1-40 守り人さんVS元王宮魔式師


 爆発するようにエイド少年のが足が駆けだす。


 土の人型から、もいだ斧を引き摺るように構えて、力の限り地面を蹴って、アーシア=クーロッドに襲い掛かる。


 カッ!! と桟橋のヘリに斧の先端がぶつかって音を立てた。


 同時に下構えから大上段に振り上げられた斧が、アーシアの頭を狙う。


 ドガッ!! と歩き辛そうなエナメル質のハイヒールがエイド少年の下腹部へと突き刺さった。


 振りかぶった斧は、振り下ろされず、エイド少年の体が吹っ飛ばされて桟橋を押し戻されて地面を転がる。


 私は大慌てで地面を転がった、彼のことを受け止めて助ける。


 エイド少年は鬼のような形相をしていた。


 私のことを振り返ることなく、奥歯が砕けそうになるくらいに表情を歪めて犬歯をむき出しにして、アーシアのことを慨然と見据える。


「アハッ!! 良い、本当に良いわぁ……!! その復讐に燃える眼光!! たまらないっ、たまらなく、ゾクゾクしちゃうっ!! お返しに、もう一個おまけつけてちゃうわぁ……!!」


 ヒトの身体を蹴りの一発で四メートルも五メートルも転がしておいて、ケロリとした表情をしている。


人造土化傀儡式サイマリオン・サイサリス


 手にした白い短杖をクルクルと回して呟いた。


 それは絶対に碌でもないことになるって、分かっていた。

 分かっていたけれど、阻止できる余地もなかった。


 燦然とアーシアの後方が輝きを放つ。

 まるで後光のような莫大な白色の散光。


 ある種の邪悪な威光すら感じさせる。

 さぁっとアーシアの土の機兵がけた。


 それは白い光の粒子となって、エイド少年のお父さんとお母さんを包み込む。

 ゴーレムの手のひらという支えを失っても、二人はそのまま宙に浮いていた。


 宙に浮いたまま白い光の粒子が球のような形を作り出す。

 呆然とその光景を見てしまっていた。


 動けなかった。


 何としてでも、ソレを中断させなければいけなかったはずなのに、足どころか、指先一本、何なら呼吸さえ出来なくなっていた。


 そして、二人に集まった白い粒子がひゅぅと音を立てて胸の真ん中に吸い寄せられていく。


 始めは目立った変化はなかった。


 けれど、集まていた白く輝く粒子が二人の身体に全て収まったその瞬間に全てが変わっていた。


 変化の瞬間は分からなかった。


 気が付いたときにはエイド少年の両親の姿形は残っていなかった。


 全高およそ二メートル三〇センチの人型の青い機兵とそれと比較すると頭一つ分ほど背丈の小さい緑色の人型の機兵が一機ずつ、アーシアの真後ろに立っている。


 相変わらずその機兵に顔はなかった。


 それはきっとアーシア=クーロッドが“個”に対して価値を見出していないからなのだろう。


 少し太く頑丈そうな首元に、盛り上がった肩、しなやかな曲線を見せる腕、厚い胸板の真ん中にはオレンジ色の珠がはめ込まれている。その珠からは直線的な黒いラインが全身へと広がっていた。もしかすると、それは血管のようなものなのかもしれない。引き締まった腹部を六つの触腕が背面から巻くような形で覆っていて、股には何もなかった。ただ、しなやかな脚部が生えるのみ。その脚部のラインは美しかった、もっとも効率よく運動することが出来る設計に基づいて作られているのだろうことが伺える。それでも指先と踵の造型だけは異質だった。複数の湾曲した“骨”のようなものがむき出しになって足の形状を作り出している。恐らくは筋力を使って地面を掴むことよりも、“骨”そのものに対して力を作用させて反発力を直接生み出した方が合理的という判断なのだろう。


