第51話 勇者三宅戦
「ここならいいんじゃないかな〜。それじゃあ早速死んじゃう?」
「その前にいくつか聞きたいんだがいいか?」
「この後に及んで何かな〜? まあ最後だから僕が答えられる事だったら別にいいけど」
「店で言ってたお前らのグループのリーダーの炎帝っていうのは十二勇将なのか?」
「あ〜神崎さん有名だからな〜村人でも知ってるんだ。そうそう十二勇将だよ。滅茶強いんだよ。もう最強だよ」
やはり炎帝とは十二勇将の事か。
「そんなに強いのか。お前よりか?」
「まあ、村人からしたらどっちも雲の上だと思うけど、神崎さんは別格だよ。流石の僕でも敵わないかな〜」
「そうか。ちなみにメンバーは何人いるんだ?」
「うちのところはそこまで大所帯じゃないから五十五人だけど、そろそろもういいかな」
「後一つだけいいか?」
「なに?」
「岡田義親って奴を知っているか?」
「岡田義親〜? あ〜知ってるよ〜」
「本当か!? 本当に知っているのか!?」
平静を装っていたが思わず殺気が漏れ出してしまう。
「あれ〜怖い顔してるけど何か恨みでもあるのかな〜。でも君今から死ぬんだから知る必要はないでしょ。じゃあそろそろ死んでくれるかな〜」
そう言って三宅が腰に下げていた剣を抜き放ったが、両手にはショートソードを構えている。
「二刀流だよ。かっこいいでしょ」
俺も二刀流を相手に戦うのは初めてだ。気を抜く事は出来ない。
三宅は特に構えを見せる事なくいきなり俺に向かって飛び込んできて、右手に持った剣を無造作に振るって来たが、特に変化の無い一振りだったので余裕を持って避けることが出来た。
「あれ〜。目測を誤っちゃったかな〜。今まで村人相手に外した事はなかったんだけどな〜。君運がいいよ。少しだけ長生きできたね〜。ドジな僕に感謝してよ」
俺は追撃が来るかと後方へと回避して剣を構えて待ち構えていたが、そんな気配でも無い。こいつはもしかして……
「お前素人か……」
「は〜? たまたま僕のミスで生き残ってるだけの村人がなに言ってくれてんの? もういいや、これで死んでよ『ファントムブレイド』」
三宅が離れた距離からスキルを発動しながら、こちらに向かって剣を振るう。
普通はこの距離から剣を振るって届くはずは無いが、勇者のスキルでの攻撃が何も無いはずはない。
俺は咄嗟にその場から左方向へとジャンプして回避したが、避けた俺の右側から風切音の様なものが聞こえて来た。
「おいおい、何避けてくれてるんだよ。俺の必殺の『ファントムブレイド』をさ〜」
やはりこいつが何かをしたのは間違いない。
先程の風切り音は三宅の攻撃によるものだろう。という事はこいつのスキルは剣から風が何かを飛ばすスキルが?
見えない分厄介だが、こいつの剣は訓練されていない素人の剣だ。先程の攻撃を見る限り、振るった剣の直線上を風か何かが走った様なので、剣先をよく見ていれば大丈夫のはずだ。
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