1つあいたイス

1. 喫茶店で 彼と待ち合わせ

  気が付くと友達が 向こうの席に彼と一緒

  この間まで彼が まだいなかったのに

  化粧室 鏡に映る顔は どことなく怖い顔してた


  口もつけずにコーヒーカップ

  ドアの音に早く振り返り 笑いたいのに

  小さなスプーンもてあそび

  呪文のように呟くの

  早く来ないと 私もコーヒーも冷めちゃうわよって



2. このテーブルを 選んだことを後悔してる

  ちょうど目の中に 向こうの席の二人のいちゃつき

  音の出ないレコード グルグル空回り

  お店の音楽も聞こえないほど 私の心も回りそう


  思い出せないテレフォンナンバー

  1つ寂しそうなイス 心寒い私

  かすかに感じる冷たい風を

  早く遮って欲しい

  ずっと待っている 私に優しく微笑むあなたが来るのを

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る