「返せ……!! 父さんと母さんを、返せよっ!!!!」


 再度エイド少年が雷轟のように飛び出した。


 つられるように私の身体も動く。


 これ以上あの女に好き放題に勝手をさせたらいけない。

 二人して横並びで一直線にアーシアへと駆けだして、斧を構え、


「オォォォォォォォォォ!!」


 大音声おんじょうをあげる。

 ギィンッ!! と金属音が響いた。


「父さんっ!! 邪魔しないでくれ!!」


 エイド少年には大きな青い方の機兵が、私の方には小さな緑色の方の機兵が立ちふさがった。


「言っているでしょう? それはもう死んでいるんだって。私の命令しか受け付けないわよぉ」


 受けられた手斧を引いて、横をすり抜けようと動くけれど、悉く阻まれてしまう。


 その上、運動能力は断然向こうの方が高い。

 私もエイド少年も目の前の機兵を躱すことが出来ず、アーシアに近づけない。


 このままではまんまと逃げられてしまう、そう思った。

 そう思った瞬間に、ザバッ!! と水しぶきが上がった。


 それは機兵に守られたアーシアのさらに後ろ、桟橋の真下からのアクションだった。


 突然、あの黒づくめの女の子が、飛び上がってきた。


「兄と彼の仇……!!」


 アーシアの真後ろから、凶刃が迫る。

 一瞬私もエイド少年も呆気に取られていた。


 でも、だけれども、あの女を止められるならなんだっていいと思った。


「残念、滑稽だわ」


 どこからどう見ても完全な不意打ちだったはずなのに、アーシアは特に振り返ることもなく、飄々とそんなことを言った。


 直後、鞭のような何かがしなりをあげて、黒づくめの女の子の腹側部を強かに打ちのめした。


 区の字に折れ曲がった体が滑空するような形で、宙を飛ぶ。


 ダンっ! バンっ! と二度ほど音を立てて地面をバウンドして、ゴロゴロと転がって勢いが治まっていく。


 多分、今この瞬間にアーシアが私たちのことを殺す気が合ったならば、私たちは死んでいたと思う。そのくらいに、無防備に動きを止めてしまっていた。


「お姉さんだって、王宮から追っ手が来る可能性くらいは考えていたけれども、それがあなただったなんて、興覚めよ。でも、今はお姉さんとても気分がいいから、止めは刺さないで置いてあげるわね」


 アーシアがピョンっと軽く跳ねるような動きをした。


 マントがひらりと翻って、彼女の腰のあたりにくっついている二本の触腕が地面を掴んで、彼女の身体を大きく跳ばすのが見て取れた。


 先ほど黒づくめの女の子の身体を思い切り殴り飛ばしたモノの正体がソレだった。


 カツンッ、カツンッと黒いハイヒールの足音が響く。


「でも、そうねぇ……。あなたをこのまま野放しにしておいても面白くないし……。そうだっ、こういうのってどうかしら? あなたも併せて三人で私が作った人造土化傀儡式サイマリオン・サイサリスと戦うの。それにもし勝てたならば、もう一回今度はあなたと正面から戦ってあげる」


 それは言葉の上では提案の形になっていたけれど、実質的には選択の余地はなかった。


 何故ならば、アーシアが言葉を閉じるのと同時に黒づくめの女の子を触腕で掴み上げてこちらへぶん投げてきたからだ。


 そして同時に、エイド少年のお父さんとお母さんを素材に使ったゴーレムが私たちとアーシアとの間に割り込むように移動していく。


 どう考えてもこちら側に決定権はない。


「……、立てる?」


 私が地面に倒れている黒づくめの女の子に声をかけると、彼女は何も答えずにナイフを強く握りしめて立ち上がった。


「手を組む気がないのは分かったけれど、それならせめて私たちの足を引っ張ることだけはしないで」


「……、手を貸さないとは言っていない」


「なら良かった。私が二人に合わせる」


 この中で距離が離れた相手に対しての攻撃手段を持っているのは短弓を持っている私だけだ。


「いや、それならばアタシが一人で小さい方を足止めする。お前達は二人掛かりで大きい方を仕留めてくれ」


 構えていた手斧を地面に突き刺して、矢籠を背負いなおして弓に手を取ると、黒づくめの女の子が首を振った。


 それはつまり、目の前にいる二体のゴーレムを破壊しろと言うことだ。


「エイド……」


「もう、元には戻らないのかよ……」


「戻らない。あんな風に作り替えられてしまったらどうにもならない。精々出来ることと言ったら、元の人に近い形に顔を整形しなおすくらいだ」


「くそ……っ」


「……、止めは私がやるよ。あなたは前衛として前を張ってくれれば、それで……」


 もう逝ってしまっているとはいえ、彼の両親を彼に壊させるわけにはいかない。


「……っ!! いや、いいよ。俺がやるとは言えないけど、俺も本気でヤル手は抜かない。壊せる隙があれば……、きちんと壊す。父さんも母さんも、自分の身体が人殺しに利用されるのなんて望んでいないはずだから……」


 その言葉に私は何も言えなかった。


「そんな顔をするなよ。無理してないって言ったら嘘になるけど、でも何より俺が嫌なんだ、これ以上父さんと母さんの亡骸を冒涜されるのがさ」


「分かった……」


「話は決まったな」


 私が頷くと、黒づくめの女の子がポンっとエイド少年の肩を叩いた。


「相談タイムは終わったかな? まだ話したいことがあるなら、もう少し待っていてあげても良いよ? お姉さんはそうやって苦悩しているあなたたちの顔を見ているの、気分がいいから、いつまでも待ってあげれちゃう」


