第19話 奈緒ちゃんのスクープ




「キャー、スクープ

スクープだよ。」



何故か事務の女の子が総務課に

飛び込んで来た!



結衣ちゃんと依織の友達の

奈緒だ。



お団子へァ〜で活発で

喋り出すと目と口が忙しく動き

可愛らしい顔もヒョットコみ

たいになる。

ズーッと喋り散らかす元気が取り柄


結衣ちゃんが

「うるさい、誰かバケツ被せて」

というくらい。


「だってー結衣、依織、

ビックいや、

ビックリニュースだよ‼

驚くなよ﹏w」



結衣ちゃんはパソコンを入力しな

がら相手にしない。


「ん﹏聞いてよっ‼依織〜」



奈緒ちゃんはせっかくビックリ

ニュースを土産に走って来たのに

結衣ちゃんも相手にしないから

ジダンダを踏んだ。


依織はパソコン触る手を止めて


「ハイハイ!毎度お騒がせの

奈緒ちゃん、今回のビック

いやビックリニュースって何?」


奈緒ちゃんはニヒヒと笑い


「秘書課の、山岡さん

宮慶財閥のムスメと縁談が

まとまったんだってぇ〜」


そばで聞いてたか聞いてないか

分からない結衣ちゃんが


「えー、誰が縁談?」


奈緒はお腹に力を入れて







結衣ちゃんはパソコンを打つ手を

止めて振り向きざまに叫んだ‼



「本当なんだなぁ!

会長が持って来た話らしいよ‼

今の今の話。」



奈緒ちゃんは依織を見ながら


「どした?依織、ショックか?

だよねー、独身イケメン

減っちゃったね。


私もーショックだよ。」


するとドアから山田真奈先輩が

フラフラと入って来て




と自分のデスクに倒れた。

「( ˟ ⌑ ˟ )アーア駄目、立ち直れ無い」

あの手この手を尽くし

また狙い作戦を練り上げていた

先輩は今度こそ撃沈‼



「そりゃショックよね。」


奈緒ちゃんは依織と結衣ちゃん

を交互に見てね、ね、って

同意を求める。


「い、いいじゃない!

断る理由なんて

無いじゃん。

それに山岡さん頭キレるし

跡取りも任せられるよ。ハハハハハ」

負け惜しみっちゃ負け惜しみ

急なビックリニュースに依織も

戸惑っていた。



「 良か、良かったじゃない。ハハハハハ」

苦しい笑いも笑いにならない。


「そうだねーカレ、頭キレるし

相手もそこ狙いじゃない。」

腕を組みながら結衣ちゃんも納得‼


依織は仕事を再開したが・・・

動揺を隠すのが精一杯だった。


そうだやり直そうと言ってくれ

たのに、素直に奏月に飛び込め

なかったのは私だ!


きっと待つのに疲れたのかな

でも・・・ズルイよ。


下を向いたら涙が止まらなくなり

そう。



泣くもんか!泣くもんか!

依織は奥歯をグッと噛み締めた。

気を許したら大粒の涙が

零れそうだった。



その日から依織はエレベーターを

使うのを辞めた‼


30階あるビルも総務課は5階にある

それくらいは頑張れる、今は

顔を合わせたくは無い。

顔を見たら首根っこ掴んで文句三昧

ぶちまけそうだ、嘘つき野郎

とある事ない事、投げかけそうだ


ストレス解消ストレス解消‼

階段をトントンと上がり下り


・・・・



俺と副社長が現れると

ヒソヒソ、ヒソヒソ、ヒソヒソ

俺と副社長は顔を見合わせ

お互いを指差し、


お互いブンブンと首を振る。


「副社長又女の子と遊び

ましたか?」


「うん、毎週遊んでるし

今更じゃね。ってかお前は?」


「貴方と一緒にしないでく

ださいよ。」😤




回りの異様な雰囲気に居心地悪さ

を感じながら俺と副社長は、

業務をこなした。



俺は仕事を一段落終え、珈琲を

飲もうと自販機に向かった。



暫く見かけていない依織を心配

しながら、珈琲を押す。



ちょうど目の高さにミルクティー

がある。


今日も依織はミルクティーを飲んだ

んだろうか?


そんな事を考えながらブラック

珈琲をプチッと開ける。


珈琲のほろ苦い味は奏月の今の

心のようだった。



依織に顔を見せたら依織が嫌な

気持ちになるんではないかと

考え2週間顔を見ないようにして来た。


当然、エレベーターも

避けてきた、時折ドアの隙間から

依織を見つけた時は

ダイヤモンドでも探し当てたような

高揚感を覚えた。



夕方宮慶茅乃からラインが来た。

この間連絡先を交換していた事を

今更ながら思いだした。



「こんにちは、奏月さん。

来週社内ゴルフ大会があるの

慶一道さんと会長をお誘いして

あるのよ。

良かったらご一緒しませんか?」


「分かりました。

喜んで出席します。」


「迎え・・・に行きましょうか?」

突然の芽乃からの誘いにちょっと

ビックリして声が裏返った。


「え、むか・・・え?」


「あの、道わかりますか?

高速を降りて山の方へ

ヤッパリ、お迎えに行きます。」



「え、とんでもない!

副社長と行きますし、私

副社長付きの秘書ですし・・・💦

勝手に行動は出来ないです。」




「えっと‼

分かりました。

じゃあゴルフ場でお待ち

しますね。」ションボリ


少し押し黙った彼女に悪いと

思った奏月はつい

「あ、あああ、すみません、

楽しみにしています。」

と言ってしまった。


「はいっ。」



迎えを断られた茅乃は迷惑がら

れたのかと元気を無くしたが

「楽しみにしています。」

と言われ自分に会うのを楽しみ

と言われた気がして

声すら弾んでいた。




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