香りに包まれながら
1.日も傾き始めたテラスには 物悲しい季節とは裏腹に
自分を振り返るひとときを与えてくれそうな
のんびりとした日差しが流れている
どうしてあんなこと言ったのだろ 取り戻せない出来事を浮かべて
一人沈んでみたところで出るのはため息だけ
木の葉が揺れているのは私のせい
することもなくふと気が付くと あの人の好きなコーヒーを淹れていた
香りが部屋中に安らぎとなって漂えば
出会った頃の素直な私を連れ戻してくれる
2.慣れ過ぎた二人の関係には 無くしている何かを捜す時間
うれしそうなあの頃が湯気の向こうに浮かんで消え
ほお杖つきながら懐かしんでいた
慌ただしく走って来た気持ちが ゆっくりその速度をゆるめながら
あなたがそばにいない寂しさが追い越して行く
立ち込める記憶に姿を捜して
口ではあんなこと言ってみても 二人分のカップを用意している
やっぱり本心はあなたと離れられない
今頃何してるのかと気になってばかりだから
冷めないうちに電話をかけて 今の思いを正直に届けたい
忘れてた優しさを呼び戻してくれた
昼下がりあなたの好きな香りに包まれながら
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます