第40話 捕まった




ドン‼

「いたーっ‼」


「あ‼ ゴメン‼」

俺は良く見かける受付の女の子と

ぶっかった。

昼休憩が終わる頃

営業で必要な他社の資料を

見ながら、歩いていた時だった。



バアアアーン

総務課から女の子が飛び出して

来た。

結構な衝撃だった。


「あれっ‼ これ度が入ってないな

伊達メガネか?」


「ほっといてっ‼キッ‼」


ゾッ

一瞬だが鳥肌がゾワンと立った!。


彼女が落としたメガネを屈んだまま拾うと咄嗟に割れていないか

確かめメガネを窓に向けて

掲げて見た。


度が入って居ないと彼女に伝えると

冷たい鬼の様に尖った目を向けて

メガネをぶんどると俺の手を踏み

つけて走って行った。

ジリジリガッ‼

「イテッ、ウッ、マジかよww!」




恐ろしく痛くて、まぁぶつかったの

は悪かったけど、お互い様だし・・・

気の強さとは違う

咄嗟に彼女から恐ろしいような

殺気を感じた。

こんな体験は初めてだ。


それを見ていたのは俺だけじゃ

無かった。



「坂田?」

同期の坂田もそれを見ていた。


その後社食から2人の女の子が

出て来て、坂田は俺を自販機に

引っ張った。


聞こえてきた内容は


「ん〜楽しみぃ〜」


「でも急すぎ、明後日出発だよ。」


「奈緒は、行動派だからね!」


楽しそうなユイと依織の話し声

を聞いた。


坂田は「明後日?」


「なぁ箕谷、さっきぶつかったのは

案内の子だったよな‼」


「ああ、安曇奈緒だ‼」

俺が手をブラブラ振りながら

イテッイテー

「踏みつけられたー

本気でやられた‼」クッソー

と言った時坂田はハッとした顔

をして確認して来た。

「安曇奈緒?間違いないか?」


「そうだよ。安曇奈緒だ

あれ?お前その手は、どうした?」


箕谷も自分と同じ左手を怪我して

包帯を巻いた坂田に聞いた。


「お前もふまれたか?

いやいや噛まれたのか?

女か?誰にやられた?

ハハハハハ」



すると、坂田は神妙な顔をして

依織と結衣を目で追った。


「なあ箕谷、あ、あ、さっきの子

ホントに、 安曇‼・・・奈緒か?

間違いないか?顔をみたか?」


震える声で奏月は又確認した。





「ああ、前は事務にいたんだ

知ってるよ。

おまえ、ああ、最近出張だったな‼

知らなかったのか?


ちょっと前から受付にいるよ。


知り合いにはならないがいい

なんかヤバイ奴に見える。

坂田・・・‼ 気にいったのか?

確かに可愛いよな。


メガネ外せばいいのにな‼

メガネしてても可愛いけど

外したら別人だよな、綺麗

しかしイテー

思いきり踏みやがった。


しかし彼女、


なんで、急に案内所に変わって

たんだろうな。

ビックリしたぞ﹏

然し、変な子だな綺麗なのに

目がキッイとゆうか?

気持ち悪いとゆうか?


