第33話 ローラ襲来

軍の強化、街の発展を始めて1年が過ぎた。

街を訪れる商人の数もかなり増えており、

港も大きく改築を行った。

物資が動くと人の流れも激しくなる。


ダオ王国でしか手に入らない商品を求めて、様々な国の人が集まって来た。

しかし、中では他国の商人同士でも取引が行われる。

たとえ戦争中の国同士の商人でもダオ王国で買ったものなら問題ない。

はからずも取引の場所としても使われ始めるのだった。


それを知ったタツマは静止することなく、逆に会館を作り、取引しやすくしていく。

中間に入り、多少の税金を取るがダオ王国の証明書を発行する。

こうすることで敵対国から買ってないとの言い訳を作る。


様々な商人の熱気が街に溢れ、今や他国の首都にも引けを取らない活気が街中に溢れていた。


「せんせい、いた。」

俺とマイが街を歩いているとローラが話しかけてきた。

「ローラ?大きくなったね。

・・・ってなんてここに?」

「せんせいが心配だから、せんせいを守る為にきたよ。」

「守るって大丈夫だよ、ここに襲ってくる者はいないし。

俺も剣には自身があるからね。」

俺がローラと話しているとマイが慌てたように話に入ってくる。

「タ、タツマさんそちらの方は?」

マイは俺の腕にしがみつきながらローラを指差し聞いてくる。

「こちらはルーラ王国のロレンス将軍の娘のローラさん、一応俺の弟子になるよ。

ローラこちらはダオ王国の姫様でマイ、俺の弟子だよ。」

俺は二人に互いを紹介するが・・・


「一応じゃない、せんせいの初めての相手。」

ローラはマイと反対の腕にしがみつく。

「ああ・・・この方がタツマさんの前の弟子ですか。

ローラさん、タツマさんの弟子には私がいますのでお引取りください。」

「男は最初の相手を忘れられないものと聞いた。

私も初めてのせんせいだった。」

「私も初めてはタツマさんです!」

「でも、あなたは2番目。」

「そ、それを言うなら私の方が長いですよ。

それにタツマさんからあなたも知らない事をイロイロ教えてもらってます。」

「むっ!せんせい、私にも教えてほしい。

せんせいの事をもっと知りたい。」

ローラは上目遣いで俺に求めてくる。


「だ、だめです!タツマさんの全ては私のものなんですから!」

マイの声が大通りに木霊する。


「タツマ、浮気がバレたのか?」

「タツマ姫様を大事にしろよ〜」

「男ってなんで一人で満足しないのかね?」

「タツマさんって小さい子に手を出しすぎじゃ・・・」

街の住人が俺達を見て声をかけてくる。

「そんなんじゃない!ほら二人とも大通りで変な話をしない、とりあえず屋敷に行こう。」

俺は二人の手を取り、住人の声から逃げるように屋敷に向かったのだった。

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