第24話 荷が重い
これから先ずっと、隊長と同行って......
私がもしも、隊長に気が有ったりなんかしたら、有頂天になるところかも知れないけど......
残念ながら、私、隊長に対しては、これっぽっちも恋愛感情なんて無いから、無意味!
むしろ、一緒にいると、落ち着けない!!
戦闘隊って、その名の如く、ずっと銃を持って、敵と戦う仕事でしょ!
ずっと、バンバン撃って、撃たれないように逃げまくって、一生、そうやって、生きていくしかないなんて......
そして、その間ずっと、隊長が横にいる!
私が、もしも、その戦闘隊の中に、誰か他に好きな男の人が出来ても、私は、その人とは一緒に行動できず、いつも居場所は隊長の隣って。
私、そんなの全然望んでない!
私は、そんな危険じゃない職場がいい!
物騒な物を持って、隊長と関わり合う事も無く、平穏無事に過ごしたい!
やっぱり、清掃隊の方がずっと安全で良かった事に、今頃、気付いた!
「おい、どこに行くんだ?」
隊長が私を呼び止めるが、ここは振り向かないんだから!
だって、私は清掃隊に戻るんだもの!
「着替えるんです!」
「もう着ているが」
隊長が、私の右手首を握って止めようとする。
「私、やっぱり清掃隊が天職だって気付きました!」
「いや、お前の適性は、戦闘隊だ!」
適性なんか、知るもんか!!
「止めないで下さい! 私の心は、清掃隊を望んでいるんです!」
「勝手な行動取るな! 既に審査員達が全員一致で決定した事だ!」
審査員達も迷惑そうに、頷いている。
隊長が私の手首を強く握り、アーロンと共に戦闘隊の本拠地へ連行しようとした。
「だって、そんなのペアとか、よく分からない事になっているんですよ! 私の能力は隊長と一緒じゃないと発揮出来ないなんて言われているんです! それなら、隊長は?」
私だけが、そんな能力アップさせてもらっているようで、何だか、そんな恩着せがましい関係なんてイヤなんだけど!
「なんだ? 俺がどうしたというんだ?」
「一方的に私の能力アップに貢献してくれて、ペアとかって、何だか腑に落ちません! 私が、射撃の能力がアップするなら、隊長は、私がいる事によって、隊長の能力の何かがアップするとかメリットあるというんですか?」
give and takeというなら分かるが、私だけがペアの恩恵を授かるなんて、何だか自分だけが、すごく劣った人間のようで哀しくなるもの!
「俺の能力か......?」
私が発した言葉に、あんぐりとした表情の隊長。
「隊長は、私が一緒にいる事で、何かスキルアップ出来るような事なんて有るんですか?」
そもそも隊長の能力って、何だろう?
居住区まで来る時に、目にしていたのは、剣術。
二刀流で、襲い掛かる動物を倒していた。
その獲物を軽々と肩に乗せて運んでいたから、重量挙げも得意そう。
「お前がいたからといって、普段よりアップした能力なんて有っただろうか?
アーロン、どう思う?」
思い付かず、横にいたアーロンに尋ねた隊長。
「元々、隊長は単体でも、十分過ぎるほど色んな技に長けた方なのです。そこにティアナが加わった事で、何か腕前が上がったかと尋ねられても、ポンと出て来ないのが正直なところです」
アーロンの言っている事は分かる。
隊長自身にだって分からないんだもん。
アーロンや、ましてや私だって分かるわけがない!
「だよな~。まだ、俺は、それに気付けずにいるが、それは、俺が、そういう能力が発動すべき場に立たされていないせいかも知れない。だが、これから先いつ、そういうシチュエーションが訪れるとも知れないからな。その時の為に、取り敢えず、ティアナには、俺と同行してもらいたい」
私の言い分を真摯に受け止めてくれたのか?
自分では、まだ気付けないでいる落ち度を恨めしく感じているのか?
今までになく、隊長は圧を感じさせないような言い方をして、私に向かって頼んで来た。
そんな風に隊長に言われると......
まあ仕方ないかも。
私、元々、隊長の事は、好きというわけではないけど、特にキライとか、一緒にいて苦痛に感じるってほどでもないし......
何だかんだ、頼りになる面も多いし。
居住区に来るまでの間、一緒に過ごして来たっていう慣れも有るし。
だから、戦闘隊という響きは物騒で何だか近寄り難いけど、私の能力が発揮出来る場所が、そこだけなんて言われたら、やっぱり、生かせる場所で生きている方が有利になる事も有るのかも知れないし。
あまり存在していないペアなんていう枠組みに囚われるのだけはゴメンだけど......
それを除いたら、元の鞘に収まる感じで、私としては、新たに色々詰め込む事も極力少なくて済むわけだし、一番、理に適った配属先なのかも知れない。
隊長にしてみても、私は0からの人間ってわけでは無いから、教える事も最小限で済みそうだし......
それなら、そうそう衝突する事だって無いわけだし。
「分かりました、行きます」
「そんなにじっくり考えるような事だったのか?」
事も無さげに言った隊長。
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