 多分アーシアは自分と私たちとでは端から戦いにならないと確信しているのだ。


 だから、これだけ余裕をぶっこいていられる。


 そしてその戦力分析は大方正しいと思う。


 鼻を明かしてやりたいという気持ちがないと言えば嘘になる。でも、私のそんなちっぽけなプライドなんかは関係なく、もっと単純に、もっとシンプルに、もっと分かりやすく、ただこの女を生かしておいたらいけないとそう思う。


 プライドの為じゃなく、今みたいな惨劇をこれ以上増やさないために、今ここで討たなければいけない。


 だから私たちは、三人揃ってアーシアの言葉には何にも答えずに、武器を構えて動き出した。


「あら~、余計な対話をせずに迅速に行動を起こす。戦いの鉄則よね。こんな状況なのにしっかり基本を抑えられているのは中々ポイント高いわよぉ……」


 猫なで声が妙に鼻についた。

 けれど無視してまずは一矢、短弓に番えて引き絞り放つ。


 ビィンッ!! と弦が鳴った。

 矢は青いゴーレムの手によって空中で受け止められた。


「オラァァ!!」


 ほとんど同時に前に出てきたエイド少年の斧による一撃が青いゴーレムの頭部を狙って振り下ろされる。


 だがこれも青いゴーレムは腕のサブアームを動かして難なく防いだ。同時に腕本体がぎゅぅっと拳を握って、腰の動きに合わせて僅かに引かれる。


 エイド少年は迷わずに、握っていた斧から手を離して二歩後ろに下がる。


 拳による強打を狙っていた青いゴーレムは、エイド少年を追撃するために前進する。


 私は真横に駆けて、地面に突き刺さった私の手斧を青いゴーレム目がけて投擲し、そのままさらに後方へと走りもう一本のエイド少年が持ってきていた斧も拾い上げて、投げつける。


 ギリギリだった。


 私の手斧が、回転しながらエイド少年の横を通り抜けて、青いゴーレムの額へと吸い込まれていく。


 ギンッ!! と手斧は弾かれて宙に舞った。


 だけれど、攻撃の構えは崩れた。


 そしてもう一本の投げた斧は丁度エイド少年の横の地面に突き刺さった。


 拳による一撃を狙っていた青いゴーレムは突然飛来した手斧を弾くために腕を振るっている。少なくとも即座に攻撃に移行できる体制ではない。


 だからエイド少年は地面に突き刺さった斧を迷いなく掴んで、下から上へと振り上げる。


 ガギンッ!! と手応えのある音が響く。


「クソッ――!!」


 だが、それでも防御側のサブアームを一つ、斬り払えただけに留まる。


 その上、青いゴーレムはギュィィン!! と背面から伸びる触腕をしならせて拳代わりにエイド少年の腹側部へと叩きつけた。


「――ッ!!」


 それとほぼ同時に青いゴーレムの眉間辺りに狙いを定めて矢を放った。


 ゴガッ!! とエイド少年の体が易々と舞い上げられる。


 斧の柄を使って、ギリギリで直撃だけは避けたようだったけれど、それでもインパクトの瞬間の衝撃はかなりのものだったらしい。


 直後にヒュンッ!! と空いている触腕が私の放った矢を叩き落すように空を切った。


 今、このタイミングはマズイ……。私と青いゴーレムとの距離感はおおよそ八メートル程度。しかし、あのゴーレムの足の機構から察するに、この程度の距離感ならば、相手にとってはほとんど接近戦と大差ない。


 後衛担当の私は今寄られると反撃の手札がない。


 さらに退さがるか……? と思考して、距離を詰められる時間が一秒遅くなるだけだろうな、と考えを打ち消す。


 であれば……、

「アァァァァッァ!!」

 前に出るしかない。


 前に出さえすれば、私の手斧も、エイド少年が弾かれた斧も、地面に突き刺さっている。


 逃げに徹するよりは近距離用の武器を拾って振るった方が幾分かマシだ。


 だから、短弓に矢を番えながら、前へと駆け出す。


 狙いなんか一々つけていられない。ただ、適当に辺りを付けてバシュンッ!! と矢を放つ。


 ギョンッ!! と脚部のバネを使って身体を弾いたゴーレムの首がぎょっとしたように傾いた。恐らく、このタイミングで前に出ながら矢を打ってくるということを想定していなかったのだろう。


 目論見通りだった。

 目論見通りではあるけれど、問題はここからだ。


 正面から突っ込んでくる青いゴーレムと何とかすれ違うべく、斜め方向に身体を転がす。一回転挟むことで本当にギリギリですれ違う。その一回転の力をうまく利用することで、さらに一歩前へと飛ぶ。


