第30話 手紙を書く

俺はルーマ王国から来た商人にあっていた。

「マネクレさんでしたか?今日はどのような要件で?」

「まずはお会いしていただいた事に感謝いたします。

今日、訪ねたのはエルフの美容液についてでございます。」

「あれは人気商品ですからね、ここに来たということは買えなかったのですね。」

「誠にそのとおりでございます。

どうか一本でいいのでお売りいただくことはできないでしょうか?」

「欲しがる人がかなりいますからあなたにだけ融通するわけにはいかないとご理解していただけますか?」

「ええ、対価も無しにとはいかないのはわかっております。

ですが、お会いしていただけたということは融通していただける条件があると思ったのですが?」

マネクレの瞳があやしく光る。


「商人には勝てないな、ルーマ王国のロレンス将軍を知っているか?」

「はい、王国の盾と名高いロレンス将軍の事はルーマ国人なら誰しも知っておられる方にございます。」

「ならば、贈り物を届ける事はできるか?」

「贈り物にございますか?」

「そうだ、以前世話になったので手紙と共に持っていってもらいたい。」

「ええ、そのような事でよろしければお引受けいたします。

ですので、エルフの美容液を・・・」

「今は無い、だから来月の入荷分で用意しよう。」

「それは必ず手に入るのですか?」

「手に入る、数は多くないが少なくとも3本は完成し入荷予定になっている。」

「ならば、すぐにでも!」

「待て、俺はお前に初めてあった、悪いが信用できるかわからない。

だからこちらの頼みを聞いてからだ、ロレンス将軍から返事をもらって来たら渡すことを約束しよう。」

「本当ですか?」

「嘘は言わない、証文も書いて渡そう。

ただし、必ず届けるようにな、嘘をつけばわかるように手紙に書いておくのでくれぐれも頼むぞ。」

「もちろんにございます。

商人とは信頼が大事、今後も良き取引が出来るように私の顔を覚えていただけるチャンスを逃したりはしませんよ。」

「いい心掛けだな、すぐに手紙を書く、宿に届けさすが宿は何処に?」

「宿はヤドカリという所に滞在しております。」

「港近くだな、わかった、贈り物と共に届けよう。」

「はい、今後とも良き取引を。」

「お前しだいだな、信用を裏切らないでくれよ。」

俺とマネクレは握手をかわし、取引をおえるのだった。

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