紋章は最強って決まってるだろ


 深夜


 イトが寝入ってる中、俺はとある実験をする為に一人起きる。

 ぶっちゃけた話をすれば健康指輪の神器のおかげで俺は寝なくても一切問題はない。

 睡眠不足というのも状態異常に分類されて放っておけば勝手に治るのだから。


 俺が寝ているのは極論を言えば趣味のようなもの、いや、習慣のようなものだ。


 そんな訳で寝なくても大丈夫な俺は今、起きている訳だ。


 気持ちよさそうに寝ているイトを起こさないようにそっと体を動かして、床に座り込む。


 辺りが真っ暗で良く見えないのでいつもの様に空間魔法・異空間からメガネの神器を取り出してかける。

 その瞬間、真っ暗だった視界が晴れて、物凄くよく見えるようになる。

 流石メガネの神器だなと思いながら、実験を始める。


 その実験の内容とは、ズバリ、紋章の実験である。

 俺は昨日?今日?紋章について知った。

 デスリッチとの邂逅からの紋章という凄い技術を持った物を知ったわけだ。

 そしてその紋章について書かれている紋章遊び大全という1300ページもある非常に面白い本を読み切った訳だ。

 そんな面白い本を読んだ俺は、今、紋章の実験をしたくて仕方がないのだ。


 だって、そうだろ。

 紋章だぞ。


 今の所、この世界にはほとんど普及していないチート技術であり、たった一瞬で俺が無詠唱で魔法を使えるようになった紋章だぞ。

 紋章遊び大全を読んだ感じ、更にまだまだ色んなことが出来そうだし、非常に応用も効きそうである。

 何ならイトの持っている元成長の短剣(神器)に紋章を刻めば更にあれを魔改造出来そうだし、他にも紋章を使えば色んな便利な魔道具を作れそうだし、チート武器・防具の量産も出来そうだ。

 いやもう紋章というのを考えただけでワクワクしてくる。

 非常に楽しそうだ。


 そんな訳で紋章を使って魔道具を作っていきましょう。


 イエーイ。

 まあ、今はイトが寝てるから起こさないように声は出せないけどね、頭の中で実況でもしながら作っていきますよ。


 という訳で、まず。用意するのは魔石です。


 魔石は魔物の大群を始末した際に大量に獲得しています。

 最悪、自分の魔力を固めで人工魔石を作ることも出来るので、実質無限にあります。

 この魔石に紋章を刻んて行きます。

 

 刻んでいく紋章は何にしようかな~~~。


 取り敢えず、基礎の紋章として魔力増強の紋章を付けますか。


 かきかきかきっと。


 因みに紋章の刻み方は一定量の魔力を込めて、紋様を刻み込む感じです。

 いや、正確に言えば、魔力を使って紋様を描くかな?

 刻み込むって表現は正しくないな、掘ってるのではなく上に描いてるって感じだ。

 だから紋章の所を見たらその部分が本当に少しだけだが魔力で盛り上がっている。

 といっても、目には見えないレベルの盛り上がり方だが。

 

 まあ、いいや、それはどうでもいいか。

 一番大事なのはこの紋章によって本当に効果が発揮されるかどうかだ。


 そうして一人黙々と魔力増強の紋章を刻み込んだ。まあ、刻み込むって表現は正しくないけど、なんかこう、刻み込むって言い方がしっくりくるから。うん、このままでいっか。


 刻み込み終わった魔石を手に持っている。


 魔力が増加しているのを感じた。


 つまり成功ということだ。


 何というか、思った以上に簡単に成功した。

 そんでもって、効果に驚いた。

 魔力が何と1.1倍も増加してるのだ。


 1.1倍って少なくねって思われるかもだが、そんな訳がない、多すぎる。

 今の俺の魔力は常人の数千倍とかあると思う。

 それこそも魔物から理外の領域と言われるレベルである。その俺の魔力が1.1倍も増えるのだ。

 ヤバすぎるだろ。

 おそらく保有最大魔力値参照で魔力増加されてるのだろうけど。

 基本的に保有最大値参照での強化系統は強いって相場が決まってるからな。

 流石に同じ紋章を刻んである魔石をいくつも持ったらその分だけ魔力最大値が強化されますって感じではないけど、違う紋章を刻んで、それを持てばしっかりと同じように効果が発揮される。

 そんでもってこの紋章遊び大全には他に、魔力増加の紋章が9つある。


 つまり、これも刻めば魔力がめちゃくちゃ上がるって訳だ。

 これを試さない俺ではない。

 という訳で紋章を刻んでいきましょう。


 1時間後


 刻み終わりました。


 魔石を10個用意して刻むのは少々アホらしく感じたので、途中、30センチ大のかなり巨大な人工魔石を作って(何度か魔力切れになるレベルで魔力を消費した)、それに10個の魔力増加系統の紋章を刻んでから、流石にこのままじゃあ、大きすぎて身に着けれないので、圧縮の紋章を使って3センチの小さな魔石になるように圧縮させました。

