第4話 国境越えの前に

国境には当然の如く、関所がある。

「さて、どう乗り越えるか・・・」

いくら第三国とはいえ、身分証もない俺達が簡単に越えれるとは思えない。


「マリアさん、ここが正念場です。少々厳しいですが、山越えをしましょう。」

「はい、進路はお任せしてます。どうか私を国まで連れていってください。」


俺達は手前の町で1度泊まる事にした。

山を越えるのにも1度体力を回復させた方がいいと判断したからだ。

まだ時間は早いが高めの宿でいい部屋をとり、部屋に入る。


「マリアさんはゆっくり休んでいてください。俺は山越えの準備をしてきます。」

「町に行くのですか?私も行きます!」

「明日は山越えをしますので体力を回復させてください。」

「でも、タツマさんがいないと怖くて・・・」

「仕方ない、じゃあ、一緒に行くか?」

「はい♪」

俺はマリアを連れて町に向かう。


まずは雑貨屋に入り、野営の準備と食料を買う。

「タツマさん、見てください似合いますか?」

マリアは動きやすい服を買うだけなのに試着して見せてくる。

「ああ、似合う似合う、それでいいのか?」

「ぶぅーもっとちゃんと見てください!」

マリアは頬を膨らませて抗議してくる。


「兄ちゃん、新婚さんかい?こんな可愛い嫁さん貰えるなんて羨ましいな。」

店の店主が微笑ましく見ながら話かけてきた。


「タツマさん、聞きました?可愛い嫁さんですって!」

「ああ、聞こえてるよ、店主、これ全部でいくらになる?もちろん、その試着している服も含めてだ。」

俺は厚手のマント、靴、携帯食料、そして、マリアが着ている服の値段を聞く。


「兄ちゃん、照れ隠しかい?まあ新婚割りということで、金貨1枚と銀貨4枚の所を金貨1枚でどうだい?」

「安いな、よし、買った。」

俺は金貨を渡す。

「毎度あり♪」

俺はマリアを連れて店を後にする。


「タツマさん、次は何処に行きますか?」

「マリアさん、楽しそうですね?」

「私、買い物するの初めてなんです、こうやって町を回ること事態初めてなんですけどね。」


「あーまあそうか。じゃあ、俺がマリアさんの初めての相手と言うことか?」

「言い方はアレですけど・・・そうですね。」

「じゃあ、エスコートしてあげたほうがいいのか?」

「いいんですか、じゃあ・・・」

マリアは俺の腕に手を絡めてくる。


「マリアさん?」

「私聞いた事あるんです、男女が町を歩く時は腕を組むんですよね。」

「いやいや、それは恋人同士のやることだから。」

「今の私達は夫婦なんでしょ?それなら腕を組まないとおかしいですよね。」

楽しそうにしているマリアをこれ以上静止するのも躊躇われたので俺は腕を組んだまま、町を歩く。


周囲からはバカップルの認定をされつつ・・・





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