第35話 ティアナが選ぶのは......
無人島で2人っきり、その相手には、アーロンを選ばないというのは、確かに、その通りかも......
アーロンは、頭が良くて機転も利くけど.......
どんな獰猛な獣がいるか分からない所で、アーロンと2人っきりでは、私の能力が生かせるわけがないし、私が足手まといになってしまう!
エリックは、顔だけが良いし......
今は、エリックも誰かのものである私には興味有るかも知れない。
でも、無人島で2人っきりなら、当然、誰かのものではない私には興味無くなるし、私も興味無いし、お互いに助け合う事も出来なくなって、もう共存すら無理かも。
隊長は、2人でいたら、私の能力は最大限に使える!
隊長自身も、身体能力に恵まれている!
しかも、隊長は、私といる事で何か別の能力が開花する可能性も秘めている!
やっぱり、隊長と一緒にいる事が、他の誰と一緒にいる事よりも効率的で、長生き出来そうな気がする。
「恋愛感情は抜きにして、私が選ぶのは隊長です!」
「やっぱ、隊長かよ~! なんだかんだ言っても、外野の人間は、ペアには敵わないよな~!」
どこまで本心なんだか、悔しそうには見えるエリック。
「恋愛感情か......誰も、ここでの生活事情については、君に教えてなかっただろうね。多分、ここでの生活が浅い人ほど違和感が強いかも知れないけど、この居住区では、今まで君がいた所とは違って、恋愛とか結婚とか、そういう事に重きを置いていないんだ」
アーロンが何を言わんとしていたのか、瞬時には呑み込めなかった。
「それって、もしかして、ここでは、結婚という形態自体が無いって事......?」
私は何の疑いも無く、ここでも、向こうと同様に、一対一で恋愛して、いずれは結婚するのが当たり前だと思っていた。
「結婚自体が無いってわけでも無いけど、ほとんどの住人が、その選択をしないんだ。だから、ティアナも向こうの価値観で、恋愛=結婚とか考えない方がいい」
「ここでは、色んな人達がいるんだ。そもそもアーロンのように、恋愛すら無関心の人間も多いし。僕の様に、頭が恋愛脳って男も、わりと多いけどね」
自分達を例えにして話したエリック。
ストンと入って来るくらい分かりやすいけど......
アーロンって、恋愛に無関心な人だったの?
そういえば、そういう風に見えない事も無かった......
ただのポーカーフェイスで、実はリゼットに横恋慕とかって思ってたけど、そうではなくて、男に興味が有るわけでも無くて、ただの無関心。
しかも、そういう恋愛に無関心な人も、ここでは多いなんて!
「男同士や女同士、年齢差の大きなカップルも沢山いて、元の居住区より多様性が認められているし、それについては誰も
男同士や女同士......
向こうの居住区でも、そういうカップルはごくたまに見かけていたけど、どうしても、少数派だから、人目を引いていた。
でも、ここでは沢山いるんだ!
なんか、スゴイ!
向こうの居住区の概念からは考えられない!
「ここに長くいる人ほど、その状況に馴染んでいるから、後から来た人達とのギャップが生じる事も多い。だから、リゼットとか、心配だな」
アーロンはリゼットが好きで目で追っていたわけではなく、私の事もだけど、他の人達の言動や心の動きに敏感な人なんだ。
リゼットといえば......
あっ、それは、アーロンの言葉も一理ある!
「私、リゼット探してくる!」
思ったよりも、効率良く行動して、もう帰っているかも知れないけど、もしも、まだ隊長の部屋に辿り着いてなかったら、この事をリゼットにも知らせておかなきゃ!
「リゼットがどうかしたのか?」
「隊長の部屋に行くって言ってた!」
隊長も今までの言動からは、リゼットの事は絶対に好意的には思っているはずだけど、でも、私達がいた居住区の感覚で、それを受け止めてはダメなのかも知れない!
リゼットは、きっと、隊長が自分にだけ、あれだけ優しく紳士的に接しているのを自分に気が有るからと思っているだろうし、私もずっとそうだと思っていたけど、隊長は私達よりずっとこっちの生活が長い人だから、私達の感覚とは違っているはずだから!
「僕らも手伝って探そうか?」
エリックの言葉は有り難いし、手伝ってくれた方が早くリゼットに会えるのは分かっているけど......
「いえ、大丈夫です! 自分がリゼットの立場だったら、その事は、あまり大ごとにしたくないので」
リゼットは、こっちでの私の初めての友達だもの!
私とリゼットは性格も違うから、ホントのところは分からないけど、でも、私だったら、グループ内の人達だとしても、気持ちが筒抜けになるのは抵抗が有る!
私が早くリゼットを探し出して、こっちでの恋愛事情を伝えておかなきゃ!
隊長の部屋が有る棟はどこなんだろう?
ペアなんだから、そういうの野生の勘みたいの働いて、すぐに分かったらいいのに!
ホント、ペアなんて、ただの名前だけで、あまり使えない能力なんだから!
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