aitu

1.冷めた目をして 誰も近寄らなかったaitu

  友達と呼べる関係ではなかったけど なんとなく気になった

  どこへ越すとも聞かず 今も記憶の中に浮かぶ人


  不良のレッテルを いつも連れ歩いてたaitu

  みんな本当は知らなかっただけ 澄んだ瞳を

  私にはわかっていた 今も気になる後ろ姿


  校庭に出ると 大きなイチョウの木

  夕焼けが葉の色を染め 伸びた影を歩いて遊んだ

  切り倒されたのを知ったのは クラス会の席でのこと

  覚えている人もいない aituの名前



2.話し相手もなく うつむき加減に歩いてたaitu

  放課後はいつも一人で どこか遠くを見ている

  一度だけ話してくれた 照れ笑いしながら


  ポケットに手を入れ 授業を受けてたaitu

  雰囲気でみんな嫌っていたけど 気づかぬ誤解  

  卒業アルバムにもない 淋しい影の人


  強い風の日は 砂ぼこりが舞って

  うつむき加減に 殺風景な街をみんなで帰った 

  長い年月は鮮やかな色を 水で薄めてしまう

  残ったのは色あせた aituの笑顔

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