第20話 獣人族

俺はシバタ達、強化された兵を連れて国内を走っていた。

「シバタ、あの壁の向こうはどうなっている?」

俺は厳重に警戒されている壁を見てシバタに聞く。

「あの先は獣人の領域にございます。」

「獣人?彼等は国に属していないのか?」

「そうですね、他国からすると我が国内ではあるのですが、彼等自身は独立しております。あの門の所で多少の交易を行っているぐらいです。」

シバタは門を指差す。

「へぇー、見てみたいものだな。」

「なりません!タツマ殿は姫様の大事なお方、そのような危険をおかす必要などございません。」

「危険なのか?」

「ええ、交渉出来るのも一部の人間のみと難しい種族なのでございます。」


「・・・おもしろい、シバタ、軍の訓練は少し任せる。兵を連れて城に戻ってくれ。

俺は獣人達に会ってくる。」

俺は馬を走らせる。

「お待ちを!」

シバタが静止するも、俺は門をくぐり抜け、獣人の村を目指す。


「ヒト族がなんのようだ?」

尻尾のはえた人が村に向かう俺を呼び止める。

「ちょっと、獣人の皆さんに話があってな、代表者に会わせてくれないか?」

「怪しい者を長に会わせる訳がないだろ!」

獣人は槍を構える。

「暴力賛成だな、お前を倒したら会わしてくれるか?」

「お前が勝てたらな!」

獣人は、目の前から驚きの速さで俺の後ろに回ろうとする。

そして、槍を繰り出して来るが、俺は最小の動きでかわし、男の腕を取り地面に叩きつける。

「がはっ!」

男は息が漏れた。

「さて、他にもいるだろ?出てこい!」

俺は周りに声をかけると・・・

「気付いておったのか・・・」

五人程の戦士と思わしき者が出てきた。


「さて、案内してくれないか?」

男達はお互い顔を見合せる。


「危害を加える気はない、もしあるなら、この男の命はなかっただろ?」

俺は先程倒した奴を指差す。


「わかった、案内しよう。

ただし、長を攻撃しようものなら命を持って償ってもらうぞ。」

俺は男達に案内されて、村にたどり着く。


「長、客人が来たぞ。」

村で一番な建物に入る、。

「ほほ、こりゃ変わった客人だわい、それでなんのようかね?」

年老いた獣人が俺にたずねてくる。


単刀直入に俺は自分の望みをいう。

「俺の傘下に入り、国に属して欲しい。」

「これは、随分な申し出だな・・・そなたにその器はあるのか?」

「器はあるかはわからないが腕に自信はあるつもりだ。」

「ほう、俺達獣人の前で腕を誇るか、おもしろい、その腕見せてもらおうか。」

若い獣人が俺に敵意を向ける。

「ムガリ、落ち着け。」

「族長、このような増長した者を許せる筈がなかろう!」

「やりあうのはいいが、勝てば従うのだろうな?」

「俺に勝てればな!獣人族、虎族最強のムガリを相手にして生きて帰れると思うな!」


「ならば外に行くぞ、ここだと周りに迷惑だ。」

俺とムガリは外に向かう、それに族長もついてきた。

俺とムガリがやり合うときいた村の者が集まってくる。


「さて、やるぞヒト族。」

「タツマだ、よく覚えておけ。」

「ぬかせ、死に逝く愚か者の名前など覚えるまでもないわ!」


ムガリが槍を突き出してきて、戦闘が始まった。

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