第31話 狙われた。
その夜、依織が他の男と出かけて
いるのを知っていながら部長の
ストップ命令に従わなければ
いけない事が腹立たしい。
そんな俺の気持ちを知ってか
部長がからかって来る。
「なに? 奏月、アンタがヤキモチ
凄いウケるんだけど・・・՞ٹ՞」
「お、俺だってヤキモチじゃ
なくて、 心配はします。
俺の彼女なんですから・・υ」
気持ちが収まらない俺の口調は
ついつい、キツくなる。
部長はヤレヤレみたいな顔をして
「依織の為なの‼だからガマンよ‼」
私に任せなさい。
副社長の狙いは犯人から依織を
遠ざける事よ。
上手く行ってるじゃない。
依織はアンタから振られたと
勘違いしているわ。」
「そぅ・・・ですけど‼」
「今は、依織の安全確認が一番‼
でしょ‼」
直立して固まる奏月を恋子はヤレヤレ
『本当に奏月は依織をすきなんだな』
そう感じていた。
「心配ならば見て来てあげる!
私に任せて、
寧音さんの護衛お願い‼」
大仏部長はニコニコしながら
経費で落とすから・・・と
2人の行く場所には、察しがついて
いるようで、地下の駐車場へと
靴音を立てながら階段を降りていった。
奏月は一先ず安心した様に
寧音のいる雅楽代本社へと車をだした。
雅楽代本社に着くと玄関先に
車を回す。
📱「寧音、着いたぞ!
帰れそうか?」
📱「おーついた?おそくね?
すぐ行く!
ご飯食べに行く?」
📱「そうだな!
和食にするか?なんか魚
食べたい気分なんだよ。」
📱「うん。
イイヨ、直ぐ行く。」
俺は車を降りて、寧音を待った。
なんか、見られてる気がしたが
その気配は直ぐに消えた。
一杯呑む事になり、車を本社の
駐車場に置いたままタクシーに乗り
料亭に着いた。
いかにも、THE日本感丸出しの料亭
は着物姿の中居さんに迎えられる。
奥座敷に通され、昔話を肴に
酒も進んだ。
2時間弱の時間を過ごし
寧音と料亭を出た。
その時部長から連絡がはいる。
「依織は無事に帰宅。」
部長からのLINEは奏月をホッと
させていた。
「ねえ、奏月、あの子とは
仲直りしたの?」
俺は・・・答えなかった。
「ねえ、もし、もしあの子と
別れたなら、私付き合っても
いいよ。」
長い巻き髪は俺の好みだ・・・
でもそれは、依織じゃないと
もうダメなんだ。
寧音はパラパラと巻き髪をすくい
ながら、
「今日は?どうする?
恋人になる?
セフレに戻る?」
甘い囁きが俺を誘惑するが
俺は早く帰って、アイツが・・・
俺のマンションの同じ階の住人が
帰っているのか確かめたい。
「いや、寧音悪いけど
もう依織以外とはそんな事は
しないよ。
愛しているんだ。」
「えっ‼」
寧音は小さな声をあげた。
「まさか、ホントの本気なの?‼
どうしちゃったの?
奏月らしくないわよ。」
寧音は驚いた様子で目を丸くして
呟いた。
「ごめん、タクシーをよぶか?」
俺が携帯でタクシーに電話を
してタクシーを待った。
すると、向こうから何か音がした。
目をこらすと・・・
猛スピードで自転車が、俺達目掛け
突っ込んで来た。
危ないっ‼
咄嗟に寧音を庇い自転車のハンドル
が右腕をかすった。
バタッ‼
ウッ‼
キャーツ‼奏月、奏月‼
寧音の叫び声に驚いたのか
“チッ、“
舌打ちをして自転車の男は真っ直ぐ
に逃げて行った。
「大丈夫?奏月。」
「うん、心配要らない
大丈夫だ‼」
呼んだタクシーが着いたのは
運が良かった。
直ぐに病院へと向かった。
依織に継いで寧音まで狙ったのか?
偶然か?
俺はもう許せ無くなり
警察に被害届を出した。
街の防犯カメラを調べ
自転車の種類は分からないが
マウンテンバイクの気がする。
暗闇で、黒ずくめだったから
よく見えなかった。
警察はひき逃げで捜査をしてくれ
るようだ。
車道で無くても交通事故として
扱ってくれる。
自転車であってもひき逃げと
みなされる。
狙ってきたのは間違いない。
俺を?
寧音を?
早く捕まえて、お返しをしたい。
昔の記憶全開、ヤンキーの血が
久々に煮えてきた!
🦆
某御屋敷の中にマウンテン
バイクが入って行く。
全身黒ずくめの男が跪く
障子の向こうから声がした。
「上手くいったの?」
「いえ‼ 邪魔が入りました。」
障子がバアアアアーン
と空いて、ストレートヘアの若い
娘が現れた。
2回目も失敗‼ 💥💢💥
はあああああ
いい加減にしてよ!💢
何やってんの?💥💢💥
もう一回襲って来なさいよ‼
「いえ、お嬢様もう警察が
動いています。
しばらく大人しくしていた方が
よろしいかと・・・﹏」
何、ビビってんのよ!💢
山岡奏月は私のモノよ。
どうしても手に入れるわ。
どうにかしなさいよ‼💥💢💥
「しっ、しかし無理です。
これ以上は・・・」
「私に逆らうの‼」
・・・いえ‼
「わ、分かりました。
次の手を考えま・・・す。」
「早くしなさいよ!
この役立たず‼💥💢💥」
🦆
救急外来に付くと電話していた
せいか直ぐ診察してもらえた。
「軽い打ち身」と言われたが
ズクンズクンと脈打つみたいに
痛い。
「大丈夫❓」
寧音は心配して聞いて来るが
寧音に怪我が無かった事にホッとする。
この一件で依織から寧音に完全に
ターゲットが変った事を奏月は
理解した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます