第40話 集落
騒ぎ立てて暴れる前に二本目のナイフを投げて左目に命中させる。
そしてすぐさま三本目を投げて再度喉に突き刺す。
頭部と喉に損傷を受けたトロールはそのまま前のめりに倒れて絶命した。
慎重に死んでいる事を確認してから魔石を取り出しにかかるがやはりトロールの魔石はゴブリンと比べても取り出し辛い。
剣を使い魔石を取り出して袋にしまい込むが、今日はこれで五個目だ。それなりのペースではモンスターを狩ってはいるものの、エンカウント率が上がったわけではないのでそこまで数を伸ばすことは出来ていない。
あれから朱音と蒼花共二度ほど一緒に森に入ったが、彼女達二人で一緒に潜る限りは俺がいなくても問題なさそうだ。
「ん? ここは?」
上位の個体を求めていつもよりも奥へと進んでいるが、先に拓けたところが見えるが、よく見ると簡易な小屋のようなものがいくつか見て取れる。
「あれはもしかして……」
とてもここは人が住める場所では無いのでモンスターの集落の可能性が高い。
たまに聞くのは勇者がゴブリンの集落を壊滅させたとかいうのは聞いた事があるがあれもゴブリンの集落なのか?
ただ気になるのは、全景が見えているわけでは無いがゴブリンの集落にしては小屋のようなものが少ない気がする。
知識だけにはなるが、ゴブリンは繁殖力が強く集落ともなれば百匹を超える数が集まっていると聞いた事がある。
それにしては少ない気がする。今見えるのは三棟だけだ。
少し違和感を感じながら慎重に近づいていくが小屋のようなものは全部で六棟。やはりゴブリンの集落にしては数が少な過ぎる上に近づいて見ると小屋のサイズも明らかに大きすぎる。
このサイズで群れをなす人型のモンスターといえばトロールか?
少し前にもトロールをしとめたので、可能性は高い気がするが、まだ一匹も見当たらないので出払っているか、もしくは小屋の中にいるのかもしれない。
小屋ごと焼き払えれば一番スムーズだが、俺には遠距離用の火を操るスキルは無い。
もしやるなら火炎剣で直接火をつけるしか無いが、気づかれずに六棟に火を放つ事が出来るだろうか。
いろいろと思い巡らせ考えて見たが、いくらステータス値に開きがあったとしても一斉にかかってこられると分が悪い。
やはり小屋を焼き数を減らす以外に選択肢は無い。
俺は覚悟を決めて集落へと進んでいく。もう少しで森の木が無くなるのでここからは見つかる前に素早く動くしか無い。
未だに周囲にモンスターの姿はないので思い切って飛び出す。
一番近くの小屋まで走り『火炎剣』を発動して小屋の端に火をつけるが、思った以上に煙が立った。
急がなければ炎より先に煙で気取られる。
すぐに次の小屋に向かい火をつける。三棟目に火をつけた時には一棟目から大きなオレンジ色の炎が上がり始めていた。
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