傘のうち

1.雨の中で淋しそうに鳴いてた 子猫がいました

  寒さで震えさまよい歩き 疲れたように座り込んで

  よく家庭でかわいがられている フサフサした猫には

  雨やドロ水で どうやっても見えなく汚れていたのでした

  支度こそ人並みだけど 捨てられたばかりの私の心も

  裏切りというドロ水で 汚れていたのかもしれない


  悲しさこらえて ここまで一人歩いて来たのに

  思い出しちゃったじゃないの

  独りぼっちはお前だけじゃないからね

  涙がどんどんあふれながら 子猫を見つめ

  笑うのが精一杯の私でした



2.雨の中でこらえ切れず泣いてる 私がいました

  線路づたいの細い道 出掛ける時の楽しい姿を思い出す

  さっきから見上げて鳴いてる 子猫を連れてくほどの

  やさしい気持ちは残されてなく あの人の言葉だけが

  いつまでも私の耳元に残っている 出来るのなら

  すべて忘れさせて 祈り続けた私


  車に注意してね 風邪引かないようにね

  独り言のように話してた

  耐え切れず さしてる傘を子猫にかけて

  夢中で走りだすことしか 出来ませんでした

  涙を雨に ごまかしながら

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