第35話 買われた男

今日からここがお前の生きて行

く場所だ。


父親に手を引かれ連れてこられ

凄い豪邸の門をくぐった。





まだ12歳だった。


親父は俺を引き渡すと

ニヤニヤしながら沢山のお金と

一緒に出て行った。




親父はクズだった。

競馬、パチンコ、賭け事が大好きで

母親は愛想つかして何時の間にか

いなくなっていた。


その日の食事もままならない。

学校にも行けない、そんな日が

続いていた。


何もする事がないから学校から

くれる教科書を暗記出来るほど

読み明かした。


携帯がある訳じゃない。

パソコンもない。

アルバイトもできる年じゃない。


水道も電気も止まって

本当に夏は月の明かりで

冬は雪の明かりで、その他は

街灯の下で本を読みあさった。


二宮金次〇の気持ちが

少しだけ分かる。

彼はもっと、すごい時代に生きて

いた、尊敬している。


俺の生活と言えば

コンビニの捨てられた賞味期限の

切れた弁当を、

浮浪者のおじさんが分けてくれて

何とか命をつないでいた。



そんな暮らしと比べたら

ここの生活は天国だった。


学校にも行けるし

三度三度の食事もある。

風呂もあるしテレビもみれる。


勉強出来る机もあった。




しかしそう思って過ごせたのは

22歳までだった。


それは俺を育てる為でなく

ちゃんとした目的の為用意された

物だった。


大学の卒業式が終わると

俺は屋敷の当主に呼ばれ

私の主人となる彼女を紹介された。


「いいか、坂田‼

お前は我が娘を、命を

かけて守り抜け、お前に武道を

たしなめさせていたのは

このためだ、よいか‼」



「はい。分かりました。」




それ以上の返事はない。

育ててもらった恩義もあるのだが


そう言わないと俺の人生は無い。

それから紹介された娘は

ワガママ放題の手に負えない

女だった。



彼女は16歳

カミソリの様に切れ安く

気が短い。

1回暴れ出すと手が付けられない。


しかし、奏月に惚れていて

奏月の言う事だけは聞くらしい。

お喋りだけは長く・・・。



「ねえ坂田、私と奏月様の出会い

は、運命なのよ。」


それは遠く小学校迄、溯るらしい。



「ぶへ、お前ブス過ぎ‼

目と鼻が離れすぎだし


鼻は上向いてんなハハハ」



「うううー、パパに

言いつけてやるからー」



《こら💢なんで泣かしてんだよ。》


「奏月💦だってサ

コイツ、ブスだしブス‼」


👊


「うううわ〜ん奏月💦がぁ﹏」

暴力﹏ふるううぅ」



「大丈夫か?怪我してないか?」


「はい、大丈夫です。」


制服は駒込女子大付属?

なんでお嬢様がこんな所に?」

奏月はお嬢様の来る場所じゃ

無いのに突如現れた彼女を

不思議な気持ちで見た。

彼女は慌てて


「えっと、何となく・・・💦」

そう言った。


「ふう〜ん、ま‼

気をつけて帰れよ。」

奏月はそう行って帰ろうとした。


「あの〜私そんなにブス?」


引き止めるように彼女は聞いてきた!


「(( ̄▽ ̄;;)ア、ハハハハ…

個人の個性だし、気にするな‼

アイツら見ない顔だったし・・・

いいんじゃないか?


まあ、可愛いかときかれたらなぁ

違うカナ

大人になったら化粧で化ける奴

もいるしな!

個性個性。」



「じ、じゃ‼

大人になってキレイになったら

お嫁さんにしてくれる?」



「ええーっ‼ いきなり直球?


う〜ん╯•﹏•╰

ま、ま

まあ、俺が25くらいになって

お前を、100人がキレイと太鼓判

押してくれたらなー


考えてやるか・・・(^∇^)アハハハハ!

無理だろうけどサ。

その顔じゃな‼」




「本当🌻、頑張る‼」



「おう、頑張ってキレイに

なれヨ。」


そう言って奏月は彼女を送って

行った。



「お前ん家、デカイな!

世間で言う大金持ちか?」


奏月は門構えを見ながら首をグルり

と回し門構えから見える中庭を

覗き込むと広い日本庭園が

広がっていた。。




「うん。奏月さんは

お金持ちに 興味あるの?」

彼女はニコリと微笑み奏月を見た。




「(^∇^)アハハハハ!

無理無理〜無理


俺は自分で金持ちになるからサ」




「じゃあな!

気をつけろよ。」


そう言いながらサラサラヘアーを

かきながら、いかにも

昔なっかしい

昭和のガキ大将そのものの彼に

又(〃 ̄)-~ポ-💓としながら

見送る、おブス少女がいた。




「お嬢様、さっきは失礼

しました💦。」


ガッ ゲコ グッ イタッ(°д०॥)✷✸

さっき暴言を吐いていた三人は

屋敷の中で正座をして少女に蹴りや

平手打ちをあびていた。


彼らは少女の父親の会社の社員の

子供だった。


「散々言ってくれたわね。

まあ、良いわよ。

上手くいったから。


この事は内緒にしないと

あんた達の明日はないわよ。」


顔を赤くはらせて足を引きずり

ながら三人はヒーヒー言いながら

逃げて行った。


そんな様子を笑い転げながら

「あ〜25歳かぁ〜

待ち遠しいわぁ〜ウフフフフ」


庭には赤い椿の花がポトリ、ポトリ

と落ちて赤い絨毯が広がっていた。



少女は大人になるにつれ

沢山の美容整形医の力をかり

美しくなって行った。




奏月の25歳の誕生日に向けて

準備をしていた

奏月は歳をおう事男っぷりがあがり

カッコよくて、イケメンで

ますます彼女を虜にして行った。








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