第16話 配属先によっては......
「その前に、どんな配属先が有るのか教えて下さい」
私の言葉にハッとなった様子の隊長。
「そういえば、話してなかったか? そもそも、この時点で話すのは厳禁なんだが、まあ、今回に限っては......というか、お前に限ってはだな。薬を飲まなかった事といい、名前呼びといい、火を絶やした事といい、発砲といい、イレギュラーの連発だからな!」
何だか、全て私のせいにされているような気がする。
どうやら隊長は、責任転嫁が大好きなようで。
まあそれでも、他の入植者達が知り得なかった時点で、私は、配属先の種類を聞ける事になるのだから、ガマンしてあげよう!
「イレギュラーのついでに、教えてもらえるんですね!」
「アーロン、説明はお前の方が得意だろ」
本当に説明下手なせいか?
共犯者を増やそうとしているのか?
まあその両方だと思うけど、アーロンに命じた隊長。
「了解です。詳細まで説明するのは、さすがに御法度と思われるので、大まかにだけ伝えます。既に、話題に上がっている、戦闘隊と、ハーレムの他に、生産隊、清掃隊、教育隊、建設隊が有ります」
へえ~っ!
そんなに配属先の種類が有ったんだ!
それらの配属先が何をするのか、よく分からないけど、掃除だけっていうのは苦手だし、教育は私が受けていた立場だし、不器用だし......
となると、やっぱり.......
生産隊かな?
きっと食べ物系を扱うような気がするから、どこよりも興味深い!
「ティアナは食い意地が張ってそうだから、生産隊辺りが妥当と思ったが、意外にもあれだけ射撃が得意だから、戦闘隊の可能性が強いな」
「いえ、それは無理です! 生産隊が希望です!」
こんな野生じみた危険な生活で、一生終わらせるのは真っ平ごめん!!
そこは強く主張しなきゃならないところだ!
「戦闘隊はいいぞ~! 何より銃を扱えて、毎回スカッとするし、カーストのトップだから、他の隊よりも融通が利く」
銃を使ってスカッとするのは、隊長みたいな人だけ!
こっちは、銃を持つだけでも、ビクビクしているんだから!
ところで、カーストって.....?
所属先によって、人々にランクが決まっているってこと?
「戦闘隊には、僕のような頭脳班もいるし、救助班もいるから、その間の交流も盛んだし、一番活気有る配属先と言えるだろうね」
配属先の種類によっては、例えばカーストの底辺辺りに配属されたら、他の配属先の人々とは交流不可能って事?
......そうだとしたら、同期の御縁で、ウェイドと接近する予定も、配属先によっては叶わないって事になるの?
ウェイドとリゼットの配属先の事を外見を見た時点で、この人達、何て言っていたっけ?
戦闘隊とハーレムって言ってなかった?
ハーレムは、どう考えても、男のウェイドとは無縁そうな響きだから、まさか、戦闘隊って事?
自分達で、ウェイドの事を軟弱男なんて呼んでいたくせに、それでいて、どうして戦闘隊に入れそうだと思えるの?
「あの、ちょっと聞きたいんですけど、さっき、ウェイドとリゼットの事を戦闘隊とハーレムって言ってましたよね? どうして、軟弱男って言っていたのに、ウェイドを戦闘隊に入れようとしているんですか?」
ウェイドの事となると、自分の事はさておいて、尋ねずにいられない。
私の質問で、アーロンが興味津々そうな様子が伺えるのが悔しい!
でも、昨夜の事で、アーロンにはもうバレバレなんだよね、私の気持ちは......
「ウェイド、ああ軟弱男か。あいつは、あの通り、見てくれは良いからな」
理解できないのは私だけ......?
どうして、外見の良さが、イコール戦闘隊になるのか、さっぱり分からないんだけど。
「隊長、ちょっと、言葉足らずですよ。ティアナが混乱してます。つまりですね、戦闘隊の男のみが、ハーレムの女性と交流出来て、子孫を残せるんです。美形の遺伝子により、生まれて来る子孫達も、美しさ面で粒揃いになる可能性が強いですからね」
ハーレムとか、子孫とか、遺伝子とか......
何だか、頭の中がパニックになる!
戦闘隊の男のみが、ハーレム女性と交流って!
つまり身近に置き換えると、戦闘隊に入る美形の遺伝子を持つウェイドは、ハーレムのリゼットと、あーしてこーして子孫を残す事になるの?
それじゃあ、仮に私がウェイドと同じ戦闘隊に入ったとしても、ウェイドは私に目もくれず、リゼットのいるハーレムに入り浸るって事?
そんな~!!
「僕も言葉足らずでした。大丈夫ですよ、同じ配属間の交流も認められているんですから」
アーロンが、私の表情の変化を見て笑いながら付け足した。
何よ、大丈夫って?
最初っから、その私の反応を見る為に、意地悪をしたに違いない!
ホントに、この人は、隊長なんて問題にならないくらいの要注意人物だ!
でも、まあおかげで、私がウェイドとくっ付く可能性も無きにしも非ずって分かったから、それは良かったとしよう。
「なんだ? ティアナは、ウェイドが戦闘隊なら、自分も戦闘隊に入りたいのか? まあ、ハーレムは無理だし、同期と一緒が安心と思っているんだな」
アーロンと比べると、隊長は、鈍感らしい。
まあ、その方が変に勘繰られなくて良いのだけど。
「そりゃあ、何も知らない場所に、いきなり連れ込まれましたから!せめて、同期と一緒にいたいと思うのは当然です!」
せめて隊長には、私の想いを気付かれないように大袈裟に言った。
「そうか、これで戦闘隊に2人確保出来る事になりそうだな! じゃあ、早速、その予定で、これから先の道中も腕試しさせる機会が有ったら、ティアナの活躍を期待するからな!」
上機嫌になって私の肩をドンドンと叩く隊長の隣で、ほくそ笑むアーロンが怖かった。
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