第21話 決闘ムガリ!

ムガリの槍は速かった。

普通なら一撃で方がつくであろう。


だが、俺はそれを最小限の動きでかわす。

「なっ!や、やるな!」

かわされると思っていなかったのか、ムガリからは焦りを感じる。


「これぐらいはたいしたこと無いだろ?

それよりもっと仕掛けてこい。」

「言わしておけば!」

ムガリが繰り出す連続の攻撃を俺は難なくかわす。


あまりにかわされる為にムガリは一度距離をとる。

「もう終わりか?こちらから行くぞ。」

俺はムガリが開けた間合いを一瞬で詰め、一撃を当てる。

何が起きたか、全く気付いていない様子であったが、一撃が当たったと認識した一瞬間、ムガリは頭を地面につける。


「完敗です、今までの無礼お許しください。」

あまりの代わりぶりに俺を含めみんな驚く。

「い、いや、頭を上げてください。」

「自分が未熟な事に気付きました。

どうか私を弟子としてください!」

ムガリは頭を上げない。

俺は根負けする。

元々傘下にいれるつもりなのだ、弟子にしても問題無いだろう。

「わ、わかりました、弟子としますからひとまず頭を上げてください。」

「ありがとうございます。師匠!」


「それで傘下に入ると言う話なんだけど、どうかな?」

俺は周りを含めてこの場にいる全員に質問する。

ムガリは周囲を見回し、

「長、俺はこの方の、タツマ様の下につく。

俺に従う者は皆タツマ様に従うのだ!」

ムガリの声に武器を持っている者は皆膝をつき、俺に恭順の意を示す。


「これでは従わねばなるまいな、だが、我等を従えて如何にするつもりだ?」

「獣人族と対等な交易、そして、兵の提供を求めたい。

見たところ、精強な者が多い、俺の傘下で天下に名を轟かせて欲しい。」

「対等な交易だと?ヒト族と出来ると思うのか?」

「搾取されるようなら俺に言ってこい、不等な取引なら俺が商人を始末してやる。」

「誠にですか?」

「武人としての名をかけて、約束しよう。」

「・・・我等、獣人族、タツマ様に従います。」


「そうか!よく決心してくれた。

悪いようにはせんからな。」

その日は獣人族の村で盛大な宴が行われた。

俺は飲みながらも、武術を教えてと頼んできた子供達に武術を教えていき、親睦を深めていくのだった。


その姿をムガリは羨ましそうに見ていた・・・

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