第5話 モンスター
これは……
聞いた事も無いスキルだが対勇者専用スキルか。
勇者と戦う時に限り50パーセントの上昇補正という事は、身体的能力は対勇者に限っては五百を超えている事になる。
これはつまり、新米者勇者であればステータスによっては俺が上回っていると言う事だ。やりようによっては他の勇者とも渡り合えるのでは無いだろうか。
そしてもう一つのスキル。
火炎剣…………剣に炎を纏わせた必殺剣
火炎剣。何やら凄い名前だがこの秋葉の持っていた剣であれば可能だろうか?
試しに早速使用してみる。
「火炎剣」
剣を構えてからスキル名を口に出すと持っていた剣から炎が立ち上り、刃の大きさが炎により倍ほどになった。
試しに振るってみたが、重くなる訳でもなく普通に振るう事が出来た。
火炎剣を振るう度に空中に炎の残像が残されていくがこれは完全に通常の武器の性能を上回っている。
初めて勇者殺したこの日、俺は勇者に対抗しうる能力を手に入れた。
だが、実際に倒した勇者は一人のみ。そしてこの能力も最下層の勇者に辛うじて届くかどうかと言うレベルだ。
ここからが俺のスタート。
ブレイブスレイヤーとしてのスタートだ。
あの男を殺すまで、そしてこの世界のクソ勇者共を倒して回るのが俺の使命。
スキルとして発現したこのブレイブスレイヤーは俺の宿命だろう。
この世界の悪たる勇者を殲滅する。
その為にも明日からまた修練して、次の対勇者戦に備えようと思うが、秋葉の死体をこのままここに放置しておくのはまずい気がするので、脇の雑木林に運んで捨て置いた。
ステータスが飛躍的に向上したお陰で、思いの外軽々と運べてしまった。
その後、襲われた女性を助けに戻ろうかとも思ったが、妹達の事を想起してしまい、戻る事が出来なかった。
被害にあった状況を男の俺に見られる事を苦にして命を断つという最悪の事を想像してしまったので、冷たいとは思ったがそのまま家に戻る事にした。
次の日になり、今後の事を考えてみた。
普通に考えて今までの訓練を続けたとしても今のステータスが伸びるとは思えない。
一番は勇者を片っ端から殺していく事だが、俺もそこまで馬鹿ではない。
限界突破して強くなったとはいえ、まだ勇者の一番最下位と良い勝負のレベルに過ぎない。
どうにかして力をつけなければならない。
「モンスター……か」
ここからステータスを引き上げる為に思いつくのはモンスターを倒す事だろう。
ただし、モンスター相手ではブレイブスレイヤーの効果が発揮されないのでかなり弱体化するが、やってみるしかない。
それから俺は森に入った。
モンスターが街道沿いに出てくる事は稀で、ほとんどの場合森やその奥にいる事がほとんどだ。
以前,仲間達とゴブリンを倒した時も森の中だった。
「思ったようにはいかないな」
望むとなかなか遭遇しないもので、既に一時間近く歩いているが一匹のモンスターとさえ出会うことは出来ていない。更に奥へと進んでいくと耳を澄ませば、遠くからモンスターの声らしき音が聞こえてくる。
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