あんまりホントに、

関わらないがいいぞ‼」


そう言うと呆然とした坂田が


と叫んで走り出したんだ。



もうドン引き‼





それから坂田が又怪我したと聞

いて見舞いに来たら、丁度目が

覚めたらしくてサ


副社長もいたし、全員いるから

ビックリしたよ。

俺は坂田を見舞った

だけなのにサ。

皆いたから何事かと

思ったよ。」

目が覚めたらしき

坂田は話し出した。


「大丈夫、坂田君。」



「坂田、何があった?」

副社長が理由を聞いたとき

坂田は話し出した。


「お嬢様は・・・

殺るおつもりだよ

彼女は、安曇の一人娘だ

安曇奈緒は、恋敵を、

旅行の誘いだしに

成功したんだ‼

止めてくれ、依織さんが

狙われてる。



今日は何日だ!」


「3月20・連休初日・・。」

俺が答えると


・・・


そこに居た全員が

1番に飛び出したのは

部長だった。


次に奏月が後を追い

《《空港よ空港!私警察に連絡

するから、山岡‼急いでっ‼》》

副社長と奏月と部長は

慌てて病室を飛び出した。

奈緒が犯人なら確実に依織が

危ない・・・

また外国につれさられる。



「え、え、なにが・・・

どうした?え?は?。」

取り残された箕谷は、あたふた

とりあえず後に続く

部長は、俺に気付き先にタクシー

に乗り込んだ二人はもう居なく


後を走った俺を捕まえ


「運転しなさいッ‼」

そう言われ病院の駐車場が

近かったからスグ部長の

元へ車を回した。




警察と部長が電話していて

その会話を聞いて

俺(箕谷)は、おおやけな事は理解した。


「行くわよ箕谷くん、」


「え、あ、えーっ、ど、何処へ」




俺は腕を押されるまま車を出し

部長に従ったんだ‼



「結衣も一緒だと聞いて肝が

ひえたぞ‼」




「部長有難う御座いました。

私一生部長について行きます。」


依織と結衣は部長に抱きついて

泣いた😭😭


ポリポリ

奏月と箕谷は苦笑い。



山岡父が現れて、

「坂田から全部聞いた。

彼も被害者だ、元々彼は

安曇関係で奏月を監視する為

派遣されたらしい。


まさか安曇奈緒本人が

オーキッドの社内に潜り込んで

いたのは彼は知らなかったようだ。


坂田は奏月の情報を流して

いただけ。」


「あー

だから京都旅行で依織を

誘拐できたのか‼」



警察も依織の回りで事件が多発

する為今日から依織を監視して

いたのが幸いした。


依織は良くも悪くもマークされて

いたのだ。


勿論空港にも、私服警官がいた。

依織のそばを付かず離れず

安曇奈緒はそれを計算に

入れていなかった。



その後、坂田は回復し裁判で

証人として出廷し、会社を

去って行った。

裁判はまだ始まったばかり、



坂田は奏月の情報を流して

いただけだったが、それによって

依織が危険なめにあっていた事は

やはり許せなかった、まあ坂田がいなくても坂田の様な輩が入り込んで

来ていたハズ


罪を償って新しい坂田自身の

人生を生きてほしい。


彼は仕事真面目で几帳面だった

彼がいなくなる事は

正直痛手だ。


安曇奈緒は数々の悪さが露見し

暫くは塀の中から出れないようだ。

勿論精神鑑定の結果で、内容は

変わるだろう。



安曇コンツェルンは元々いい噂は

無かったが、この事件は大々的に

報道され、株は急落しジワジワと

経営悪化に繋がり倒産


子供の頃、目をまるくして、

見上げた屋敷は更地になっていた。




八重は奈緒に父親の取引を辞め

援助も断ると言われ

脅すだけでいいと、いいくるめ

犯行に加担させられていた。


恐ろしくて安曇奈緒の名前は出せ

なかったと泣いていた。



奈緒にはまだまだ余罪がある

裁判に次ぐ裁判


塀の外には出てこれるのだろうか?

出て来れたとしたら

警察とは違う塀の中にいる事に

なるだろう。


依織は仲の良い友達と思っていた

奈緒が凶暴な犯罪者とわかり


悲しいような、

可哀想なような

裏切られていた裏の顔を思うと

複雑な気持ちでいた。


それは幸か不幸か、結衣にも

当てはまっていた。

結衣も同じ気持ちなのだろう

元気が無い。


あんなに明るく可愛い奈緒

奈緒の人生にどんな闇があったん

だろう。


今となっては知る由もない

知ってどうなるものでない。



どっちの奈緒が本当の人格なのか

わからない。


依織と結衣が心から思うのは

やはり天真爛漫な奈緒とは

友達でいたい。

奈緒の回復を祈るのみだ。



あの日奈緒が落とした物は

奏月のマンションのカギだった。


奏月にも言えず依織は

会社のロッカーにしまったまま。




警察官の話だと奈緒は

カード鍵を必死で探しているらしい。

どう見ても作れるモノでは無い

どうやったんだろう

と考えてしまう。


大金持ちだったから

その道のプロにやらせたんだろか。

これ以上奈緒の罪は増やしたく

なくて依織は黙っていた。


依織は回転寿司には、たまに行けて

その喜びを感じられる、



沢山の友達と食べるコンビニ

おにぎりも凄くおいしい。


依織は、倹約家なのだ。

美味しい物は有名シェフだけが

作れるものだけじゃない。


家庭菜園の小さなベランダでも

美味しい野菜は出来るよ。


何もかも愛情が美味しさをつくる。

母に感謝したい

お金は正直無かったけど

工夫と溢れる愛情はいつも

感じていた。


奈緒の人生にその喜びは

あったのだろうか?

有り余るお金が何もかも

奪ってしまったのかもしれない。



お金は人を変える。

どうしても必要なお金がいる時

それが叶わなかった時

悲しいかな、人を鬼に変える場合

もなくは無い。



又人を救うのもお金。

お金は握った人次第で悪にも

善にもなる。


お金は生きている。

恐ろしくもあり暖かくもある

お金と刃物は持つ人で

使いようが違う。



奈緒の投げたサバイバルナイフ

はこんな使われ方をして

嘆いているのかもしれない。


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