第27話 この流れはもしや......

「それも有るね~、ティアナはあまり人目を浴びてないから、お手軽そうだし」


 私に対する気遣いなんて、まったく考慮してくれてないようなエリック。


 お手軽って、品定めされているの......?


 私、周りの男性達の目から見て、そんなに低いランクにいるって事?


 何となく、そんな事とは思っていたけど......

 実際に、そんな事を目の前で、今、知り合ったばかりの人に言われるって言うのは、思ったより堪えるんだけど......


 そりゃあ、リゼット級の美人どころには、私なんかが、どうあがいても太刀打ち出来ないって分かり切っている!


 今までいた世界でも、こっちの世界でも、男の人なんて、所詮、見た目優先なんだっていうのも、とっくに気付いている!


 だからって、見た目が劣っている、それだけの時点で、私自身を評価されてしまうのは、なんか悔しい......


 いや、違う!

 見かけ上だけでなく、能力的なものもだった!


 神様が依怙贔屓えこひいきして、リゼットに2物も与えてしまったから、そのせいで、私は、隊長のそばにいる時だけしか発動しないような、ヘッポコ能力しか与えてもらえなくなったんだ!


 よく分からない、ペアなんていう枠組みに、強制的に入れられていた上で、勝手にグループ編成されちゃっているし。


 こんなよく分からない差別されるくらいだったら、やっぱり私は清掃隊でいた方が、よっぽど良かったような気がする!


 私、きっと、これからも、イヤな思いする度に、そう思ってしまうよ!


 なんで、私ばっかり、こんな思いしなきゃならないんだろ!

 

「エリックのそういう......キレイな女性以外は蔑視するような発言って、どうかと思うんですけど!」


 ムカついた顔のまま言ってしまった。


「女性蔑視というわけじゃなくて、僕は、ティアナに興味を持っているんだよ! 今まで、誰かのペアの片割れなんていう女性には、出会った事なんて無かったから、気になってしまうんだ!」


「だからって......その人を小馬鹿にしたような感じって、あんまりだと思います!」


 興味を持っているなんて言い訳で、人を侮辱するような事を言っても許されるなんておかしい!

 私は、この人のような感覚に付いていけない!


「僕の言い方が気に障ったなら謝るよ、ティアナ! 別に、君を傷付けようとして言ったわけじゃないんだ! これは、僕の悪い癖で、自分の興味の有る女の人を見ると、つい構いたくなってしまうんだ」


 興味......?

 興味って、私は、この人にとっては物のような扱いなの?

 

「私は、興味本位で話しかけて来るような人とは話したくないです!」


 私が大きな声で言い切ったから、前の方をリゼットと歩いていた隊長まで届いていたようだった。


「ティアナ、声を張り上げてどうした? エリック、お前、ティアナに構うのは、それくらいにしておけよ!」


「はいはい! 了解ですよ!」


 隊長に注意され、エリックはやっと大人しくなった。


 私のペアっていう自覚有るようなら、隊長は、もっと目を光らせてよ!

 まあ、私同様、自覚無いだろうから無理か......

 取り合えず、エリックに構われなくなっただけでも良かった!



 戦闘隊の居住地は、定住せず野営生活なのかと恐れていたけど、ちゃんと大きな木造の建築物がいくつも棟になって並んでいて安心した。


 もちろん、女性用と男性用は分けられていた。

 戦闘隊に女性は少ないらしく、小さな木造の建物に、8部屋だけだった。


 相部屋になっていて、私とリゼットは、同室だった。

 1人だと寝坊するかも知れないけど、2人とも一緒のグループで行動時間も一緒だから、寝坊する心配が半分に減って良かった!


 そうか、仕事も一緒で、住まいも一緒だから、リゼットとは誰よりも一緒にいる事になるんだ!


 ペアという隊長よりも、リゼットと一緒にいる時間の方が長くてホッとした!

 もしも、住居がペアで一緒なんて無茶な法則なんかが有ったら地獄だったから、ホントに良かった~!


「これからもずっとよろしくね、リゼット!」


「こちらこそ、よろしく! ティアナと一緒で良かった!」


「リゼットにそう言ってもらえて、嬉しい! さっきまで、エリックにからかわれて、すごく不愉快だったから!」


「エリックは......ティアナをからかっていたの?」


 隊長と並んで歩いていたティアナにも、その様子は見えていたらしい。


「性格が曲がっているみたいで、人のモノに手出すのが趣味みたいな事言っていた。人のモノって、私、別に隊長の所有物ってわけじゃないんだけど、なんか、ペアって厄介だよね!」


 ペアなんて枠組みにはまっていない圧倒的多数の人達が羨ましい!


「ティアナは、隊長とペアって聞いたけど.....」


「どうして、ペアなんてものが存在しているんだろうね~? 滅多にないってはずなのに、私がペア能力者で、よりによって、相手は隊長なんて、サイアクなんだけど!」


 嫌々私が言っているのに、リゼットは私に同情どころか、違う感覚の眼差しを向けていた。


「私は、羨ましいのだけど......」


「えっ!」

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