第44話 オーガ殲滅

朱音のスキルでは痛みも完全になくなってないので低級ポーションでは限界があるのだろう。

俺は痛みを耐え、足を止めずに攻撃を繰り返す。足を止めれば、オーガメイジに狙われる。

剣戟の速度を上げ、徐々にオーガに手傷を負わせていきダメージを与える。振るった左からの一撃がオーガの剣を掻い潜り相手の左脇腹に突き刺さったが、その事で一瞬俺の動きが止まってしまった。


「同じ手を二度もくらうか!」


先程と同じように死角から襲って来た斬撃を、今度は手に持っていた剣を手放す事で素早く避ける事が出来た。

すぐさま『アイスジャベリン』を発動して剣の刺さったオーガにとどめをさして素早く剣を引き抜く。


「もう、お前だけだ。盾はもういないぞ!」


残る敵はオーガメイジ一匹のみ。もう小細工は必要ない。こいつを倒すだけだ。

身体の痛みを忘れる為に吠える。


「あああああああああ〜!」


火球に気を払いながら距離を詰め、火炎剣を振りかぶり一閃するが、オーガメイジも剣をもって防いでくる。

体格差がかなりあるので、オーガメイジの上段からの攻撃は相当に圧が強いが、撃ち合いながら俺はオーガメイジの足を狙って剣を振るう。だが剣を振るった瞬間を狙って至近距離から火球が襲って来た。


「くそっ!」


この至近距離から発動出来るのか。虚をつかれた事もあり完全に避ける時間は無い。

避ける事を諦めた俺は被弾覚悟で火の玉を火炎剣で斬った。

スキルによる火の玉が斬れるものなのかは不明だがある意味同属性なので、可能性に賭け咄嗟に剣を振るった。

『ガンッ』という衝撃と共に火炎剣に重みが加わるが、一瞬で軽くなった。

火の玉の丁度真ん中を斬り裂いたようで、左右に流れて行き俺には着弾しなかった。


「驚かせてくれるな。今度はこっちの番だ」


俺は火炎剣で斬りつけながら超至近距離から『アイスジャベリン』を放った。

さっきやられて身に染みたがこの距離からのスキル攻撃の威力は絶大だ。

オーガメイジは、咄嗟に俺の真似をしようとしたのか、氷の槍を剣で防ごうとしたが、先の尖った槍を両断するなど神業クラスの技術が必要だろう。

オーガメイジの剣が当たり、少しズレたがそのままオーガメイジの肩口に突き刺さった。オーガメイジの意識が氷の槍に向いた瞬間、既に俺は次の一撃を繰り出しており、氷の槍が突き刺さるのとほぼ同時に俺の炎の刃がオーガメイジの腹部を斬り裂いた。

そして、そのまま返す刀で首元を斬りつけ、とどめをさし、オーガメイジは燃え上がって焼失した。


「ふ〜終わったな。ツッ……」


大きく動いたせいで傷口が痛む。これだけの数のオーガを一人で倒す事が出来たのは、煙によりオーガを弱らせる事が出来たのが大きい

大きく動いたせいで傷口が痛む。これだけの数のオーガを一人で倒す事が出来たのは、煙によりオーガを弱らせる事が出来たのが大きい。

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