剣

 この神器は成長する。

 その成長は装備の所有者の望むように成長していく。

 その成長は一切の限界がなく、それこそ死者する蘇生させる力を持った短剣だろうと、ありとあらゆる全てを消滅させる恐るべき短剣だろうと、何にでも成長する。

 可能性は無限大である。

 この神器はいくらでも付与魔法で魔法を付与することが可能である。

 ※神器は絶対に傷がつかず、壊れない。また、神器は譲渡や盗むことが出来ず何があっても所有者の元に必ず戻る。

 ※まだこの神器は完全開放されていません。


 は?チートじゃん。逆にこれを大金貨3枚って安すぎんか。


「いや。イト。この短剣は絶対に買うべきだ。いやというか買う。俺が買う。今すぐ買う。ほいこれ大金貨3枚丁度だ」


「毎度あり」

 

「え、そのうご主人様。いいのですか?」


「ああ。それでイト防具はいいの見つかった?」


「えっと。イトは身軽に回避していくスタイルで行きたいと思ったので、特に欲しい防具はなかったです」


「なるほど。分かった。じゃあ後で俺がイトに似合う防具をつくってあげるよ」

 幸い俺の異空間の中には防具の材料になりそうな魔物の皮やらが文字通り山のようにある。それを使っていい感じにカットして加工して付与魔法をかければイトの望む回避スタイルに合う防具が作れるだろう。


「いいんですか。ありがとうございますご主人様、凄く嬉しいです」


「それは良かった。じゃあ防具を作ってあげるから宿に戻るか」


「そうですね。戻りましょうか」

 かくしれ俺とイトは二人で仲良く宿にまで戻るのだった。


――――――――――――

 補足説明

 神器・成長の短剣はイトのものとなります。

 主人公は装備しないです。

 

 面白いと思って頂けましたら星やハートを入れていただけると嬉しい限りです。

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