 地面に刺さっている私の手斧に飛びつく。


 柄を掴んで、そのまま引き抜き、身体を反転させて追撃して来るであろう青いゴーレムに備えた。


 はずだったのに、急激に方向転換をした青いゴーレムはもうほとんど私の眼前まで迫っていた。


 今度は私がぎょっとする番だった。

 もうすでに溜めの動作がしっかりと用意されている。


 後はそのこぶしが振り抜かれるだけで、私の顔面から血が噴き出すだろう。


 ガンッ!! という強烈な金属音とバガンッ!! という打突音の両方が響いた。


 私の最悪の想定通りにはならなかった。


 一つは口の端から血を流したエイド少年が、青いゴーレムに向かって全力で斧を投擲していたこと。もう一つは、その投擲された斧に対して青いゴーレムが反応したこと。そして最後に、私自身が何とかその一撃を避けようとわざとバランスを大きく崩して身体をかなり強引に前に振り抜いたこと。


 三つが重なって、ゴーレムの強力な拳による一撃は私の背負っていた矢籠を粉々に粉砕するという結果に収束した。


 ただし、私は矢籠を思い切り殴り飛ばされたことで、その威力に引っ張られるような形で後方に大きく吹き飛ばされる。


 バラバラと砕けた矢が地面に落ちた。


「チッ――!!」


 何本か残っていた矢はこれで全て使えなくなった。


 手のひらが冷える感覚がした。


 矢があってさえ、劣勢だった。矢もなくなって、エイド少年もまだ距離があって、しかももうエイド少年の手元には武器がない。


 悠々と私のことをすりつぶして、それからエイド少年へと近づていけばそれでチェックメイトだ。


 ちらりと黒づくめの女の子の方に目が行くが、ぴったりと近距離に張り付いて、相手の機動力を削ぎつつナイフ一本で格闘戦を続けている。恐ろしい技量だが、手助けは望めそうになかった。


 青いゴーレムはそれを全てわかっているのだろう。


 一気に飛ぶことなく、ゆっくりと私たちに恐怖感を植え付けるように足を大仰に動かしてこちらに近づいてくる。


 ここで何か打開の目を掴めなければ、負けだ。


 負ける。

 死ぬ。


 あの女に、好きなようにすることを許してしまう。


 きっとあの女はこれからもこんな風に自分のやりたいことを叶えるために多くの人を犠牲にする。ただ楽しむために、研究の素体にするために、もしかしたら憂さ晴らしのためかもしれない。


 私がここで負けたら、未来で罪のない人たちが大勢甚振られることになる。それでも多分、そのうちに王宮からの正式な討伐部隊が組織されてその物量でアーシアは殺されるか捉えられるかすることにはなるだろう。


 でも、私たちがここで彼女を止められたならば、そんな犠牲は出なくて済む。


 だから……、

 だから――、

 だから!!


『私のとっておきがまだ残っているじゃろう?』


 そんな声が聞こえた気がした。


 私の眼前に立った青いゴーレムがシュルリと触腕を伸ばして、私の首元を捕まえる。


 それからこれ見よがしに、グーパーグーパーと手を握って開いてして見せた。


 今からこの拳がお前に叩き込まれるんだぞ、とそういう風に言われている気がした。


 覚悟を決めて私はなんとか一呼吸分だけ息を吸い込む。


 喉が締め付けられていて、息を吸うのも苦しかった。


 ぐいっ!! と腰が落ちて腕が引かれる。


「リリアッ――!! リリアアァァッァ!!」


 エイド少年が叫び声をあげてこちらに走り寄ってきているのがちらりと見えた。


 拳が振り抜かれるのとほぼ同時に私はなるべくはっきりと明瞭に発声する。


心造清浄化式ケセド


 ごっそりと体の中から何かが抜けていく感覚が生じる。


 振り抜かれたゴーレムの腕はあたる直前でボロりと崩れて瓦解した。


 同時に私のことを釣り上げていた背面から生える触腕もまた、鎔けるように消失し、無配慮に地面に放られた。


 一瞬、本当にほんの一瞬、気が抜けた。

 直後にエイド少年が私の名前を呼んで絶叫したという事実に思い当たる。


 何が問題かと言えば、あんな叫びがあがったならば、あの黒づくめの女の子の意識が僅かにでも逸れる可能性があるということだ。


 あんな至近距離でのアクロバティックな格闘戦の最中に一瞬でも意識が逸れたらどうなるか……?


