1-26 作戦会議中でも上京したい
ボフンッ!! と何か柔らかいものに激突した。
「あれ? 俺たち無事なのか? リリア、怪我は……?」
「……、」
「間に合ったわね。良かったぁ」
私たちを受け止めたのはどうやらアーシア=クーロッドだったらしい。下にあるのは地面から生えたふわふわの白いもこもこしたものだ。
「お姉さんがなんとなく作ってみたモノの思った用途では使えなかった衝撃緩和用の造魔式が役立ったわね」
人間をダメにしそうなほどのやわっこさを持ったクッションだった。
自分の状態を確認してから改めて、目の前のモノを確認しなおす。
アレはなんだ……?
目の前にあるのは巨大な力の塊のような真っ黒い繭。それがアーシアの搭乗型思考兵装とスケスケスケトウダラの王様をすっぽりと包み込んでしまった。
「お姉さんも間一髪、取り込まれるところだったわ」
他には何もない。
さっきまであれだけ争っていたはずの憑依型ゴーレムもすっかりと沈黙していた。
この周りからは一切の邪気が失われている。
目の前の黒い繭以外は。
「何が起こったの……?」
「リリアちゃんが一番分かると思うんだけど……、分からないの?」
確かにそうだ。
この中で私一人だけが、あの王様と言葉を交わしていた。
というかこのお城に入ってから結構ずっと話をしてた。
だから、二人が分からないことも私は分かっている。そのはずだ。
なのに、全然分からなかった。
一体これはなんなんだ……?
「リリアちゃんが分からないなら、代わりにお姉さんが推論を披露してもいいかしら」
「お願い」
「リリアちゃんがずっとチャネリングしていた人はあの黒い繭の中にいるのよね?」
「そう。ずっと私と一緒にいたんだけれど、あの振り落とされるときに黒い何かに飲み込まれちゃって……、それで……」
「お姉さんは碑石の効果で継承させてもらった
「なに、それ……」
「訳がわかんねぇ……」
私だってわけが分からないんだから、エイド少年なんかもっとわけが分からないだろう。
でも、何とか今起こっていることを理解して飲み込まないと……。
「……、仮にそれが事実と措定すると、どうなるの……?」
「そうねぇ……。この場に集まっていた
その名前の由来はよく分からなかったけれど、少なくともとんでもない化け物が生まれる可能性があるらしいということは分かった。
「あの、王様は逃げろって言ってた……」
「それで素直に逃げるのか……?」
「お姉さんは逃げたくないなあ……。せっかく碑石でスンゴイゴーレムを継承させてもらった御恩もあるし」
「私は、私は……。私だって、逃げたくないよ。せめて、あの人を安らかに逝かせてあげたい」
「でもどうするの? 手立てないんでしょう?」
「出来るか分からないけれど、一個だけある」
「まあお姉さんも一個だけ切り札あるから、じゃあそれで行きましょうか」
「俺は何にも出来ねえんだけど……」
「一緒にいて。そしたら私が心強い」
「分かったよ……!!」
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