第34話 ローラ

「それでローラはなんで来たんだ?」

屋敷に着き、一息入れると話し合いを開始する。

「せんせいを守る為、せんせいお家に帰ろ?」

ローラは俺の手を引き外に行こうとする。

「家はここだよ。」

「せんせいの家は私のお家、これはきまっているの。」

「決まっていません!それにタツマさんの家はここです。

ここで私と暮らすのです。」

マイの語尾は小さく聞き取れなかった。

「ローラが心配してくれたのはわかるけど、俺はここで暮らしているから大丈夫だよ。」

「せんせい、一緒に帰ってくれない・・・

ローラどうしよう。」

「一人で帰ったらいいんです。」

「それはいや、せんせいと一緒。

・・・ローラもここに住む。」


「それは・・・」

俺が答える前にマイが猛反対する。

「だめです!ダメダメなのです!

ここは私とタツマさんの二人の家なんです。」

「いや、俺の家・・・」

今度はメイドのミサキが口をはさむ。

「姫様お言葉ですが住んでいるのはタツマさんと私かと。」

どこかからかうような感じがあった。

この1年でマイとミサキは仲良くなっていた。

マイは家事などをミサキから習っており、頼れる姉のように慕っていた。


「ミサキさん!今は言わなくていいことです。」

「失礼を、タツマさんのお世話をしているのは私でしたのでつい・・・」

「「むむ・・・」」

マイとローラの恨みがましい視線がミサキに集まる。


「二人とも落ち着け、ミサキさんも二人をからかわない。」

「これは失礼しました。」

ミサキは悪びれる事なく部屋から下がっていく。

「ローラ、ロレンス様が心配してるだろ?」

「大丈夫、お父様と話し合い(物理)はすんだ、私はせんせいと一緒にいる。」

「ダメです、タツマさんは私と一緒にいるんです。」

「まぁまぁ、マイも落ち着いて。」

「落ち着いていられません!」

マイは興奮して話を聞いてくれない。


「マイ、どっちがせんせいの弟子にふさわしいか勝負。」

ローラは話し合いだと終わらない事を悟り、勝負を挑む。 


あれ?こんな脳筋な子だったかな?

俺が不思議に思いつつも・・・  


「いいでしょう、タツマさんにふさわしいのは私だとわかってもらいます。」

マイも合意することで勝負することが決まる。


「なら表に行く、せんせいローラの修行の成果を見てて。」

「ああ、見てあげるよ。」

「タツマさんはどっちの味方なんですか!」

「せんせいはローラの味方に決まっている。」

「あなたには聞いていません!」


マイは怒りながらローラと共に中庭に向かうのだった。

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