 その悪い予感は、当たっていた。


 ドゴッ!! と緑色のゴーレムの触腕による一撃が黒づくめの女の子の腹側部に直撃する。奇しくもその場所はつい先ほどアーシア=クーロッドに因って強かに打ちのめされた場所と同じ場所に見えた。


「がァァァァ!!」


 黒づくめの女の子が絶叫してもんどりうつ。


 緑色のゴーレムは目の前の少女からの反撃はなく、また私もエイド少年も間に合わないと踏んでのことか、地面に呻く少女へ悠々と近づいて、ぐっと拳を振りかぶって、そして、振り下ろした。


 誤算が一つあったとすれば、それはエイド少年が青いゴーレムの触腕での薙ぎ払いによってかなり黒づくめの女の子の近くにいたことだ。


 拳が地面に叩きつけられて、ドガッ!! と放射状のヒビが広がり、割れた地面が砂礫になって辺りに飛び散る。


 本来であれば黒づくめの女の子の腹部を完膚なきまでに粉砕する一撃だった。


 だけれど、本当にギリギリのところでエイド少年が黒づくめの女の子を庇うように一回転分だけ真横に転がした。


「うわっ!?」


 衝撃で一回転分の移動から、さらに数メートル体が浮いて、転がった。


「ごほっ……!! げほっ……!! おい、生きてるか!?」


「あなた、どうして……?」


「目の前で死なれたりしたら嫌なんだよ!! 立てるか!?」


 一撃を外した緑のゴーレムが、軽く首を捻るような動作を挟んで、再度ターゲットを捉えようと動く。


 今度ははやかった。


 早く足を止めさせないと、ダメだ。


 だけれど、斧を投げ付けたところであの触腕に弾かれるのは目に見えている。今までの斧投げに有効性があったのは、攻撃と同時であったり、意識の外からだったからであって、今私が斧を投げるぞというのが分かっている状態から斧を投げたところで、斧を弾く動きをしながら拳を振るわれてしまう。


 何か手立ては……、

氷造貫通式アイスアロー

 何故か、そんな言葉が自然と口から零れ落ちた。


 ぼーんと頭の中で何かが木魂する。


 キンッと空気が冷える。

 手のひらも冷える。


 カチンッと私の中で何かがかみ合った気がした。


 冷気が溢れる。


 いつの間にか手のひらに氷の矢が出来上がっていた。

 それは溶ける気配を見せず、白い煙を辺りにまき散らす。


 考えている余裕はなかった。

 ただ黙って、短弓に氷の矢を番えて、打ち放つ。


 ビュゥンと、空気が裂けた。

 当然緑色のゴーレムは背面から生えている触腕で私の射放った氷の矢を叩き落とす。


 全く動きを止める様子すらなく、歯牙にもかけていない動きだった。


 ピキッ!! と音がした。

 同時にコォォと、冷気が溢れる。


 そこで緑色のゴーレムの足が止まった。

 目のない頭を自分の触腕の具合を確かめるように動かす。


 触腕は、凍り付いていた。ピキピキとその氷は侵蝕するように少しずつ触腕の根本へと広がっていく。


 氷を砕くために、緑色のゴーレムが自らの触腕を自らの手で、殴りつける。


 ガチンッ!! と硬質な音が響いた。


 その衝撃で触腕を侵蝕していた氷に亀裂が入り、破片が飛び、動きが止まる。


 しかし、その侵蝕の停止は一時的なものだった。


 またすぐに触腕を氷漬けにしようと動く。それは触腕だけにはとどまらなかった。


 氷を殴りつけた拳の方にも氷が付着して、腕を氷結させていく。


 それを理解したエイド少年の動きは迅速だった。


 元々黒づくめの女の子が握っていて触腕に打ち据えられたことで取り落としたナイフを即座に拾い上げて、触腕と腕の二点の氷結に混乱する緑のゴーレムの喉元に真っ直ぐ突き立てた。


