第5話 メッセージドリーム
天使が夢に出て来る......?
夢だから、何でも有りっていうのは分からないでもないけど......
どうして、天使って分かるの?
「天使が出て来る夢って、謎なんだけど! ママの夢の中で、天使が、『自分は天使です』って、ちゃんと名乗ったりするの?」
私の質問に対し、深刻な話の最中なのに、ママは笑い出した。
「わざわざ名乗らなくても、天使というのは一目瞭然よ! それに、メッセージドリームの場合、高次元からの情報だから、とにかくきらきらして眩しいの! ふつうの夢だったら、忘れたり、断片的にしか覚えてない事って多いでしょう? メッセージドリームは、明晰夢だから、起きてからも全て鮮明に覚えていられるものなのよ」
明晰夢......?
たまに、夢を見ている時に、これは夢だと認識出来ているような、あの状態の夢見のこと?
それだったら、私もごくたま~にだけど、明晰夢と思えるものを見ている時も有る.....
でも、そんな煌びやかな夢なんかじゃないし、天使なんか1度も出て来た事ない。
普通の人達って、そんな神々しい夢をよく見ていたんだ!
今更ながら、見ていた夢の種類まで自分と違っているなんて知らされて、なんか凄くショックなんだけど......
ママとパパの遺伝子たっぷりもらってながら、私、どうして、そういう神聖な感じの夢見が無いのだろう?
見されられている夢見の違いからして、その時点で、前世の記憶を思い出せるか思い出せないかって、既に決まっていたみたいで哀しい......
「ママみたいに夢で、前世の記憶を教えてもらう人って多いのかな? 他には、どんな思い出し方が有るの?」
「私の周りは、夢派が多かったわ。でも、たまに、起きている時でも、ボーッとまどろみの中に入った時とかに、教えてもらえる人もいるみたいよ」
ほとんどが、天使系のメッセージドリームとやらを見て、前世を知らされるとは......!
だったら、メッセージドリームすら見た事の無い私なんて、そもそも最初っから論外じゃない!
「メッセージドリームを見る秘訣って有るの? 早寝早起きとか?」
もしも、見やすい状況が有るのなら、あと2夜だけしかないけど、それを試してみるのも良いかも!
「私は、特に何もしてなかったけど、強いて言えば、寝る前3時間くらいは食事しなかったり、暴飲せず、腹八分を心がけていたわ。胃腸は休ませたり、頻尿にならない方が、質の良い夢見が期待出来るから」
「なるほど~。私、成長期だからって、食欲のまま食べまくっていたせいも有るのかも。ママ、今日と明日は、消化の良さそうな食材で、味付けも薄めの料理でお願いね~!」
今さら悪あがきになるかも知れないけど......
何もしないで誕生日が来るのを指くわえて待っているよりは、今出来る何かをした方が、上手く行っても行かなくても未練が残らない!
あわよくば、滑り込みセーフという事も有り得るわけだし!
「あとね、私達はあまり信心深くないから、当てに出来ないかも知れないけど、困った時の神頼みっていう習慣も、どこかの星に有るって聞いたわ! ほら、歩いても行けそうな所に、ストーンサークルが有るじゃない? あそこ、パワーが強いみたいだから、寝転がって瞑想したら、未知なる世界からインスピレーションみたいな感じで前世の情報が届くかも!」
なるほど~!
確かに、少し体を動かした方が、脳もよく刺激されて、何か覚醒するかも知れない!
歩いてストーンサークルまで行って瞑想したら、ほどよく疲れてるし、前世の記憶が降りて来やすくなりそうな気がして来た!
「ありがとう、ママ! 早速行ってくる!」
気のせいかも知れないけど、何とかなりそうな可能性が出て来た!
私、今まで、学校の往復くらいしか歩いてないから、たっぷり歩いて、まずは脳を柔軟にさせた。
位置的には、ストーンサークルのど真ん中が最強そう!
そこで寝て、自然や巨石のパワーを享受させてもらえたら、良い反応が起こるに違いない!
ストーンサークル......って?
けっこう汗まみれになるくらい歩いて着いたものの......
なんかもっと、岩壁みたいな巨大な石が配置されている開けた場所のイメージでいたけど......
何だか、飛び石出来そうな低い石を取り敢えず丸く並べただけみたいな......
これって、本当に効力有るのかな?
思いの外、小規模過ぎるストーンサークルだったけど、見かけによらずパワーは強いって事も有るかも知れないし、中心で寝転がろう。
「へっくしょん」
汗かいて寝たせいか、なんか寒い。
ゾクゾクっとする。
しかも、何か首元でうごめいているんだけど......
うわ~~っ、ミミズ!!
もうイヤなんだけど、こんな所で、寝転がっていたら、身体中、ミミズに這われてしまう!
とてもじゃないけど、ここで、無心で瞑想なんて出来っこない!!
うん、無理無理!!
やっぱり、夜の夢見作戦に賭ける事にしよう!
「あら、ティアナ。思ったより早かったわね、どうだったの?」
トンボ返りした事と、私の表情から、ママも私の答えを聞く前から無理だったと解したようだった。
「ミミズが出て、飛び起きて戻って来てしまった! 私、虫が身体を動くような場所で、落ち着いて瞑想なんか出来ないもん!」
「そう、残念だったわね。こうなったら、取り敢えず、アッサリした食事を早目に食べて、早寝するしかないわね」
ママは、急いで、食事準備に取り掛かった。
少しずつ望みが薄れていくのが悔しいけど、他にどうしたらいいのか分からない。
「ママから聞いたよ。ティアナ、まだ思い出してなかったんだって?」
食事の時に、驚きの眼差しを向けて来たパパ。
「パパも、私が前世思い出していたと思ってたんだ......パパは、いつ思い出したの?」
「パパもママと同じで遅めの13歳の時だった。まあ、あと2年有るから、さほど焦ってなかったけどね」
問題はそこだ!
遅めと自覚している両親も含めて皆、前もって、その事を知っていたはずなのに、どうして私だけが、そんなギリギリ3日前に初めて知らされた?
そんなのどう考えたって、不利に決まっているのに!
早目に教えてくれていたら、もっと対処法も考えたり試せたのに!
プレッシャーを与えないための温情だったとしても、それが裏目に出る可能性くらい考えておいてよ~!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます