第32話 偽造された返事

タツマから手紙を貰えなかったイマイは途方にくれていた。

折角得た王族への伝手、捨てるには惜しすぎる。


「仕方ない、それとないことを手紙にするか・・・」

イマイは手紙を偽造することにする。

タツマ現状を書きつつ、マリアを気遣うような内容にした。

そして、手紙に使った紙もタツマ店で購入した紙を使用する。


「タツマさんからの手紙ですか!」

「はい、タツマ様からお預かりしてまいりました。」

イマイは偽造した手紙をマリアに渡す。


マリアは我慢できないように手紙を開封して読み始める。

「マリア落ち着きなさい」

隣にいたアナベルが思わずたしなめる。

「ですが・・・」

しかし、マリアは読むことを止めない。

一心不乱に読んでいるため、返事もろくに出来ていなかった。

アナベルはため息をつくが元気になったことを喜ぶことにする。

「イマイよ、よく返事をもらってきました。これは褒美です。」

アナベルは前もって用意していた金貨をイマイに渡す。

「ありがとうございます。」 

「イマイさん!またお手紙を持っていってくださいますか?」

マリアはイマイに頼む。

「はい、いくらでも持って行きますとも。」


後日、マリアから手紙を預かることになるが・・・

「こうなったら仕方ない、悪いが開けさせてもらおう。」

イマイは偽造するためにマリアの手紙を開封して中を読む、内容は甘ったるい恋文だった。 「お姫様がねぇ・・・」

イマイは意外な内容に驚きながらも返事を完成させる、マリアが、女が喜びそうな事を書いた手紙を・・・


イマイはタツマ店に行くたび、偽造した手紙を何度もマリアに届ける事になる。

バレると身の破滅が待つ手紙を・・・


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