枯葉のシンフォニー

1.過ぎ去る季節を惜しむように 残された時間の世界で

  枯葉のシンフォニー 風を相手に舞い踊る


  一人で腰を下ろすベンチは 込み上げる寂しさ漂い

  振り返ればあなたの幻 目隠ししようと立っている

  誰も乗らないブランコが 風と戯れ揺れていた


  待っていても誰も来ないのはわかっているけれど

  秋の夕暮れは悲しいことだとは知らなかった



2.散り行く儚さ隠すように 訪れる気配の中を

  枯葉のシンフォニー 鮮やかな季節を終えて


  一人で歩いて行く小道は 私だけでは広すぎて

  肩を抱くあなたのぬくもりを 思い出すほど見失う

  頬をかすめる冷たさが 傷ついた胸を凍らせる


  聞いてみても返事が来ないのはわかっているけれど

  落葉を踏む音はせつないことだとは知らなかった


  一人で座るブランコは 気持ちだけが揺れていて

  途切れた幸せの細い糸 戻そうとしてもからむだけ

  うつむいた私の目には 二人で笑った懐かしい日々  


  寄り添っても誰もいないのはわかっているけれど

  一人がこれほどまで寒いものとは知らなかった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る