 ピシッ!! と顔のパーツが一切ない頭部に亀裂が走る。


 同時に氷漬けの速度も加速する。


 差し込んだナイフを掻っ捌くように横方向に思い切り動かして、緑のゴーレムから離れる。


 首が半分裂けた緑のゴーレムの全身が完全に凍結して、氷が首元まで辿り着く。


 パキリッと音がした。生成される氷結が首元を覆う前に、裂かれた首が割れた音だった。


 ゴロンッと首が地面に転がる。


 そうすると何もなかった頭部の表面が割れて、その内側が露出された。


「母さん……!!」


 それはエイド少年のお母さんの顔の形を完全に残していた。


「おー、頑張ったねぇ……!! それはご褒美だよ!!」


 そんな声と同時に、アーシア=クーロッドが背中にはやしている触腕が、エイド少年の頭部をしっかりと貫いた。


 一瞬の出来事だった。


 油断していた。


 まさかそんな、あんな口ぶりで戦いが終わった後でいきなり手を出してきたりはしないだろうと、高を括っていたような部分は多分、間違いなくあった。


 だって、あの女はあれだけ人のことを煽ったりするのが好きな性分を見せつけてきていた。印象付けてきていた。


 私たちが勝ったならば色々理由を付けて何某か言葉をかけてくるに決まっていると、そう思い込ませるような身振り手振り口振りをしていた。


 そう思っていたのに、現実はいきなりエイド少年の眉間を穿孔している。


 そして、穿孔した触腕がするりと抜けて、今度は鋭く動いて、彼の頭部を切断した。


 いっそ褒めた方がいいレベルの早業だったかもしれない。


 手慣れている、なんてモノじゃない。


「お前……!! お前ぇぇえぇぇっぇぇぇぇ!!!!」


 どっと感情が爆発した。


 抑えなんて効くはずがなかった。


 だって、今まさに私の目の前でエイド少年が死んだ。


 絶対に、アレでは助からない。


 いくらなんでもあんなに入念にする必要はない。


 死んだ彼の両親を使って、散々彼を愚弄して、彼が自らの手で母が基になったゴーレムを破壊したその瞬間に、あっさりと首を落とすなんて……、正気の沙汰ではない。


 そんなもの許せるはずがない。

 許されていいはずがない。


 血管がブチ切れるんじゃないかというくらいに、絶叫して、絶叫して、絶叫して。


 そして何かを掴むように前に手を伸ばして拳を握る。


氷造凍結式フロストリンク


 口をついてでてきた滑らかな言葉と、頭の中にぼーんというどこかで聞いたような音が鳴る。


 急速に私の足元から冷気が噴き出して、地面と、それから隣接していた海面の一部を凍らせた。


 かっちりと、頭の中で何かがかみ合った気がした。


 ぐらぐらと感情のままに煮え滾る私と、冷静に状況を俯瞰する私。相反する私が、同時に存在しているみたいで、気味が悪かった。


「アハッ!! そんなに怒らないでよっ!! でも、こんな力を隠し持ってたんだね。お姉さんもっとあなたのことが欲しくなっちゃったぞ★」


 嗤うアーシアを睨みつける。

 視界の端でヒュンっと何かが飛んだ。


 見れば黒づくめの女の子が腹部を抑えながら立ち上がって、拾いなおした自らのナイフをアーシアへ向かって投げつけていた。


 そっと地面を蹴ると、驚くほどの速度で私の身体が動いた。さっきまでならば三秒は掛かったであろう距離をほぼ一瞬で詰める。


「手出し無用」


 黒づくめの女の子の肩に手を置いて、耳元でそれだけを伝える。


 パキリッと彼女の黒い衣服の肩口が僅かに凍った。


 答えは聞かずに、手を放してアーシアへと向き直る。


 彼女は腰から生やした触腕をうねうねと動かして、うっとりと表情を高ぶらせていた。


「お姉さんも本気だしちゃおっと!!」


 クルクルと白い短杖を軽く弄び、

土造投擲式ロックランサー!!」

 声を上げるのと、私が、

氷造障壁式アイスシールド

 短く宣言するのは同時だった。


 直後、ドガンッ!! とアーシア=クーロッドの足元から生成された土の槍が真っ直ぐと私へ直進して、そして私の眼前に展開された透明な氷の盾に激突して粉砕される。


「あらっ頑丈。土造槍人形式ランサーゴーレム!!」


 すぐに数歩下がったアーシアが初めて会った時に操っていた槍を持ったケンタウロスのような姿の土の機兵を呼び出した。


 但し、数が七体いる。


 全高はおよそ二メートル程度。今まで彼女が操ってきたゴーレムたちと比べれば控えめではあるが、それでもバカに出来ない大きさがある。


 そもそも普通だったら身長二メートルの大男七人に囲まれたとすれば勝ち目なんて一切ない。


氷造高速走行式ブレードスケーター


 ピョコンっと小さく跳ねて、元々履いているハンティングブーツの靴底に氷の力を集めて固める。


 既に足元は氷のフィールドに書き換え済みだ。


 それを一〇〇パーセント生かすために自分の靴を氷のスケートシューズに作り変える。


「あら、速そう。でも私の土人形ゴーレムちゃんたちを倒せるかしらぁ?」


 真っ先に動いた私が一挙に距離を詰めて、一番手近なゴーレムの首を靴に生成した氷の刃を使って、切り落とす。


 そのままさっくりと二体目のゴーレムへと近づいて、そして手痛い反撃にあった。


 人馬型のゴーレムが持つ鋭い槍が三方向から、私のことを串刺しにせんと狙いを定めて待っていたのだ。


 けれど、身を翻して一撃を、靴につけた氷の刃を使って一撃を、そこから更に宙へと舞い上がるような形で一撃を、捌き切る。


 ただ、相手はどうやらそこまで読んでいたらしかった。


 そう、今まさに槍を投擲せんと構えを取っている人馬型のゴーレムと目が合った(正確に言えばこのゴーレムにも相変わらず目は付いていないのだが、表現上そう言うしかない)。


