神域と呼ばれる森の守り人一族の最後の一人である私は一緒に暮らしていたおじいちゃんが逝ってしまったのを機にこんな誰も住んでいないクソ田舎を脱出して都会で生活するんだと夢見ていたけれど現実は上手く行かない
1-22 おまけもつけてもらったけどそれでも上京したい
1-22 おまけもつけてもらったけどそれでも上京したい
アーシアとエイド少年の二人を先に階段を昇らせて、足元と言わず天井と言わずあっちこっちが僅かに揺れる中で、私は一人で地下室の真ん中に立っていた。
『お主はいかないのか?』
すっ呆けるの?
『まあ見たならば分かってしまうか……』
御託は良いから、早く教えてよ。あなたが用意していた万が一の保険を。
『橙色の碑石があるじゃろう。それじゃ』
黙ってうなずいて、その橙色の碑石へと触れる。
今度は何にもなかった。
光も、輝きも、感情も、何もない。
ただ、ほんのりとした冷たい石の感覚が、手のひらに伝わっただけだった。
あまりの感触の無さに自分の手のひらを見てグーパーと閉じて開いて具合を確かめて見てしまう。
それでも特に何かが変わった様子は全くない。
「大丈夫なのかな……?」
思わず声に出た。
『碑石の力自体はきちんと機能しておるから、実感がなくとも気にする必要はなかろ』
そういうモノなの……?
『そういうモノじゃな』
そういうモノらしい。
いざ行かんっ、元都会跡地の戦場へっ!!
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