第39話 もう1人の奈緒



「早く早く‼」


「あ〜ん待って‼結衣ちゃん‼」


今日は奈緒と結衣ちゃんと

沖縄旅行のため成田までやって来た。


待合室で

「ねぇねぇ結衣、トイレ行こうよ」


「え、依織は行かない?」

結衣ちゃんがそう言ったのに


「依織は荷物見てて、後で交代

しょう。」

と奈緒が止めた。


「うん、いいよ。私荷物見てるから」

この間の事があってから結衣ちゃん

は、何かと気にしてくれている。


結衣ちゃんは

「すぐ行ってくる。行くよ

ダーッシュ奈緒‼」


結衣ちゃんは奈緒を蹴散らすように

トイレへと駆け込んだ。



しばらく本を読んでいると

黒靴が目に止まった。



「来た‼」




依織は咄嗟にそう思った。

奈緒と結衣ちゃんはまだ帰って来ない。



「奈緒、はやくして‼」


「もう少し待ってよ‼」


「依織が1人なのよ‼

なんかあったらどうするの‼」



「分かってるってー‼」


念入りに化粧する奈緒に結衣は

イラつきながら急かしていた。

先いくからね、


「もうちょっとだってば‼」

奈緒は急いでる様にみえて

念入りに化粧直しをしている。

随分経って最後の仕上げのリップを

塗った。






「﹏どうしよう!﹏」


依織は静かに頭をあげると数人の

男が依織を取り囲んだ。


それは不自然さはなく、

普通の人達‼


2人2人で話し込むような動作で

何処にでもある光景


然し雰囲気は・・・違う。

気持ち悪い。


バッ

逃げ出そうとした依織の腕

を1人の男が掴んだ。




「Are you Iori?」

一人の体格のいい男が声を

かけてきた。


「・・・y・・yes」


「Cuter than I thought」


「エッ‼」



「﹏What do﹏ you ﹏ mean?」

(なんなんですか)

動揺しながら依織が聞いた。


「You were out Iuck」

(お前、運が悪かったな。)

フフフ

衣織の腕を強く掴み引き寄せた。


その時



「運が悪いのは、お前達だ‼」

一人の男性が飛び込んで来た。


回りの私服警官に包囲され

動揺する間もなく

男達はバッと散らばり方方に、

にげだした。



然し周りをぐるりと囲まれ


空港は騒然となったが予想外に、

早く方が着いた。

外国人の男達は銃を手にする

暇なく捕まった。


奏月w・・・

依織は飛び込んで来た大好きな彼

に抱きついて

「Www﹏こわかった。」

とブルブル震えながら呟いた。



「依織、大丈夫?」

結衣ちゃんと奈緒も駆け込んで来た。




「依織・・・何があった?」

ゾロゾロと引っ張られる男達を

見ながら唖然とした顔で

結衣ちゃんと奈緒が聞いて来た。

心配そうな顔をした奈緒と

ユイが依織に近ずいた‼



「そこまでだ‼」


副社長が結衣と奈緒を見て

叫んだ。


「エッ?」

結衣ちゃんも奈緒ちゃんも

何の事か分からない

という顔をしてグルリと囲んだ

警察官を見た。


「安曇奈緒さん。」


副社長は続けて名指しで奈緒に

向けて叫んだ。


ユイと依織は驚いて奈緒を見た。

全員の目が奈緒に注がれる。


「エッ?なになに?

なんの冗談?」


奈緒は驚いてそこに居た全員

の顔を見た。


「安曇奈緒‼

お前は安曇コンツェルンの

一人娘だな‼」


依織もユイも悲鳴に似た声をあげた。



「うそ・・・💦」



あの日結衣ちゃんの誕生日の日

結衣ちゃんが奈緒を誘うのを止め

た理由が甦る。



「なんで奈緒を誘っちゃ

駄目だったの?3人で御祝いした

かったのにィ〜。」



「うん。

あのね、偶然見たの。

依織がトイレに行った時、

私、課長に呼ばれてコピー

取りに行った事があって・・・


部署に帰ると奈緒が依織の携帯

見てて、携帯を床に投げたんだ。」

依織は強ばった顔をして


「まさか〜

結衣ちゃんの見間違いだよ。


確かに傷が角に入ってたけど

大したことなく使えるし

多分投げたように見えて

落ちたんだよ。」


結衣ちゃんは半信半疑

「そうかなぁ」


「そうだよ、落としただけ

じゃない?


奈緒も、言い出せなかった

んじゃない。アハハハハ

結衣ちゃん心配しすぎ〜」


「だとしても、謝るべきじゃない。

落としたんだったら、

しかもそのままで部署を出たし

普通拾うわよ。

私も依織の携帯のキズ確かめたけど

まあ、依織の言う通り

壊れて無かったから、

言わなかったの‼

机に、置いといたんだけど‼」


「そっか‼ありがとね結衣ちゃん。」


「ま、まあ気になったから・・・」


な事を話してくれた。




結衣ちゃんの心配は当たっていた。

こんな悲しい予想が当たるなんて

依織は、何ともやり切れない

想いを抱いた。


私、呑気すぎる





奈緒は奏月をじーっと見ていた。


依織は奈緒の表情が固くなり

強ばり、目が冷たく尖ってきたの

を感じた。



多分そこにいた全員が奈緒の中の

人物の入れ替わる瞬間を見た。





クックックッ

「なんだぁーバレてるんだー

流石、山岡奏月ね。

久しぶりじゃない?」



「奈緒、どうしたの?」

結衣ちゃんが叫ぶ。


「黙れ‼キッ


あーあ‼随分念入りに準備

したのにね。ハハハ」

今まで見た事の無いキツい目で奈緒

は依織とユイを睨みつけた。



「お前達邪魔‼

特に依織、あんたは八つ裂きに

してもこのイライラは

収まらないわ。」


依織はゾッとしながら奈緒を見た。



「奈緒どうしたのよ!

