第43話 オーガメイジ
オーガは手持ちの武器で火炎剣を防ぎに来たが、俺は無視して全力で武器毎オーガの身体を叩き斬った。
その勢いのまま、くるっと半回転しながら剣を振るい横のオーガにも炎の刃を浴びせかけた。
「ガハァ……」
これで残るは二匹のみ。オーガメイジとそれを守るように立っているオーガの二匹だが、他のオーガとは違い二匹共に手には金属製の剣を持っている。
流石に火炎剣でも、あれは焼き切ることが出来ないので、確実にダメージを与えるべく剣を握り直し向かって行く。
オーガメイジは俺が向かっている事に気がついて、再び火球を放ってくる。
恐らく普通に勇者が放つファイアボールと遜色無いので、まともにくらうと確実にダメージを受けそうだが俺の今の反応速度であれば出所さえ見ていれば十分躱す事は出来る。
躱しながら距離を詰めて行くと、オーガが斬りかかって来たが、明らかに今までのオーガの力任せな攻撃に比べて鋭い。
俺は火炎剣で受け止めるが、オーガは力押しで押し込んで来た。
このオーガ、力だけなら俺に近いものがあるのかもしれない。
「ギイイイイイィ!」
まだ少し余裕はあるものの力を緩めると一気に持って行かれそうだ。
押し返すべく、俺も力を込めるが、オーガの背後からもう一本の剣が襲って来た。慌てて避けようとするが、切り結んだ状態からでは反応が遅れてしまい、胸から腹にかけて斬られてしまう。
「カハッ!」
焼けたような痛みが襲って来て血が滴る。
斬られる瞬間にバックステップで後方へと回避し致命傷だけは避ける事が出来たが、かなりの深手だ。
モンスター戦でこれ程の手傷を負ったのは初めてだった。舐めていたわけでは無いが、この二匹のオーガは思った以上に手強い上に深いダメージを負ってしまった。
『アイスジャベリン』
俺は一旦距離を置く為にスキルを発動して、重い足を動かして距離を稼ぐ。
ここで使うしか無い。
俺は以前買った低級ポーションを取り出して一気に飲み干した。
ポーションを飲み干すと身体全体が暖かい感じがして、血が滴っていた傷口が徐々に塞がり血が止まっていくのが分かる。
傷口が完全の塞がるまでの時間を稼ぐ為に、後方へと下がりながら再度『アイスジャベリン』を放つ。
そのうちに身体の暖かい感じが消え去り、それと同時に傷口も塞がったようだ。
「買っておいてよかった」
ポーションがなければやばかった。
俺は剣を握りしめ再びオーガに向かって行く。今度はもう同じ手はくわない。まともに正面から斬り合っては、またオーガメイジにやられるので俺は高速移動を繰り返しながら左右から手数を増やして斬りかかる。
「くっ……」
剣を振るう度に閉じた傷口が痛む。低級ポーションで傷口は閉じているが、完全に治ったわけでは無いようで激しい痛みを感じる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます