第13話 絶好のチャンス
マデリンやプリシラは、ウェイドが私と同じこっち側の住人って事をずっと知らないままなのかも......
という事は......
3人の中で、私1人が独走態勢になってる!!
こんな悲観的な事が多過ぎて、メンタルも弱り過ぎていたけど、ウェイドの存在は、今の私にとっては、本当に唯一の希望の光なの!
これは、運命の女神様が、私に微笑みかけてくれていると見なしてよろしいに違いない!
強力なライバルとなりそうな、儚げ美少女のリゼットもいるけど......
彼女は、まだ正気戻ってないし、なんてったって、隊長がいたくご執心のようだから、ここは隊長にお任せしとこう!
居住地に着くと、ハーレムだのという、いかがわしそうな美女達の巣も有るようだから、私が動くのは、居住地に着く前の今がチャンス!!
どこぞの美女のターゲットになって、手遅れにならない今のうちに、ウェイドと仲良くなってしまわねば!
きっと、ウェイドも家族や友人と引き離されて、不安な気持ちで、こっちに連れて来られたのだろうから。
同じ境遇の者同士、共感から恋に発展する可能性も大!!
......とはいえ、ウェイドはまだ正気失っているし、この周囲の人達から丸見えな状況下だと、接近するのもどうかなって感じなんだけど......
このメンバーとの初野宿で眠れっこないと思ったわりに結局、睡魔には勝てず寝てしまっていたわけだし、皆だって、相当眠いはずだよね。
見張り番は、隊長だったら見つかったら煩そうだけど、頭脳派のアーロンなら、面倒な事はスルーしそうな感じ。
行動を起こすなら、今がチャンスかも!
作戦を細かくは立てられるような気質じゃないから、行き当たりばったりになりそうだけど、取り敢えず、寝相が悪いふりなんかしちゃって......
「う~ん」
なんて声を上げながら、寝返りをしたように見せて、まずはウェイドに接近。
上手く近付けたと思ったのに、何のシンクロなのか......?
ウェイドもなぜか、こっちに寝返り打って、私が下敷きに!
「うぐぐ~っ」
これは想定外の展開!
接近し過ぎて潰されてしまうなんて.......苦しい~っ!!
「どうした!」
私の苦し紛れの声に反応したのは、見張り番のアーロンではなく、寝ていたのか寝たふりしていたのか不明な隊長だった。
「こんな緊張するはずの初野宿だというのに、寝相の悪い奴らだな~! 薬聞いているウェイドはともかく、飲んでないはずのティアナまで、このざまとは! 一体なんだ!」
寝起きを起こされたゆえなのか、いつにも増して、険しい口調になりながら、ティアナの身体の上に乗っかっているウェイドを退けてくれた隊長。
はぁ~っ、助かった~!
「さっきまで、距離置いて寝ていたはずだが、ここまで、2人して寝相が悪いのは珍しいな! しかも、衝突する方向に2人で同時に寝返りするとは」
早い者勝ちではなく、遅い者勝ちな状況だった。
今まで、こんな経験無かったから分からなかった。
リゼットほどか弱き身体をしているわけではないし、ウェイドだって、男の中では特にガタイが良いわけじゃないけど、それでも、寝ている姿勢の上に乗っかられると苦しいって事が、よく分かった!
自業自得とはいえ、私がこんなに苦しい思いしていたというのに、ウェイドはそんな事とは露知らず、私の身体から振り落とされても、寝息立てている!
この状況下で、こんなに爆睡出来るなんて、また羨ましく思えてしまう!
隊長も随分前に、薬を飲まずにいた事によって、こんな体験を何度もして来たのかも知れない。
取り敢えず、ウェイドの身体を退けてもらえて助かった。
あのままだったら、ウェイドの重さと呼吸困難で、誰かに気付かれた時には、息絶えていたかも。
「ありがとうございます!」
「寝ていて意識が無い時に起こった事なんだから、仕方ないさ! 再発しないように、十分に距離を保って寝ろ!」
隊長は、寝惚けていたせいか、私が、ウェイドに近付きたいが為に、引き起こした出来事だなんて、全く疑う様子も無い。
......とはいえ、重い目に遭った事だし、まだ意識が戻ってないうちは、ウェイドに接近しようなんて気持ちはお預けにしておかなくてはね。
ウェイドに乗っかられた身体の部分、まだ何だか、その重さと温かさの余韻が残っている。
あれだけの接触って、私にしては上出来だったと思う。
ドキドキするというより、圧死しそうで思わず助けを求めてしまったけど。
男の人とのあんな重いくらいの接触は今までした事無かったし、これからだって、私にそうそう起こり得るレベルでは無かったかも知れないから、あんなすぐに根を上げるなんて、もったいなかったかな?
でも、相手は正気無かった状態だし、結局、目を覚ましもしなかったし、これといって特に収穫は無かったけど......
まあ、自分の中では、あまりにもインパクト強過ぎるアプローチだったから、今頃になって、妙にドキドキしてしまう。
その余韻のせいで、興奮して眠れないまま、ついに火の見張り番が私になってしまった。
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