第25話 ボス戦

かなりのスピードを誇っているが俺の敏捷値は五百オーバーなので、いくらこいつが速いとは言っても瞬間的な速さは俺の方が上だ。

俺は迫って来るグレーウルフをサイドステップで躱してすれ違い様に剣を振るう。


「ギャウン」


俺の放った剣はグレーウルフの後ろ足を捉えてダメージを与える事に成功した。

その瞬間


「ウオオオオオ〜ン!」


今まで動かなかったシルバーウルフが吠えながら猛然と突進して来た。

もしかしたらこいつはグレーウルフの親なのかもしれない。

我が子が斬られるのを見て慌てて出張って来たのか?

近づいて来るとグレーウルフよりも更に一回り大きいが、なんと開いた口から炎を吐き出して来た。

まさかファイアブレス?

モンスターの中にはスキルの様なものを使う個体もあるとは聞いていたが、通常一般人が出会う事などまず無いので、実際に目の前で吐き出される炎に驚きを隠せない。

咄嗟に飛び退いて避け『アイスジャベリン』を放つが相殺される事は無くファイアブレスは俺の左腕を焼き『アイスジャベリン』がシルバーウルフの頭部を掠めダメージを与える。


「ぐっ……」


俺の魔法耐久力は他のステータスに比べると低いのでそれが仇となったのか、炎を浴びた腕が死ぬほど痛い。

一旦『アイスジャベリン』を放ち距離を取り立て直すが腕の痛みがどんどん増して来る。

これは、長引くとヤバいな。

長引けば長引くほど痛みが増して、戦いに集中出来なくなりそうだ。

残念ながら痛みを切り離すなどという高等技術は俺には使えそうに無い。


『火炎剣』


速攻で二匹を炎の刃で斬り伏せるか、避けられない至近距離から『アイスジャベリン』を直撃させるしか無い。

ボスモンスター二匹が並んでこちらを威嚇している。

ちょうど良い。二匹まとめて切り刻んでやる。


「ふ〜っ」


俺は無理やり息を大きく吐いて呼吸を整えると同時に『アイスジャベリン』を放ち二匹に向かって走り出す。

二匹もこちらに向かって駆けて来るがシルバーウルフが先程同様口を開けファイアブレスを放とうとしているのが見えたので、大きく右に旋回して射程範囲から逃れ、ファイアブレスが放たれると同時にシルバーウルフの側面まで大きく踏み込み炎の刃を胴体めがけて叩き込む。

鈍い抵抗と共に剣は振り切れ、シルバーウルフの胴体を両断する事に成功した。

もう一匹。

一番の難敵であるシルバーウルフを倒す事が出来たのでグレーウルフを倒せば、この群は瓦解するはずだ。


「いつっ……」


先程の攻防で左腕の痛みが増して来ているが、何とか集中し直す。

グレーウルフが毛を逆立てて目は充血しているのが見て取れる。

後ろ足にダメージを与えているので動きはかなり限定されるはずだ。

グレーウルフの方に向き『火炎剣』を右手で構え直す。

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