 そして待ち構えているゴーレムはその一体だけではない。


氷造障壁式アイスシールド


 だから私は、氷の盾を前ではなく、足元に作り出した。


 生成された氷の盾を即座に蹴り飛ばして、真下に戻る。


 ドガッ!! と三本の槍が生成された盾に激突し、粉砕する。


 それと同時に、私は直下の人馬型ゴーレムの胴を割り、足を払う。そのまま槍を奪い取って、頭部へ先端を叩きつけることで粉砕した。


 そこまでやって、密集地帯での戦闘は不利だと判断し、一旦距離を取るために氷の上を滑るように移動する。


土造散弾式サンドブラスト


 だけれど、後ろから全てを飲み込むような細かな砂の粒子が波のように襲い掛かってきた。


 即座に飛びあがって、

氷造障壁式アイスシールド

 空中に盾を展開して、その上に乗る。


「ありゃぁ……、捕まえ損ねちゃったぁ」


 バスンッ!! と砂を纏ったままの人馬型のゴーレムが跳ねあがってきた。


 迎撃しようにも武器はなく、四方を囲まれている。


 だから――、

 足元に展開した盾を消した。同時に靴に装着している氷の刃も消す。


 砂の波の余波で、凍結させたフィールドが砂まみれになっている。これなら、普通にスパイク付きの靴の方が機能的に優位だ。


「ねぇ、リリアちゃん……っ。こういうのって、どうかしらぁ?」


 ニタァっとアーシア=クーロッドが笑っていた。


 邪悪な笑みだった。


 先に地面に落ちた私は即座に駆けて、人馬型の包囲から抜け出る。その視線の先に、アーシア=クーロッドが笑っている理由があった。


 腹側部を抑えるようにしてへたり込んだ、黒づくめの女の子へと人馬型のゴーレム一体が迫っていた。


 あれでは逃げることは叶わない。


 まだやるか……。まだやるのか……!!!!


 酷く冷静な自分が、グツグツと怒れる自分の感情を認識する。


氷造錨斧式アイシクルレイジ!!」


 同時に、私の口が無自覚に一つの言葉を紡いでいた。


 ズガッと足で蹴りつけた地面が抉れた。

 視線が体の動きの認識に追いつかなかった。


 手元に巨大な氷の斧が生成される。


 ザグンッと、手応えがあった。


 気が付いたときには私の身体は人馬型のゴーレムの横をすり抜けてその腕と首とを両断していた。


「アハッ!! すごいっ!! 何それっ!! すごいわぁ!!」


 振り返ると着地したばかりの人馬型のゴーレムがこちらに狙いをつけて槍を構えているのが見て取れた。


 自然と体が動く。


 花弁のように軽い動きで、豪風のように鋭く動いた。


 肉厚で、大型船舶の錨のような形をした巨大な戦斧が、体の使い方を教えてくれる。


 エーテルが全身を高速循環することで、身体能力が飛躍的に高まる。


 それでも、相手がその槍を投げつけてくる方が早かった。


 投擲された槍の狙いは、私。――、ではない。


 その全てが、あの黒づくめの女の子へと向かって投擲されてる。


 ふわりと体が、射線に割り込み、カチ上げ、振り抜き、裂いて、最後に蹴り飛ばす。


 全ての動きが良く視えた。

 この後どう動けばいいのかさえも視えた。


 人馬型のゴーレムが新たな槍を生成するよりも早くに、彼らの懐へと潜り込む。


 直後、彼らの前肢が暴れるように持ち上がった。


 武器がなくともその重量と強靭な蹄が在れば人を殺すことなど容易いのだと知らしめるように。


 しかし、だけれど、それならば私の方だって、右に同じだ。


 氷造錨斧式アイシクルレイジによる一閃が全てをなぎ倒す。


 回転しながらの一振りで、四体のゴーレムをまとめて斬り払った。


「いい!! とてもいいわよぉ!! リリアちゃん!! 欲しい! やっぱりお姉さんあなたが欲しいわ!!」


 自分のゴーレムが全て倒されたというのにアーシア=クーロッドは狂喜に打ち震えていた。


「最後にもう一度だけ、聞く。あなたはなんだってこんなことをするの?」


「さっきも言ったじゃない。お姉さんは世界で最高の土人形ゴーレムちゃんを作りたいの。そのためには、世界で最高の素体が欲しい!! でもどんなに最高の素体だったとしても、たった一つだけじゃ完璧にはなり得ないわ。だから沢山欲しいの!! 沢山の最高の土人形ゴーレムを作りたいのよ!! 最初は、秘書としてお姉さんの傍にいてもらうのもいいかなって思っていたのだけれどっ、もう気が変わったわ!! リリアちゃんには是非そのうちの一体になってもらいたいっ!! だから、あなたのその才能が、お姉さんとても欲しいのよ!!」


