第7話 オーク狩り

ゴブリンの時と同じく、オークに気取られない様に後方に回り込み気配を消して近づいて行く。

近づいてみるとゴブリンに比べるとかなり大きい。

大きいので油断は禁物だ。確実に急所をつき仕留める必要がある。

狙いを心臓に定めて、背後から一気に踏み込んで剣を突き立てる。

一瞬『ズブリ』と言う音と共に抵抗感があったが、その後はスルッとした感覚と共に剣が胸を突き抜けてオークを絶命に追いやる事が出来た。

あっさりとオークの命を奪う事に成功したが、以前の俺であれば決して一人では勝つ事ができなかっただろう。

嘘偽り無く跳ね上がったステータスの数値通り俺の身体能力は強化されている。

それとやはりこの秋葉が持っていた剣はそれなりの業物らしい。

今まで俺が使っていた剣とは全く斬れ味が異なり、オークのように肉の塊のようなモンスターであってもあっさりと貫き通すことが出来た。

俺は剣を引き抜いてから自分のステータスを確認してみた。


「ん?」


一瞬気のせいかとも思ったがどうやらステータスに変化が起きている様だ。

筋力と俊敏の値が1だけ増えている。

これはオークを倒した事による上昇だと思うが、格下とも言えるオークで何故数値が上昇したのだろうか?

ゴブリンの時には変化が無かったのにオークでは変化した。

これは単純にゴブリンでは弱すぎるがオークならステータスの上昇要件を満たしていると言う事だろうか?

いずれにしてもモンスターを倒す事でステータスの値が上昇するのは間違いなさそうだ。

これを続けていれば勇者をも上回るステータスを手に入れる事が出来るかもしれない。

そう思った俺は、それから必死になりモンスターを探して回った。

この日は、その後オークを一匹とゴブリン一匹を仕留める事が出来たが、何故かステータスに変化は無かった。

そして、この日オークの魔石二個とゴブリンの魔石を四個手に入れる事が出来た。

この調子で行けば近いうちに新しい装備を整えることも出来るかもしれない。

勇者達は高級な装備に身を包んでいるので、次に戦う時までに少しでも差を埋めておきたい。

街に戻り魔石を買い取ってもらったが、世の中にはモンスター退治を生業にしている狩人や冒険者といった職業も存在するので特に何も言われることも無くすんなり終わった。


「ありがとう」

「ああ、また頼むよ」


魔石の売却を終えて街を歩いてみたが、どこからも勇者秋葉が死んだという話は聞こえてこない。

まだ死体が発見されていないのか、それとも数多いる勇者の一人一人の行動など管理すらされてないのかもしれない。

もしそうなのであれば俺にとっては、都合がいい。


「え〜ん、え〜ん、いたいよ〜」


声が聞こえてくるので前方に目を向けると家に帰る道の途中で小さな女の子が泣いている。

どうしたのだろうか?

転んで怪我でもしたのだろうか?

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