第50話 勇者三宅慎吾
「何? こいつに何か弱みでも握られてんの? 俺がこいつぶち殺してやろうか?」
「いえ、本当にそんなんじゃないんです。ごめんなさい」
「絶対俺達のところに来た方がいいって。お風呂もあるしさ〜。みんなで楽しくやろうよ〜。男が多いから女の子は大歓迎なんだよ。特に君達みたいな美少女は個人的にも大歓迎だよ。やっぱり同じ世界の人間同士が一番でしょ」
「本当にごめんなさい。違う人を誘ってください」
「いや〜君達がいいな〜」
こいつ二人からこれだけ断られているのに……
「ごめんなさい。リュートさんがいるので」
「じゃあさ〜、連絡先と名前教えてよ」
「えっと……」
「悪いが、もういいだろう。二人とも帰るぞ」
「は、はい」
「そうしましょう」
まだ食事の途中だったが俺は二人を連れて席を立ち会計を済ます。
三人でそれなりに頼んだから仕方がないのかもしれないが、思った通りそれなりの金額を支払った。おおよそ普段よく行く店の五倍近い値段だった。
女性が好む店というのはやはり高額なのかもしれない。
三宅にこれ以上付き纏われるのも面倒なので、会計が済むと同時にさっさと店を出た。
「リュートさん助かりました」
「いや、俺は何もしていない」
「あの人しつこかったですね。名前と連絡先教えたらストーカー化しそうで怖かったです」
「それはそうとリュートさんごちそうさまでした」
「はい、すごく美味しかったのです」
「ああ、いつもの御礼だから気にしないでくれ」
俺達は足早に朱音の家に向かって歩いて行く。
「二人ともすまないが、俺はこの後少し用があるんだ。ここで別れよう」
「そうですか。それでは今日はありがとうございました」
「また、ご飯に誘ってくださいね」
「ああ、またな」
俺はその場で二人が見えなくなるまで見送ることにした。
「おい! 俺に何か用か?」
「ふ〜ん気がついてたんだ。それで格好つけて一人になったんだ」
「それはどうでもいい。なんだ?」
「いや〜本当は彼女達の家まで行きたかったんだけど、まあ君でもいいや。君からお願いしてくれないかな。彼女達に俺達のグループに来る様にさ〜」
「あれだけ嫌がっているのを見てどうして俺がそんな事をすると思うんだ」
「は〜村人Aがなんか言ってるよ。まあ頼んでくれないなら殺しちゃうからいいけどさ〜。君がいなくなったら彼女達も俺を頼ると思うしさ〜」
一体どういう理屈か全く分からないが、村人Aって俺の事か?
「俺を殺すつもりか? ここでか?」
「あ〜別にここでもいいんだけど、一応あっちについて来てくれるかな。人の迷惑も考えないとな〜」
「わかった」
俺はそのまま三宅に誘導されて裏道まで連れて来られた。
あとがき
あと5話で完結です。よろしくお願いします。
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