第22話 救援

翌朝、帰ってこないタツマの為にマイは救援隊を結成していた。

「タツマさんを助けに行きます。」

「マイ様、私が参りますのでどうか屋敷にてお待ちください。」

「シバタ伯、あなたはタツマさんが一人で向かうのを許したのですよ!

少しは責任を感じてください。」

「いや、あの方がどうこうされるとは思えないのですが・・・」

「シバタ伯!!」

マイの怒りの様子にシバタも勝てなかった。

そして、獣人の領域に入るとところで・・・


「あれ?マイどうしたの?」

獣人族の武人百人を連れている俺と遭遇する。

「タツマさん!御無事でしたか?」

マイは俺に抱きついてくる。

「大丈夫だよ、獣人族とちょっと話し合いに言ってただけだから。」


獣人達はザワツク。

「おい、話し合いだったのか?」

「殴り込みの間違いだろ?」


「そこうるさい!」

俺の指摘に獣人は黙るが・・・


「タツマさん、殴り込みってどういう事ですか?」

マイは気を使い力を増し、ギュット抱き締めてきている。

「マイ、痛いかな?少し力を緩めようか?」

「タツマさん、殴り込みってどういう事ですか?」

「いたい、いたい、ごめん、ごめん。」

俺が謝った事で力を緩める。

「いいですか、危ない事をしてはいけないのですよ!」

マイに窘められる。

「いや、そんなに危なく無いよ。」

「タツマさん!そんな事を言うんだ・・・」

「マイ?少し怖いよ?」

マイはしなだれかかり、

「危ない事はしないでください、もう一人の体じゃないのですから・・・」

自分のお腹をさすりながら言う。


言葉を聞いたシバタの顔が青くなる。

「タツマさん、あなたもしかして・・・」

「違う!誤解だ!」

「あら、私にあんな事をしたのに・・・」

「だぁ!マイ、ごめんって!だから誤解を招くような言葉は止めて!」

シバタのみならず、言葉を聞いた兵士達が噂を流し、この後、マイが妊娠しているという話が町中にしれ渡るのであった、俺のロリコンと言う不名誉な称号と共に・・・


「それで、こちらの方は?」

マイは獣人達について聞いてきた。

「こいつらは俺の傘下に入った兵士だ、これから鍛えて使えるようにする予定だ。」

「これはタツマさんがお世話になります。」

マイは頭を下げる。


「そんな頭をおあげ下さい。

奥方様に頭を下げられると我等が困ります。」

「奥方なんてそんな・・・」

マイは照れくさそうに、モジモジしている。


「待て待て、奥方じゃないからな、この子はマイと言って、この国のお姫様だ。」

「そして、タツマさんのお嫁さんです!」

マイは俺の言葉に被せてくる。

獣人達も含めシバタと兵士も歓声を上げる。

「おお!これはめでたい。里にも知らせねば。」

「町の奴らにも!伝えるぞ、伝令走れ!」

「はっ!」


「ち、違うからな!おい!話を聞け!」

俺の声は騒ぎ立てるみんなに無視されていた。



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