 少しだけ、彼女の言葉を頭の中で反芻してみた。


 そこに込められた意味を、そこに込められた感情を、理解しようと試みた。


 でも、ダメだった。


 どれだけ頑張っても、こんな惨状を引き起こしてしまったことを肯定できなかった。


 エイド少年の首を刎ねたことを、肯定できなかった。


 だから――、

「さようなら」

 駆けるべき言葉はそれしか思い浮かばなかった。


土造超巨大傀儡式メガトンプレデター!!」


 陶酔感を滲ませたままでアーシア=クーロッドが高らかに叫ぶ。直後超巨大な筋骨隆々の巨人が姿を現す。


 身長一五〇センチメートル程度の相手を捻り潰すために使うには明らかにオーバースペックだ。


 その威力は私もよく知っている。

 味方の時には頼もしかった。


 今は敵だ。


 まともに一発貰ったとしたら即座にひき肉だろう。何なら、掠っただけで骨が砕けるかもしれない。


 でも、だからと言って退くことは出来ない。


 この女をこのまま野放しにすることは出来ない。


 そのための力が今ここにあるのだから、絶対に失敗できない。


 何より、この女を生かしておくことを私自身が許せない。


 だから跳んだ。


 跳んで、

氷造障壁式アイスシールド

 盾を複数空中に展開する。


「アハッ!! そんなもので動きを封じられると思ったら大間違いよ!!」


 アーシア=クーロッドの最終奥義の巨人の周りに配置した盾は彼の振り回す大腕の一撃によってガンガン粉砕される。木の葉を毟るように、アリを踏み潰すように、雑草を抜くように、紙を破るように、易々と、本当に易々と粉砕される。


 でも、それでよかった。


 私が盾を生成し、それを足場に巨体の周りを跳ね回る。


 土塊の巨人は小さな私の動きを捉えきれずに、生成された盾を端から破壊しつくしていく。


 巨体に一撃を入れるタイミングは掴めない。


 攻撃のために不用意に甘く跳びあがったとすれば、ハエを叩くように即座にすりつぶされてしまう。


 でも、それでよかった。


 たった一つ、メガトンプレデターの死角となる腰部と臀部の丁度中間あたりに生成したたった一つだけが破壊されずに残っていればそれでよかった。


 タンッと私の足が氷の盾を捉えて、蹴り飛ばす。


 超巨大ゴーレムの股下へともぐりこむような形で。


 もちろんこのゴーレムに金的が効くと思っているわけではない。


 ゴーレムの足元によって守られているアーシア=クーロッドに対しての直線が通ったのがその場所だったというだけのこと。


 直後に、ザンッ!! と氷造錨斧式アイシクルレイジの透明で肉厚なそれでいて白い冷気を辺りに散らす刃がアーシアの身体を両断した。


 血飛沫が上がる。


 直後に裂けたアーシアの体が凍結した。


 上がった血飛沫がさぁっと私の体に降り注ぐ。


 同時にアーシア自慢の最大級ゴーレムがボロボロと砂礫となって崩れ落ちる。


 村の人たちの、……、エイド少年の仇は討った。


 でも、心は晴れなかった。


 虚しい、あまりにも虚しい……。


 こんなものを楽しんでいたアーシア=クーロッドの心は理解できない。


 私の手で命を絶って、だというのに、結局全く何にもわからなかった。


 手から氷の戦斧が零れ落ちる。


 音はなかった。

 地面に落ちる前に霧のように消えうせてしまったから。


 村の方を見れば、いつの間にか上がっていた火の手は消えていた。多分私が戦いの時に発していた冷気の余波なのだろう。


 それを見てふと気が付く。


 私が『完全なる火の造魔式』を継承できなかったのは、火の造魔式に対する才能がなかったからではなく、私の中にある氷の力の才能が大きすぎたからなのではないか、ということに。


 今更そんなことが分かったとしても、何の意味もない。

 そうだ、と一つやらないといけないことが頭に浮かんだ。


 それをするべくエイド少年の元へと歩いていく。


 隣にしゃがみ込んでいた黒づくめの女の子は私に対してすっかり怯えた様子を見せていた。


 無理もないか、こんな力……。

 でも別に今は用はない。


 地面に転がったエイド少年の頭と目が合った。そんな気がした。


 しゃがんで、拾い上げる。


 頭部の穴と首元の切断面はもうすっかりと乾いているようだった。

 そっと抱きしめると、もうすっかりと冷たくなっていた。


「う、ううううぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」


 嗚咽が噴き出した。


 アーシアを切り捨てて、怒りの感情が凪になって、自分の感情がどこに行ってしまったのか分からなくなったような感覚がしていたけれど、そっと首を持ち上げたときに何かの堰が切れた気がした。


 日が傾いて、辺りが暗くなるまでずっとそうしていた。

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