第42話 オーガ戦

この後の戦闘の邪魔をされない為と少しでもステータスを上げておきたいと思ったからだが、十体をしとめる事に成功し残る個体は六体。

普通に考えてかなり厳しいが、幸いな事にオーガに外傷は無いものの、煙を吸い込んだようで残りの個体も一様に足取りがおかしい。

ただ『アイスジャベリン』で狙ってみるが、全方位対応できるように円陣を組んで対応しているので当てるのはかなり難しい。


「行くしか無いか……」


ステータス上は何とか二匹までなら一度に相手をする事も可能なはずだ。

俺は『アイスジャベリン』を放ちながら特攻をかけた。

氷の槍を連発しながら『火炎剣』を再び発動させて向かって行く。

オーガも当然のように俺を認識して向かって来るが、煙の影響でどの個体も動きが鈍く走る俺を捕らえるほどの速度が出せないようだ。

ただ今も小屋は燃えており灰色の煙の量もどんどん増えているので、俺自身も吸い込まないようにしないとまずい。

途中から息を止めてそのまま一番手前のオーガに炎の剣を振るい足を切断する。


「ガアアアアアア〜!」


そしてそのまま放置して次の個体に向かう。

オーガも手に持った棍棒を振りかざして力任せに狙ってくるがステータスの上がった俺には遅く見える。炎の剣で受け止めると強烈な力で押し込まれるが、炎が棍棒を燃やし、オーガの手元の武器が真っ二つに割れた。

俺はその瞬間を逃さずオーガの首に向かって剣を突き立てとどめをさす。


『アイスジャベリン』


後方のオーガに向けて牽制する為に氷の槍を放つ。

これで動ける個体は後四匹。更に踏み込んで残りのオーガ倒しにかかろうとしたその時前方から燃え盛る火球がこちらに向かって飛んできたので慌てて避けるが、まさかこれはスキルによる攻撃か?


「誰かいるのか!」


どこかに勇者が潜んでいるのか? オーガに意識を置きながらも注意を周囲に広げるが、再び燃え盛る火球が飛んできた。


「お前が!」


火球は正面から飛んで来た。正面にはオーガが陣取っているので、これは明らかにオーガが放ったものだ。

良くみると四匹のうちの奥の一匹は他のオーガよりも少し身体が大きく体色も少し濃い気がする。 

オーガの中にはスキルを使える上位種がいると聞いたことがある。オーガメイジ。こいつがそうか。

次々に飛んでくる火球を避ける為に俺は四匹のオーガから一旦離れ、先に動けなくなっているオーガにとどめをさす。

少し引いた俺がいる場所に向けてオーガメイジは火球をどんどん放ってくるので、回避に追われてしまうが、二匹のオーガがこちらに向かって来ているのが目に入った。

向かってきたオーガが交互に直接攻撃を仕掛けて来て、更に火球が後方から迫ってくる。

完全に連携を取りながら攻撃を仕掛けてくるので守勢に追いやられてしまう。


「なめるなっ! 『アイスジャベリン』」


俺は後方に控えるオーガメイジに向けて攻撃を仕掛けて、火球が途切れた瞬間を狙い目の前のオーガに火炎剣で斬りかかる。

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