第2話 タイムリミットは15歳
2人とも、あの奇妙な前世話の内容は、ホントだったの.......?
どうしたら、そんな前世の記憶なんかが、勝手に蘇って来た?
謎でしかないんだけど......
「何......? 私だけ、なんかおかしいの?」
作り話だったという事を白状した途端、2人の態度が目に見えてよそよそしくなった。
「ふざけてないよね、ティアナ? 前世の記憶が無いって......?」
マデリンが神妙な面持ちで確認してくる。
「ふざけているのは、むしろマデリンやプリシラの方じゃないの? まさか、本気で、前世の記憶が蘇ったなんて言ってるの?」
2人で、私をからかっているとしか思えない!
大体、前世の記憶って、どうやったら、そんな細かいところまで思い浮かんでくるわけ?
映像とかで、そんな風に都合良く、全編通して見せてくれるのだろうか?
「そういえば、誰から聞いたか忘れたけど......確か、前世が地球人や火星人という魂の人が、稀にここ、シェマーラ星でも生まれて来る事が有るのだとか。その人達は15歳になっても、前世の記憶が蘇らないんだって......」
「地球や火星......」
学校の授業で習った事が有る......
確か......温厚なシェマーラ星人と違って、闘争好きな血の気の多い民の住む星々なんだとか。
いつまで経っても、前世の記憶を思い出せない私は、もしかしたら、前世が地球人や火星人だったって事?
まさかね......
「ティアナって、もうすぐ15歳の誕生日よね? なのに、まだ前世の記憶が無いままだったら、それは、かなり深刻だと思う......」
プリシラが溜め息混じりで言った。
15歳の誕生日までが、思い出すタイムリミットなの......?
そんなの初耳!
「うん、あと3日で誕生日だけど。15歳の誕生日までに前世が分からないと、何かマズイ事になるの?」
2人とも、なぜ前世の記憶も有って、15歳の誕生日までがタイムリミットという事まで知っているの?
今まで、3人で一緒に過ごしている時が多かった......
私だけが1人取り残されるような徴候なんて、何一つ感じられないまま生きて来たのに......
「ティアナ、親から聞いてないの? 15歳の誕生日までに、前世の記憶が戻って無いと、不適合者の烙印を押されてしまうのよ!」
不適合者......?
私が、不適合者に?
両親からは、そんな良からぬ響きの言葉など、全く聞かされた事が無かったのに!
「不適合者って、どういう事? 烙印って? 誰の目からも分かる入れ墨みたいなのを腕とかに入れられて差別されながら生きるって事なの?」
つい矢継ぎ早に質問せずにいられなかった。
そんな私に、2人とも哀しそうな眼差しを向けて来た。
「不適合者は、こちらの世界から追放されてしまうのよ!」
嘘であってほしいけど、マデリンは軽々しくそのような嘘をつき、私を脅すような性悪では無い!
こちらの世界からの追放......?
「追放って......? 私、ここ追い出されたら、どこに行けばいいの?」
「あちらの世界よ。不適合者だけの居住区が有るそうなの。多分、そこに連れて行かれる事になると思う......」
聞いてない、聞いてない!!
そんな大事な事をなぜ両親は黙っていたのだろう?
両親ともに......今、ここに住んでいるのだから、不適合者では無かったはずだ。
それなのに、私1人だけが家族も友人もいるこの世界から、不適合者だけしかいないあちらの世界に連れて行かれるの?
目出度いはずの3日後、15歳の誕生日に?
「大丈夫よ、ティアナ、まだ3日あるじゃない! 希望を捨てないで!」
「あと3日って、今まで15年近く生きて来て、1度も思い出さなかったのに、たった3日で思い出せる気しない! 大体どうして? 私達に前世の記憶なんて、全く必要無いと思うんだけど!」
負け惜しみのように聞こえたかも知れない。
だって、そうじゃない?
今までだって考えた事も無かったし、そんな事を知らなくたって、私、普通に生きて来られていた。
15歳という期限付きで、前世の記憶を思い出す必要性なんて、どこに有るのだろう?
しかも、家族や友人達から引き離されて、不適合者用の居住区に移されるって、何それ?
そんなわけ分かんない制度が、どうして存在しているの?
「ティアナ、前世の記憶は必要よ」
申し訳無さそうな口調で、遠慮がちに言ったプリシラ。
「プリシラの言う通りよ。だって、それが分かっている事で、前世と同じ過ちを私達は繰り返す事無く、効率良く生きて行けるのだから」
理論的に言うのが得意なマデリン。
そう言われると、分からなくもない。
自分だって、前世で犯した過ちを、現世で繰り返すのは時間と労力の無駄のように思ってる。
百歩譲って、そこは納得行くとしても、適合者と不適合者で、居住区を分け隔てるのは、どうかと思う!
「前世の記憶の無い人達は、ちょっと回り道とか繰り返すお茶目なところが有るかも知れないけど、それくらいで、わざわざ居住区まで別にするのは、大袈裟過ぎると思わない?」
ここで、友人2人の共感を得たかった!
彼女達だって、私と離れるのは辛いに決まっているのだから!
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