第47話 鎧
「この三つの鎧をつけさせてもらってもいいか?」
「ああ、丁寧に扱ってくれよ」
そう言われて順番に鎧を身につけていくが、最初に普通の革鎧を装備したが、今まで特に何も装備していなかったので、軽量な部類の革鎧でもそれなりの重量感を感じる。動きも何も身につけていない時と比べると多少制限される。
「見た目より重いな」
「まあ、薄い革だと鎧として力を発揮しないから、それなりに分厚い革となるとそのぐらいの重さになるんだ」
鎧を付けた状態で、色々と動いてみるが、ステータスが上がっているおかげで、問題は無さそうだ。
次に金属で補強された鎧をつけてみるが、想像していたよりもずっと重い。
「更に重いな。これでまともに戦えるのか?」
「部分的とはいえ鉄が使われているからな、それなりに重いけど防御力は間違い無い。それに機動力重視でなければそこまで影響は出ないよ」
俺は結構機動力も重要なんだけどな。まあ動いてみたらステータスのおかげで、動きが極端に鈍る様な事はないが、長時間の探索や戦闘では地味にダメージが蓄積しそうだ。
部分的な補強でこれなら金属鎧などとてもじゃないが、実戦には向かないだろう。
最後に一番興味をひかれた黒い鱗の鎧を装備してみた。
「その鎧の後だからかもしれないが、これが一番軽い気がするんだが」
「そうだな。それが一番軽い。鱗の重量はあるが、こっちの革鎧よりも元々の革が薄いんだ。アースリザードの革は鱗があるせいで薄いんだ」
確かに薄いせいか先に身につけた鎧よりも身体にフィットした感じがする。動いてみたが一番違和感無く動く事が出来た。
「これは薄くても強度は問題無いのか?」
「ああ、この鱗は金属に準じる程の強度があるからな、牙や剣でも貫通する事は難しいな。ただ薄いから攻撃をくらえば斬れなくても生身にダメージは入る」
「そうか」
ダメージも防ぎきる様な鎧があればいいが、それはもっと上位のものになるのだろうから、今俺の手持ちで買える中ではかなりいい鎧に思える。
これがあれば、佐間のナイフ攻撃は防げた可能性が高いし、オーガメイジの剣による一撃も出血するところまではいかなかったかもしれない。
全てを揃えると三万ギル超え。
完全に俺の一年分の生活費を軽く超え、下手をすると家族三人分の生活費ぐらいかもしれない。
とんでもない額だが、日用品とは違い特殊な物なので止むを得ない。
「この鎧、修理とかは出来るのか?」
「程度にもよるがある程度は可能だ。少々破損してもアースリザードの革を仕入れれば補修できるからな」
「じゃあ、これを買うことにするよ」
「三万ギル出せるのか?」
「まあ何とか」
「すまん。正直本当に買ってくれるとは思って無かったんだ。人を見かけで判断しちゃだめだな。また是非うちの店を利用してくれよ。サービスするから」
「ああ、また頼む」
俺はそのまま鎧を着て店を後にした。
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