1-16 謎の声に誘導されつつも上京したい


 混乱した私が謎の声のことをエイド少年とアーシアに上手く説明するまでにおおよそ三〇分の時間を要した。


「話をまとめると、俺たちには聞こえない声が、君……、リリアにだけ聞こえてきていて、それとの対話を試みていたところ、俺たちへの発言と混ざってしまった、って理解でいいのか?」


「そうそう、大体そんな感じ」


「本当に? 本当に大丈夫? 無理して取り繕っているわけじゃない?」


 ズイっと胸元を協調するような格好でアーシアが心配そうな表情でつめ寄ってきた。


 絶対に確信犯的に煽ってきていると思った。


「ちがわいっ!! 絶対しないからなっ!! そんなデカいモノと和解なんて絶対に……!! 絶対にしないっ!!」


「おっぱい怖くないわよぉ?」


「怖いんだよっ!!」


『なあそろそろお主に情報伝えたいのじゃけれど、いいかのぉ?』


 えぇ? あっ、そういえば思わせぶりなこと言われただけで何にも聞いてなかったじゃん。


『そうなんじゃよ。お主の思考回路がその、あまり常識的でなかった故に何というかちょっと話だしのきっかけを見失ってしまってのぉ……』


 そんなっ、私が常識外れの田舎者みたいな口ぶりしなくてもいいじゃん! ひどいよっ!!


『そんなことは言っていないがのぉ、特に田舎者とか一切言っておらん。まあとにかく、一旦一番上まで来てほしんじゃよ』


 ……、まあ当てもないしここはあなたの言葉を信じることにしようと思う。


「チャネリングの結果とりあえず最上階まで来てほしいとのことです」


「あぁ、急に黙り出したなと思ったら、そっちと話をしていたのな」


『私と話をすることをチャネリングって呼称するの止めてくれないかの?』


 チャネリングはチャネリングだよ。


 というか私にも姿は見えていないし、二人には声すら聞こえていないんだから、チャネリング以外の何者でもなくない?


 絶対的にすこぶる正しいと思うのだけれども。

 絶対正義、絶対正解、すこぶる正論、すこんぶ清涼だよ。


『……、すこんぶは清涼ではなかろ』


 見解の相違があった。


 かつて栄華を極めたはずの民でも年月には敵わないらしい。

 私の方があなたよりも都会のことを分かっているようだなぁ!!

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