奈緒じゃないみたいだよ‼」

結衣ちゃんは涙目で訴えた。



「話は坂田からきいた。

お前は・・・」

奏月は奈緒を見下すように

言った。



「そう約束したでしょう。

あなたは私と結婚を約束したのに

女ばかり作って💢・・・

これ以上の裏切りは許さない‼」



「は?なんの冗談?

あの時は100人お前が綺麗だと

認められたらって言ったよな‼

もう忘れていたけど思いだしたよ‼」



「だぁかぁらァ!

認められたわよ!

100人の男は私をキレイと

言ったわ‼」



奈緒はお団子へァのリボンを

パラりと、解くとふんわり

とした巻き髪が落ちた。」



「ふーん、成程‼


そう言うことか?

然しな俺は依織がショートにしたら

俺の好みはショートだ‼


ミデアムにしたらミデアムだ

俺の好みは依織以外居ないからな‼

今はこの髪型が俺の好みだ‼」

奏月は依織を優しい目で見ると

またきつい眼差しで奈緒を見て

野太い声で叫んだ。


「そんな巻き髪

気持ちわりいんだよ‼」



奏月は依織を又愛しそうに見た。


ポッ(´,,•ω•,,)「奏月・・・」

依織も答えるように頬を

赤らめた。


「フン、みせつけるな✧"✧嘘つき‼

私はずっとあなたが好きだったのに

なんでポッと出の依織に

持って行かれるの‼ズルイ‼」


「奈緒‼」



依織は、知らなかったとは言え・・・

奈緒の気持ちを考えていなかった。

「ゴメン奈緒、私ズルイかも

知れない。


だけど奏月が好き

これは譲れないよ。」



「ハハハハハ


何言ってんの‼

あげないわよ、奏月は私の

物よ。



笑わせるな‼依織

コロしてやる﹏✧"✧」


依織に拳をあげた奈緒を奏月は

一喝!!

「ふざけるな!

お前は約束を守っていない。

綺麗どころか、あの頃より


醜い、



百人が百人とも、醜いと言うぞ

まるで鬼ババアだ‼

気持ち悪い‼

吐き気すらして来る。

お前は人の心を持たない鬼ババアだ‼


百人が百人ともそう言うぞ」


怒りにぶち任せ奏月は奈緒を

怒鳴りつけた。



「奏月様‼なんでそんな酷い事を・・・」

奈緒は縋るような目をしていたが


フツと振り向き依織を睨んだ!


「お前のせいか、依織

お前さえ居なかったら奏月様は

私のモノ、ねえ、

そうでしょう。」

又奈緒は縋るような

ねちっこい顔つきで奏月を見て

甘えた声を出した。


「は?顔さえ綺麗ならいいのか?

俺は嫌だね。

思いやりが無い奴は

綺麗とは認めない‼

だからお前との約束は破棄だ‼


お前は何人犠牲にして来た?

思い出してみろ‼

お前の会社の家族何人消えた?」




「約束は・・・破棄?

狂いそうな目を剥き奈緒は、

奏月をみた。

以外とでも言うような目で

見つめていた。



しかし奏月は、依織を背中に

包み奈緒に言った。


「は?しかもあれは子供の頃の

お前をなぐさめる為の・・・

何でもない会話のひとっだ

約束なんかしていない💢💢

あんなん幼稚園児でも

やってるぞ‼」



エッ‼⊙д๏)嘘


奏月は又これでもかと続ける。

「このぅ性格ブス‼

今なら言えるから言うぞ

ブス ブス ブスあの日から

お前は変わってない、いや

もっと酷い、鏡見てみろ‼」





「酷い・・・

酷い

酷い

酷い

ひど━━━━━い‼

しぃねぇ━━━━━━━🗡」


奈緒は奏月目掛けてサバイバルナイフを握り締め走った。


バコーン

慶一道が回し蹴りを咬ませ

奈緒の顔面にヒット


慶一道はこの技がやりたいのかは

分からないが・・・2回目


奈緒は自慢の顔を抑えヒーヒー

言っていた。


「安曇奈緒、殺人未遂、誘拐、

銃刀法違反で逮捕する。


11時25分‼」


髭っらの強面の刑事さんが手錠を

かけ、奈緒は顔面を押さえながら

私服警官に囲まれ連れていかれた。



後に残された依織とユイは

信じられないとばかりに泣いていた。

大親友と思っていた奈緒が

あんなサイコパスだと分かり

依織も結衣もショックは大


そんな時暖かい手が結衣の背中

を優しく撫でた。

「結衣ちゃん、大丈夫か?」

その大好きな声に結衣は泣いてる

顔をあげた。

「エッ‼ 箕谷さん?ど・・・して?」

箕谷は照れくさそうに言う。

「えっと、部長に捕まって

ここまで運転させられたんだ。

話は部長から聞いた。

間に合ったんだな‼」




「あの時さぁ・・・。」




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