第25話 経済強化をはかる

城に帰ってから獣人達との交易の準備を整えていた、

獣人を通じて交易が出来るようになった種族にエルフやドワーフ等、森から山岳に住む者達からも物が届くようになる。


彼らが持ち込む物は人が作れぬ物がおおく、エルフ族からはポーション等の薬品が、ドワーフ族からは質のいい武具が、獣人達からは普段見かけない強い魔物の素材が集まってくる。

それを俺が開設した店で売りに出すことに、この店はマイの私的な店となっており、収益は直接王家の懐を潤すように手配されていた。


その代わり、税金はちゃんと国に納めるようにしており、健全な店舗としての運用を開始する。

そして、この国、ダオ王国はあまり商人の来訪が無かった、これといった特産品が無く、隣国で栄えているトリスタン王国とは陸路が険しい為、普通の物を求めに来る商人はおらず、船が嵐や急な補給に立ち寄る程度の閉ざされた土地であった。


そのため、今回入手出来るようになった、物はダオ王国の目玉となるような特産品であった。

「タツマ様、ここにあるものを船に積めるだけ買ってもよろしいか?」

「今回に限ってなら構わない、まだ、知られてない商品だからな。」

たまたま嵐を避けるために立ち寄った船の商人が店を見て目を輝かせる。

トリスタン王国ですら手に入れることが難しい品質の商品、そして、エルフ秘蔵の美容液、及びポーション。

これらは貴族がどれだけの大金をはたいても手に入れようとすることは間違いなかった。


「私はイマイというトリスタン王国の商人にございます。以後も良き商いが出来るようお見知りおきを。」

「ああ、覚えておくよ、折角最初に立ち寄ってくれた商人だからな、次に来たときは俺を呼んでくれ、俺がいたらそれなりに口を聞くことを約束しよう。」

「はい、ありがとうございます。」

イマイはホクホクした顔で商品を積み出港していった。


王都に帰ったイマイは一般向けの商品を店に並べ、自身は王城にエルフの美容液を王妃アナベルに献上しようとやってくる。

先の戦争で王を失ったあと、後を継いだアレクの妻であり、王妃になったばかりであった。

そのための心労からか最近肌の荒れがひどく気になっていた。

「エルフの美容液ですか?御伽噺のような商品ですね、信憑性にかけるのでは?」

女性の中ではエルフの美容液は伝説になっていた、どんな肌にも潤いを取り戻し、十代のみずみずしい肌に戻れると。

しかし、伝説と呼ばれるだけあって本物に巡り合えた者はほとんどいなかった。


「ええ、それは勿論わかっております。ですので効果は使用されてからのお楽しみということで五本御用意させてもらいました。」

「五本もですか、ますます怪しいですね。」

「いやいや、当店で調べた結果間違いなく効果がありますので。まずは使用人にでお試しになられては?」

「いいでしょう、トワレ、使ってみなさい。」

アナベルは年老いた侍女に使うように指示する。

彼女は長年アナベルに仕えており、成功したら褒美となり、失敗品でも恨むことが無いほどの忠誠をもっていた。

トワレは言われるまま、美容液を肌に塗り込むと・・・

「トワレあなた、その顔は!!」

アナベルは驚愕するのであった、先程までしわが目立って来ていたトワレの顔からシワが消え、みずみずしさを感じるのだった。

「姫様、どうなっているのですか?」

「トワレ鏡です、自分で見てみなさい。」

「こ、これが私ですか・・・」

トワレ本人すら驚いていた。


「効果の程、わかっていただけたでしょうか。」

「ええ、イマイ、疑ってすみません。あなたは確かに素晴らしい商品を納めてくれました。

褒美を授けましょう、何がいいか言ってみなさい。」

「ならば、今後も良き商品を納める事が叶いますよう、御用商人としてお引き立て願いたい。」

「そのような事で良いのですか?」

「はい、私ども商人としては王家の御用商人の肩書きは大きい物にございますれば。」

「よろしい、イマイ。また、良い物があれば持って来るが良い。」

アナベルはイマイを下がらせ、美容液を持ってマリアの元に向かうのだった。

タツマがいなくなってから心を失ったかのように落ち込む義理の妹が少しでも元気になればと・・・

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