 後は適当にリングをつけて指輪にしました。


 で、これを装備したら、まあ、凄かった。

 具体的には魔力の最大値が4倍以上になった。


 まず、魔力増加の紋章として1.1倍増加・1.2倍増加・1.3倍増加・1.4倍増加・1.5倍増加の紋章があった。

 これら5つの紋章だけで3.6036倍まで魔力の最大値が増加する。

 この時点で、何かもう意味が分からない。

 

 そんで残りの5つが純粋に魔力を一定値上昇させる力を持っている。

 あくまで魔力を一定値上昇だし、そこまで上昇させる効果ないだろなんて思ってたが、全然そんなことなかった、普通に化け物上昇した。

 それはまあ、紋章を刻むのにかなりの魔力を消費したよ。それこそ、何十回、何百回と魔力が枯渇するレベルで魔力を消費したけど。

 それでも、このレベルの魔力上昇はチート過ぎる。

 

 紋章凄いわ。

 マジで凄いわ。


 さあて、この調子でイトの為にももう一つ同じものを作っていきますか。


 50分後


 完成した。

 一度作って慣れたのか、さっきよりも早く作ることが出来たぜ。

 やったね。


 イトが起きたらこの指輪をプレゼントしますか。

 

 さあて、じゃあ、次は身体能力強化の紋章を刻んだ指輪を作っていきますか。


 2時間後


 何とか二つ作ることが出来た。

 いや~、身体能力強化の方も、魔力と同じように身体能力が4倍以上、いや、一定値上昇の上昇量が魔力よりも顕著に出たので、5倍以上も上昇する。

 我ながらとんでもない指輪を作ったもんだな。


 正直、この紋章を刻んで作った指輪2つだけで、下手な神器よりもよっぽど強力な気がする。

 この2つの指輪を身に着けるだけで余裕で人間をやめている身体能力と魔力を手に入れることが出来るからな。

 ヤバすぎるだろ。


 そんでこれが一番大事なのだが、紋章を使って出来そうな強化はまだまだあるということだ。

 具体的には一部魔法を魔力消費なしで使えるようになる紋章や攻撃を吸収する紋章、五感を上昇させる紋章、成長率が上昇する紋章、体力を上昇させる紋章、全体的な持続力を上昇させる紋章。等々。

 他にも悪用もとい有効活用が出来そうな紋章として、人の行動を縛ることの出来る紋章や、人の感度を上昇させる紋章、人の五感を消すことの出来る紋章、人の痛覚の身を上昇させる紋章、人に対して強制的に命令を効かせることの出来る紋章。


 なんかもう色々な紋章があった。


 というか、一部、某エロゲ初の紋章や某同人誌の紋章感がヤバいが、まあ、それはそれ、これはこれだろう。

 知らんけど。


「おはようございます。ご主人様」


 俺がエロいこと。ゲフンゲフン、紋章のことを考えていたらイトが目を覚ました。

 ふと、外を見たら夜が明けいていた。


 どうやら紋章作成に熱中し過ぎていたらしい。


「ああ。おはよう。イト。それで早速だがこれをイトにあげるよ」

 俺はそう言って作りたてほやほやの紋章を刻んである、指輪二つセットをあげる。


「凄く綺麗な指輪です。ありがとうございます」

 綺麗か。確かに人工魔石は俺の魔力を使って一から作り上げたもの、不純物とかは一切入っていない上に属性魔力を入れるとかもしていないから、驚くほどに透明で綺麗な、それこそダイヤモンドみたいな感じだからな。

 確かに綺麗だ。


「ああ。そうだよ。因みにそれは紋章を刻んで作った指輪だから、身に付けているだけで魔力と身体能力が上昇するから」


「そうなんですか。ご主人様、ありがとうございます」


「いや。いいってことよ。この指輪で少しでもイトが強くなるのなら、イトが安全になるのならば俺にとってはそれが最高だよ」


「ご主人様・・・。本当にありがとうございます。私は幸せです。こんな優しくて強い、ご主人様を持てて」

 イトが嬉し泣きをし始める。

 うん。俺としてもイトが幸せそうで嬉しい限りだわ。

 

――――――――――――


 面白いと思っていただけたら星やハートを頂けると嬉しい限りです。


 え?更新が遅い。

 土下座をします。

 いやもう本当に申し訳ございません。

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